のどかな地で本格温泉をお気軽に - 湯ヶ島温泉 テルメいづみ園

湯ヶ島温泉 テルメいづみ園
伊豆2泊3日の中日は雲見から修善寺方面へ移動する。時間にたっぷり余裕があるし、どこかへ立ち寄り湯しようかなと。西伊豆~中伊豆にかけて多数の候補が考えられる中で湯ヶ島温泉に決めた。合理的な理由は説明できません。ただなんとなくだ。こういうのは気まぐれで決める方がうまくいくものだ(適当)。

ただし湯ヶ島となれば行きたい場所に心当たりがあった。日帰り入浴も受け付けている素泊まりの宿・テルメいづみ園である。自然に囲まれた環境で源泉かけ流しの本格温泉に入れるらしく、以前から心の候補リストに含まれていた。

ぬるめが好みなら、あくまで適温の範疇だが、内湯よりも露天風呂がおすすめ。わりとのんびりと湯浴みができる。

湯ヶ島温泉テルメいづみ園への道

松崎町の室岩洞にて

旅の2日目。西伊豆雲見の温泉民宿さかんやをチェックアウトして車を走らせたものの、今回も雲見地区をほとんど探索できなかったのが引っかかっていた。うーん、このまま湯ヶ島へ直行していいのか迷う…松崎の市街地に入る手前で室岩洞の標識を見つけてビビッときて駐車。

駐車場の向かいから急な遊歩道を下っていくと石切場跡の入口が現れた。室岩洞だ。係員も見学者もいない無人状態。
室岩洞
中はちょっとした迷路みたいになっている。水たまりの行き止まりがあったり人形が展示されていたり。内部を撮影した写真がなぜかひどくブレていて気味が悪いので掲載しないでおこう。右へ右へと進むといったん外に出て、石を斜面から下ろして船で運び出していたという現場に着いた。何気に遠くに富士山が見えますな。
室岩洞 石の運び出し場

長八美術館で漆喰鏝絵を見学

まだ時間に余裕があるぞ。よし、長八美術館にも行ったれ。伊豆の長八で知られる左官の名工・入江長八の作品を展示している、なまこ壁と洋風建築が融合したような建物だ。
長八美術館
入場料500円のところJAF割引により450円で入館。受け付け時のおすすめにしたがい、長八の活動経歴紹介ビデオを視聴して予習してから臨んだ。展示中の作品は、撮影OKマークの付いた一部の作品を除くと撮影禁止。以下は「春暁の図」という作品で撮影OK。
春暁の図
漆喰を用いた鏝絵(こてえ)なので表面の凹凸が作品に絶妙な立体感を与えていて面白い。アングルを変えて見ると味わいが変わったりするし。こちらは「富嶽」という作品。竹製の額縁に見えるものも実際は漆喰で作ってあるらしいぞ。
富嶽

湯ヶ島温泉の奥にあるテルメいづみ園

見学後は松崎町を離れていよいよ湯ヶ島へ。冬の仁科峠越えはちょっと怖そうなので避けて、時間的に変わらない稲梓→河津七滝ループ橋→天城峠のルートを取った。河津逆川ICというところから1年前に訪れた禅の湯近くの河津七滝ICまで無料の高速が開通していて、湯ヶ野へ下っていく狭隘くねくね道路を走らなくてすむようになっていたのはありがたい。

テルメいづみ園は湯ヶ島温泉の中でもずいぶん奥まったところで、かつて泊まった旅館「白壁」よりずーっと奥。温泉街に入ってから狭めの道をずーっと走ることになる。途中に修善寺からのバスの終点があり、バス停から歩くと8分とのこと。最後はこのような車1台分の幅の橋を渡る。
テルメいづみ園前の小さな橋

良質の温泉を提供してくれるテルメいづみ園

のどかな自然環境の中にある温泉施設

現地は温泉街の外れなので周辺は喧騒を離れたのどかな里の風情。先ほどの橋の上から猫越川の上流方向を眺めてみた。下流方向も似たようなものだ。
テルメいづみ園付近の猫越川
こいつはのんびりできそうだね。では入館。日帰り入浴は平日3時間・休日2時間制限で820円。廊下に分析書が貼ってあって「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」だった。脱衣所の説明板だとカルシウムとナトリウムが入れ替わっている。PH8.5。

湯使いについての記述は見当たらなかったが、何かの温泉協会の認定証みたいなのがあったし、加水加温なしは間違いないとして循環消毒もなしの気がする。脱衣所に100円戻らない式コインロッカーあり。

内湯は熱めの本格温泉を体験できる

浴室にはたしか4名分の洗い場と6~7名くらい入れそうな内湯浴槽があった。お湯の見た目は清澄な無色透明。浸かってみると熱めの適温。夏はともかく冬だったら、長湯は無理にしてもまあまあいい感じで入れる。湯の花や泡付きには気がつかなかった。

匂いはいかにもそれっぽい温泉臭。伊豆の温泉によくあるやつ。泉質名からすると石膏臭ってやつになるのだろうか。目視だけでは強い個性を感じなくても、匂いを嗅げば本格温泉であることが察せられるのである。こいつは本物だぜ。個人的な温度の好みを抜きにすれば、この内湯だけでも結構な評価を受けることだろう。

湯口からの投入量は十分。浴室は木の小屋っぽいつくり、浴槽は岩風呂風なので無味乾燥な雰囲気はなく、温泉気分を味わうための舞台設定は整っている。古びてることもなくて使い勝手面での安心感もある。

大小の露天風呂あり…うっかり小に入りそこねた

続いて露天風呂へ。まずチョロチョロとお湯が出ている小さめ・浅めの岩風呂があった。かけ湯槽かなあ。そこのお湯をすくってかけてみたら明らかにぬるめだった。あ、これに入りたい。ぬる湯派としてはここに入りたい。しかし見た感じ、かけ湯槽かもしれないなあ。

誰もいないし入ってみる?…いやいやいや!! 迷ったあげくに見送った。そのうち客が何名かやって来て完全にきっかけを失った。当日観察した範囲ではここに入る客はいなかったが、うーん、やっぱり普通のお風呂だったのでは。露天エリアにかけ湯槽ってなんだか不自然だし。後日のネット調査によると露天風呂のひとつだという情報を見つけて、今は後悔気味。

なので露天風呂はメインの岩風呂しか入っていない。15名くらい入れそうな広さがあり、周囲は緑豊かな環境でのんびりできる。猫越川がすぐ近くだけど目隠しの塀があるため川見風呂とはいかず。一応、なんとなく川の存在を感じることはできる。

若干ぬるめの大露天風呂とクールダウン用ベンチの組み合わせ

こちらのお湯は内湯よりも若干ぬるく、スムースな感触で肌になじみやすい印象がある。ぬるめといっても何十分も粘れるわけではなく、時おりクールダウン休憩を挟む必要はある。そのためにちょうどいいベンチが近くに用意されていた。

当時の寒さと風の強さからして、クールダウンじゃなくて急速冷凍って感じだったが、露天風呂とベンチを往復するとうまい具合に温冷交互浴もどきになってくれた。お、寒いけどいいじゃない。という自己満足をたっぷり重ねたところでタイムアップ。

予期した通り、風呂あがりのお肌はおそろしくすべすべになっていた。指先で小物を扱おうとしても摩擦係数が足りなくてうまく操れないと思えるほど。なんだかすげーな。

一人旅には敷居が高かったり、日帰り入浴も難しそうな高級宿が多い印象のある湯ヶ島で、気軽に湯ヶ島温泉を体験できるテルメいづみ園の存在はありがたい。お湯のクオリティと周辺環境は申し分ないし。いつかまた来ることがあれば、今度こそ小露天風呂に入らないといけないな。