上質湯を楽しめる日帰り温泉の切り札 - さいたま清河寺温泉

さいたま清河寺温泉
師走の伊豆旅行で2024年の温泉めぐりは終わり…と思わせてからのもう一発。年末年始はどこへも出かける予定がなく、新年最初の温泉計画まで間が空いてしまう。泊まりがけだのといわず、都会の日帰り温泉でいいので、どこかいいところはないか。

…いよいよ“あそこ”へ行く時が来たか。あまりに有名で行ったことがある方も多いであろう、さいたま清河寺(せいがんじ)温泉だ。湯質の評判が良くて好みのぬるいお湯だというから、真っ先に訪れてもおかしくない場所だったが、ここぞという時の切り札として、今の今まで温存していたのだ(意味不明)。

いやあ、清河寺パイセン、さすがっす。ぬるい生源泉はあるし、高濃度炭酸泉に限らずどの湯船も泡付きが豊富。まさに切り札。

さいたま清河寺温泉へのアクセス

清河寺温泉の最寄り駅はJR川越線西大宮。帰りに歩いてみたところ20分くらいだった。西大宮駅からバスで清河寺中央下車徒歩5分も可能だが、本数が少ない。

行きは主要ターミナルである大宮駅からのバスを利用した。大62系統リハビリセンター行きに乗って清河寺下車徒歩1分。他にもこの停留所を通る系統がある。バス停の目の前の建物が一瞬そうかと思いそうになったけど、どうやら介護施設ぽい。先へ向かって歩き出すとすぐに清河寺温泉の駐車場が見えてきて、その脇から入っていく。

駐車場は広いうえにかなりの台数が止まっていた。温泉施設としてはずいぶん大規模な部類じゃないか。入場しようと駐車場から向かってくるお客さん、逆に館内から出てくるお客さん、いくら待っても人の流れが全然途切れなくて、冒頭写真の撮影チャンスがまるで来ない。もうあきらめようかと思ったほどだ。


人気のほどがうかがえる清河寺温泉の様子

館内は小綺麗で居心地良さげ

駐車場の状況から予感してたし、年末時期でもあったし、混んでるんだろうなあと覚悟しながらの入場。下足箱の鍵を受付に提示してチェックイン処理をしてもらう。休日・年末年始は980円。下足箱の鍵には丸い電子タグが付いていて、それをゲートの機械に押し当てて正式に入館。

入ってすぐのところに100円リターン式の貴重品ロッカーあり。館内で支出する機会が食事処だけであれば、電子タグによる後精算方式なので財布をしまっても大丈夫。ただし自販機その他で現金を要するところが皆無とまでは断言できない(ちゃんと確認してない)。

中は小綺麗な感じで雰囲気はいい。カフェエリアと呼ばれるカウンター席・テーブル席・一部畳の間からなる区画がこちら。ネット利用を意識してか、カウンター席にはコンセントが付いている。ちなみにWiFiあり。
カフェエリア
カフェエリアに隣接する食事処の方を向くとこうなる。食事処のカウンターにもコンセントあり。なおドリンク注文のみの方は食事処は使えない。カフェエリアへどうぞ。
カフェエリアから食事処を向いた図

湯使いに高まる期待

あとはこんなマッサージチェアがあったり。ほかにも新聞を置いていたりネット利用を意識した休憩スペースがあったな。あるいはエステ室とか。
マッサージチェア
脱衣所・浴場内は当然ながら撮影禁止なのでスマホはここらで電源オフ。廊下を奥へ進んでいくと女湯に続いて男湯があった。脱衣所内にはコインいらずの鍵付きロッカーが並ぶ。縦長タイプと真四角タイプがあるから使いやすい方をどうぞ。

掲示されている分析書をチェックすると「ナトリウム-塩化物泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」と書いてあった。浴槽ごとに湯使いは異なり、加水なしが共通していると思われる。説明の中にある生源泉風呂は加温・循環・消毒なし、しかも38℃のぬる湯みたいだから期待しよう。

温泉使用の高濃度炭酸泉を擁する内湯

浴室に入ると内湯と露天に分かれる。内湯はまずかけ湯、左側に水風呂と26名分の洗い場。これだけカランが用意されていても結構埋まっていたから恐るべき集客。なおサウナは関心対象外のため真面目に探してない。

右側に白湯…着色されているように見えたから入浴剤入りかも…と檜風呂とアトラクションバス。アトラクションバスとは、ジェットバスなどからなる4~6名程度を収容できる区画だ。温泉は使われていない。

温泉おじさんとしては内湯は檜風呂一択になる。ここは加温・循環・消毒ありといえども温泉が使われており、しかも高濃度の炭酸が注入されている。温度は40℃とのことだ。お湯はクリアな黄褐色。浸かってみると数字通りの体感40℃で入りやすい。

高濃度炭酸泉というだけあってシュワシュワの泡が激しく付着する。一般にぬるめの炭酸泉は非温泉の場合でさえ人気があって常時満員御礼・ノーチャンスになりやすいのだが、ここは長時間居座るような人がいなくて適度に回転してくれるため、比較的チャンスを掴みやすかった。今から思えば露天風呂のクオリティが高いおかげで、そっちへ流れる客も多くてうまく分散したのではないか。


清河寺温泉の本領発揮は露天風呂

万人向き、かつ良質な源泉岩風呂

続いて露天エリアへ。背後に背の高い竹林があって景観面がいいですね。

右側に38℃の生源泉風呂と書かれた円形の浴槽がある。円を8等分するように8名入っている状態がすでに満員感を醸し出していたから後回しにして、いったん中央の源泉岩風呂に入ってみた。15名くらいは入れそうなサイズ。

加温あり、循環・消毒なし。檜風呂よりも濃いめな黄褐色のお湯は万人向きの体感40℃。隣のあつ湯風呂からの流れ込みと別途投入の源泉で温度調整している模様。

白っぽい粒状の湯の花が見られ、肌がなじんでくると細かな泡付きもある。匂いは塩化物泉によくあるやつ。ぬる湯ではないけどわりと長めに浸かっていられるし、全方位的にいい感じのクオリティなので、よろしいんじゃないでしょうか。当時も芋洗いレベルの混雑ではなかったし。

ぬるい生源泉風呂が最高すぎる

やがて生源泉風呂に空きができたのを確認してすかさず移動。やはり狙う人は多く、しかもぬるいだけに一度入ると長い(15分交代でお願いしますと注意書きあり)。円8等分フォーメーションが崩れる機会はそう頻繁に来ない。しっかり様子を窺っていこう。※みなさんちゃんと15分以内に出てくれるからノーチャンスの心配はない。

不感温度の生源泉はとても心地よい。自分がぬる湯派だからなおさらだ。お湯の特徴は源泉岩風呂に似ており、たまにふとアンモニア臭を感じることがあった。加えて泡付きがいっそう強まっていて驚くほど全身が泡だらけになる。

都会の日帰り温泉とは思えぬクオリティだ。人気になるわけだよ。良い意味で普通じゃない。近隣常連のみなさんはこれが温泉施設の普通レベルだと思っちゃうと後が大変だなと余計な心配をしてしまうくらいだ。脱帽でございます。

源泉あつ湯・寝湯・寝ころび湯・つぼ湯…充実ぶりがすごい

15分が経過したのでいったん出て、温冷交互浴のつもりで源泉あつ湯へ行ってみた。うまく詰めれば5名サイズ。加温あり、循環・消毒なし。42~43℃の数字以上に熱く感じるお湯はギューッと締め上げてくる感覚。もちろん長湯はできない。ほんわかぬる湯気分からキリッと覚醒させられた。

生源泉は満員だったので源泉岩風呂へ戻ると、温度差による不思議な感覚に襲われた。熱さでジンジンする感覚が肌に残りつつも、それがじんわり溶けてゆくような。これがあるから温冷交互浴はやめられないね。

さらに裏手には寝湯と寝ころび湯まであった。3名分ある寝湯は上半身を軽く起こす姿勢で入り、肩口までは湯に浸かる。泡付きは相当なもので人工炭酸を注入しているんじゃないかと思ったほど。一方、6名分ある寝ころび湯は仰向けに寝ると背中部分だけにお湯が触る。どちらも湯使いは未確認だが温泉使用だ。

まだ終わりじゃない。あとつぼ湯が2つ。ここは親子連れの利用が多く見られ、ほぼほぼ常時埋まっていてノーチャンスだった。こう見てくると、おそろしく充実した露天エリアだ。

こうして1時間経過。いったん浴場を出て休憩処でしばらく休んでからまた2度目トライしようかと思ったほどの良好なお湯であった(結局は一度きりにするかわりにもう少し粘って90分滞在する作戦にした)。なんでもっと早く来なかったんだろう…ずっと行かずに切り札と称して温存していた自分が馬鹿らしくなってしまった。なに考えてんだか。