2025年最初の湯宿めぐり企画では1泊目を箱根湯本とし、翌日は早々に箱根を離れる予定だった。強羅・仙石原・芦ノ湖の方まで足をのばせばいいのにもったいないと思う心はありつつ、好きなように自由に行動するのが一番ということで腹案を優先。
しかし諸事情により箱根湯本へ引き返すことになり、思い描いていた2日目の案は実行不能・総崩れとなった。加えて坂を登りまくって疲れたし汗もずいぶんかいた。もういいや、今日は付近の温泉でひと休みしたら次の宿泊地へ直行しよう。
そこで箱根の湯という日帰り温泉に立ち寄ることにしたのである。計画外の急な思いつきだったし、あまり長く・深くは体験しなかったため、あっさり風味のレポートです。
箱根の湯へのアクセス
箱根の湯は箱根湯本エリアにあり、宿泊した近江屋旅館から近い。よって行き方は近江屋旅館の記事を参照されたし。ざっくりいうと、箱根湯本駅から20分歩くか、旧東海道経由の路線バスで台の茶屋下車・徒歩3分。箱根湯本の旅館送迎バス(早雲通り線)も利用できる。
個人的な事情を書き連ねると、朝に近江屋旅館をチェックアウトして徒歩で駅へ向かった。下り坂基調だからさっさか歩ける。途中で正眼寺と早雲寺を見学して(後述)、さあ箱根湯本の駅へ…は行かず隣の入生田駅まで歩いた。そこで神奈川県立生命の星・地球博物館を見学(後述)。
その後は入生田駅から電車に乗って次の立ち寄り先へ…ところが途中で思いがけないやらかしに気づいたのである。やっべえー。あわてて近江屋旅館の方まで引き返すはめになった。箱根湯本の駅ではバスの時間がうまくあわず、結局徒歩で再び坂を登っていくことになり、パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。
無事にやらかしをリカバリーしたものの、もはや予定していた計画を実行する気力も体力も時間も残ってなかった。今はとにかく汗を流してさっぱりしたい。それから今宵泊まる湯河原へ行けば今日はもうおしまいだな。
そこで付近の日帰り温泉=箱根の湯へレッツラゴー。実は近江屋旅館に泊まると当湯の入浴券(平日泊なら無料券、休前日などは半額券)をもらえるのだ。せっかく引き返してきたのだから活用しない手はない。
にぎわいを見せる箱根の湯
ワンちゃんも入れる(?)温泉
入口の前に立つ看板によればワンちゃん用の露天風呂があるらしい(要予約)。もちろんお湯は天然温泉だろう。ワンちゃんもお湯に浸かって「あ゛ーきくぅー」と唸ったりするのだろうか。
では入館。普通は券売機で入浴券を買うが今回はもらった無料券を提出。たしか脱衣所ロッカーの鍵を受け取ったような気がする。受付の先にちょっとしたお土産コーナーやビール販売あり。
脱衣所では受け取った鍵番号のロッカーを使う。分析書が掲示されていたのでチェックすると「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」とあった。加水・加温・循環・消毒あり。
浴室の洗い場は9名分。その背後に6名規模の内湯浴槽があった。お湯は無色透明で浸かってみると適温。夏だと熱く感じそう&冬だと温まってちょうどいいくらいな温度だ。湯の花や泡付きは見られず。当時はやや塩素臭があったかな。極端な癖はない。
外には2つの露天風呂とジェット寝湯
露天エリアがやけににぎわっている。出てみるとまずかけ湯があって、右手に4名分のジェットバス寝湯があった。湯量は豊富そうだから、こういう仕掛け風呂も含めて全浴槽で温泉を使用しているんじゃないかな。ちょっとだけ体験してみた。適温。
その向かいは10名規模の露天風呂。典型的な岩風呂風ですね。ただし、にぎわいの源=若者グループが歓談所として占拠していたため、後まわしにして次へ。
一番奥は15名規模の岩風呂になる。半分程度の部分が浅めに作られ、その端っこに4筋の打たせ湯が落ちていた。また真ん中らへんにはボコボコとバイブラ的な泡が吹き出している。落ち着いて陣取れそうな場所を見つけて収まってみた(普通の深さの部分)。お湯の特徴は内湯をはじめとする他浴槽と一緒である。適温。
なお、露天エリアの各浴槽は頭上がほぼトタン屋根でカバーされているので、雨天でも大丈夫だろう。周囲は塀によって目隠しされているため眺望はない。
帰りの足はよく考えておこう
やがて先ほどの若者グループがこちらの岩風呂へ民族大移動してきたため、最初にスキップした岩風呂へ入れ替わるように移動。うーん、違いはわからない。どちらに入っても同じような体験ができるだろう。
さてと、汗を流したし、ずいぶんリフレッシュできた。当初の計画が総崩れになる中でアドリブで行動しているから、スケジュールに余裕があるのかどうかよくわからない。まだ早すぎる可能性もあるけど、そろそろ湯河原へ向けて出発するのが無難かな? と思っていつもより短めの時間であがることにした。
さすがに帰りは駅までバスに乗ろうか…えーい、しゃらくせえ、歩いたるわ。温泉に入って元気を回復したしな。こうして強気に歩き通したものの、翌日両足の筋肉痛に見舞われたのは自業自得。
長いおまけ:箱根湯本と入生田の見学スポット
曽我兄弟ゆかりの正眼寺
近江屋旅館をチェックアウトして駅まで歩く間に正眼寺と早雲寺を見学した。正眼寺は曽我兄弟ゆかりのお寺。「鎌倉殿の13人」視聴勢だったから心当たりがある名前だ。曽我兄弟の仇討ち事件をきっかけに源範頼が失脚したんだよな。範頼の供養名目で修善寺温泉まで行ったなあ。
正眼寺には曽我兄弟の供養塔がある。※下の写真の手前側
裏山には曽我兄弟の地蔵菩薩像を祀った曽我堂があった。
戦国の世に翻弄された早雲寺
続いて早雲寺へ。北条、といっても鎌倉時代でなく戦国時代の後北条氏ゆかりの寺。
本堂は戸が締め切られ、「猿が侵入するため閉鎖します」と張り紙してあった。ははあ猿ね…早雲寺は豊臣秀吉の小田原攻めの際に本陣が一時置かれた場所、しかもその後は用ずみとばかりに焼き払われちゃったらしい…そんなトラウマがあったんじゃ秀吉、いや猿に侵入されるのはもうごめんってことだろう。
本堂の中には入れずとも裏手の庭園をちょっと見ることはできた。
あと北条五代の墓もあった。早雲、氏綱、氏康、氏政、氏直。氏康は某無双ゲームでよくプレイした思い出。娘の早川殿が今川へ嫁いだ歴史はゲームで学んだ。
チ。―地球の歴史について―
その後は強引に入生田駅まで歩ききって神奈川県立生命の星・地球博物館へ。
予想していたよりも大規模な博物館だった。ふ~んっていう感じですぐに見終わるかと思ったらとんでもない。1時間はかかる。地球の歴史…とくに生命の誕生から現在までをテーマに、岩石・化石・骨格・剥製や昆虫の標本などを多数展示している。個人利用を超えた写真の公開は完全フリーでないため、ここでは見送ります。
まあ一見の価値ありですね。なぜこの地球だけが奇跡的に諸条件が揃って多様な自然と生物が栄えるようになったのか、翻ってそのような地球を生み得た宇宙だったのかと、あらためてセンス・オブ・ワンダーな気分になった。無限のマルチバースと人間原理で一応の説明がつくとはいえ。
博物館の先には神奈川県温泉地学研究所という施設もある。温泉おじさんとしては訪問せざるを得ないね。しかし、一般見学可なれどもハードル高し。観光施設でない普通の研究所だから週末閉館の由にて残念ながら我撤退す。箱根の山は天下の険、週末に当るや万夫も開くなし。
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