強塩泉の力が発動する源泉露天風呂 - 楽天地天然温泉 法典の湯

楽天地天然温泉 法典の湯
2025年の正月はわりと時間に余裕があった。温泉に限らずどこへも出かける予定がなくてずっと引きこもり生活だったから。そこでYouTubeで配信されていた伝説巨神イデオン接触篇/発動篇を鑑賞したら、精神面がやばいことになった。こりゃまずい。

そもそもの発端=せっかくの休暇に引きこもり、がよくないな。こんな甲斐のない生き方なんぞ、俺は認めない、たとえそれがイデの力によろうともな。

事態を打開すべく、正月明けてから&泊まりでなく近場の日帰り温泉だけど、急きょ計画外の温泉入浴を実行することにした。これはイデじゃなく「いで湯」の導きによるものだろう。訪れた法典の湯は、このエリアによく見られる褐色の強塩温泉。ぬるめの源泉露天風呂がいいね。

接触篇:スパへのランナウェイ

中山競馬場へ行くときの駅で下車

法典の湯の最寄り駅はJR武蔵野線の船橋法典。駅名から当湯が船橋市にあるもんだと思ってたら、住所は市川市柏井町だ。週末に訪れた場合、電車を降りたら大勢の人の流れについていってはいけない。中山競馬場に到着してしまうからだ。ちなみに競馬場の住所は船橋市古作。市の境目エリアみたいね。

とにかく駅の通常の(競馬場専用地下道でない)改札を出て、競馬場とは反対側へ向かうこと。ちょっとした看板は出ているから見落とさなければ大丈夫。

あとはただ線路沿いの道をずーっと歩けば5分ほどで到着する。わかりやすい。しかしおじさんはミスった。競馬場と反対側へ歩き出したはいいが、ついつい数名の人の流れに「法典の湯ユーザーかな?」と決めつけて一緒についていってしまい、正解の道を外れて住宅街へ迷い込んだ。

住宅街の閉じた宇宙をセーリング・フライ

この住宅街、駅からの道を除けば外の地域と接続する道路がまったくない。アメリカにあるというゲーテッドコミュニティ的な設計かな。どこまで行っても線路沿いの本来の道に復帰できねー。最奥の藤原こばと公園から外へ抜けられるかと思えば、高低差とフェンスでNG。じゃあ、おじさんはなんで歩いてきたの?(涙目)

みんな星になってしまえー!と悲嘆に暮れて叫びたくなりつつも、1箇所だけ、公園の裏側=外の地域へ抜け出せる工事仮道路のような小道を見つけた。まるでオープンワールドRPGで抜け道を探し当てたような気分だった。こうして駅から徒歩5分ですむところを15分くらいかけて現地に到着。
徒歩で来た場合の法典の湯入口
法典の湯は自分の中で武蔵野線シリーズに位置付けている。沿線とは言えないのまで強引に含めると、武蔵野線シリーズは過去に5湯…めぐみの湯(三郷)ゆあみ(吉川・閉店)アクアイグニス(吉川美南)縄文の湯(京王線府中・RAKUSPAとしてリニューアル)ユーラシア(京葉線直通舞浜)…法典の湯は6湯目、つまり第6文明であり伝説の巨人が眠るロゴ・ダウなのだ。

ちなみに首都圏の交通網は東京都心から放射状に伸びる路線が主力で、郊外同士を同心円状に結ぶ力は弱い。同心円状の交通を便利にする武蔵野線は亜空間ドライブみたいなものだ。


発動篇:源泉の因果地平

内湯の主役は高濃度炭酸泉

多層化された駐車場の収容力は大きく、にもかかわらず余裕なさそうな雰囲気であったことから、相当数のユーザーを抱えているものと推察される。混んでるのかなー。では入館。靴は鍵付き下足ロッカーへ。入浴券は自販機で買う。休日950円。会員割引あり。

受付近くに100円リターン式の貴重品ロッカーがあった。またWiFi環境も整っている。大浴場は2階にあって脱衣所には100円リターン式のロッカーが並ぶ。真四角タイプと縦長タイプからお好きにどうぞ。分析書をチェックすると「ナトリウム-塩化物強塩温泉、高張性、中性、低温泉」だった。

浴室内はお客さんがいっぱい。やっぱり混んでますな。幸いなことに洗い場は31名分もあるので、当時の客入りでも十分に余裕があった。内湯は非天然温泉の浴槽が2つ。ひとつは6名サイズの日替わり湯で、各地の温泉の素を投入しているらしく、この日は奥飛騨平湯温泉を使用しており白濁状態。つねに満員御礼状態のためノーチャンスと判断してパス。

内湯の主役は高濃度炭酸泉だ。10名以上が入れるサイズだが、非温泉ながらこちらもほぼ常時満員御礼。一瞬の隙を見つけて入り込むと、人工炭酸泉特有のぬるめ設定が心地よく、炭酸の泡付きはかなりのもの。炭酸+ぬる湯じゃあ誰もが長く滞在するから混みやすいわな。テレビも設置されているし。

露天エリアにある多彩なお風呂群

おっと、いけない、ぬるい炭酸泉に長居してる場合じゃない、温泉目的で来たんだった。露天エリアへ出ると、温泉・非温泉含めていくつかのお風呂が設けられていた。最も手前の非温泉ジェットバスは7名分。ここはパス。

最初にぱっと目に入った奥の大きな岩風呂へ向かって歩いていくと、途中に4名分の寝ころび湯があった。非温泉のようですね、パス。その隣には3基の信楽つぼ湯。非温泉だけど入ってみたら熱すぎない適温。独泉状態になりたい人が多いのか、わりと人気があって埋まりやすい。

ぬる湯とあつ湯を備えた優秀な露天風呂

さていよいよ当初本命の岩風呂へゴー。「ぬる湯」「天然温泉循環式」という札が掲げられている。向かい合わせを許容したら7~8名いけそうなサイズの通常深さの区画と、2~3名サイズの浅い区画からなる。浴槽に使われる石は、お湯が触る部分が赤茶に変色していた。

お湯の見た目は黄色みが強いクリアな褐色。白い粒状の湯の花が見られ、泡付きはない。匂いには軽い木材臭を感知した。ぬる湯といっても体温並み36℃というわけではなくて、ぬるめの適温といったところ。冬にはちょうどいい感じで長めに浸かることができる。浅い区画で上半身を起こす姿勢になればクールダウンになるし。

この岩風呂の隣の一段高いところにもう1つの4~5名サイズの岩風呂があった。「あつ湯」「天然温泉循環式」という札だったかと。お湯の特徴は上記と一緒だがタイトル通りに熱い。ぬる湯と交互に入ると温度差の感覚がやみつきになるやつだ。どちらの岩風呂も温泉らしさが十分に感じられるお湯で楽しめた。

源泉露天風呂の力、銀河きりさく

線路と住宅地に隣接する環境なので当然のことながら、露天エリアは塀に囲まれて眺望はない。岩風呂に入りながら露天エリアの反対側を眺めていると、隅っこに隠れるようにして小さな風呂があるようだった。あれはなんだ?…いで湯の導きによって発見した、忍び恋のように秘められた小さな風呂。近づくと源泉かけ流し風呂って書いてあるぞ。大本命ぴったしカンカンじゃねーか。

お湯は黄土色に緑が少し混じったような色で完全に濁りきっており、浴槽の底は完全に見えない。いかにも濃ゆそう。ワンポイントアタックでここに狙いを定めている人は多いと思われ、常時6~7名の満員御礼状態。時には互いに詰めあっての8名体制になったりもする。

隙をうかがいつつタイミングを計ってうまく入り込めた。強塩泉が容赦なく襲いかかってくる感じはガンドロワ級のパワー。匂いは木材臭の印象が消えて金気臭によって上書きされていた。ぬる湯派のおじさんにとって、ここのぬるめの温度はとてもよい。こりゃーたまらん。ついつい長湯してしまう。他のお客さんもいったん浸かると長く滞在する傾向が強い。

当時の混雑ぶりであまりに長時間粘るのはヒンシュクものなので適度な頃合いで出たが、このお湯は本当にずっと浸かっていたい感じだった。源泉かけ流しを維持するには湧出量との兼ね合いで湯船を大きくできないんだろうけど、時間と人の目を気にせず長時間チャレンジできるだけの広さがあればな、ってのは贅沢な望みか。

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湯あがり後の肌はベトつくけどやがてツルテカになるのは強塩泉の証。加えて湯冷めしにくい温まりの湯の特徴がよく現れており、こんな温泉施設が家の近所にあればなーと羨ましがったのだった。カララに嫉妬するハルルですな。

イデオンの物語ではイデの発動によって解放された人々の魂が新天地へと導かれた。当館の名称には楽天地天然温泉という冠がつく。日々疲れた人々の魂をいで湯の発動で解放し、楽天地へと導いてくれる存在なのだろう。