炭酸泉と中央アルプスの眺望 - きそふくしま温泉 二本木の湯

きそふくしま温泉 二本木の湯
木曽で有名な日帰り温泉といえば二本木の湯。アワアワの天然炭酸泉が特徴らしい。晩秋の長野遠征で木曽へ行くことにしたので、二本木の湯は当然立ち寄り候補になる。問題は公共交通機関を利用して行けるかどうか。雪慣れしてない素人が車を運転するのを控えるべき時期はいつ頃からなのかが読めず、念のため電車・バスで向かうつもりだったからだ。

ネット調査を駆使した結果、バス・定期便タクシー・徒歩を組み合わせて計画内に組み込めそうだということがわかり、チャレンジしてみた。山間のかなりのどかな環境にある施設で、遠くに望む中央アルプスがいい感じ。お湯は炭酸泉にしてはぬるめでない適温の茶色濁りで噂通りになかなかの泡付き。

二本木の湯へのアクセス

バスと定期便タクシーと徒歩を駆使する計画

二本木の湯の玄関口はJR中央本線・木曽福島駅になるかと思う。もちろん駅から徒歩でカバーできる距離じゃない。当館まで直行してくれるバス便もない。桟温泉に泊まった翌日(平日)の10時過ぎに木曽福島駅にいた自分は次のパターンを採用した。

・行き
<10:40>木曽福島駅 [開田高原線バス・開田支所行き]
<10:53>渡合 [徒歩2km]
<11:20>二本木の湯

・帰り
<12:44>二本木の湯 [渡合行き定期便タクシー]
<12:48>渡合着
<13:05>渡合 [開田高原線バス・木曽病院行き]
<13:20>木曽福島駅

土日祝と年末年始は帰りの定期便タクシーが運休ゆえ、もし休日に応用するなら、帰りは12時30分までに二本木の湯を出て渡合までの2kmを歩きましょう。定期便タクシーは一般的なタクシー車種で、他にお客さんがいれば乗り合いとなる。渡合でバスに乗り継ぎますと申告するとバス込みで料金200円のお支払い。すると乗り継ぎカードを手渡され、バスの下車時にはカードを運転手さんに渡すことで支払い不要だった。

渡合から二本木の湯までの徒歩記録

行きに渡合から当館まで歩いた件についてもう少し記す。バス停の近くに二本木の湯の看板やのぼりが立っており、どっちの方角を目指すべきかは直感的にわかる。出だしは黒川にかかる橋を渡る。
渡合バス停付近の橋
最初のうちは民家がポツポツと点在する。まさに木曽路はすべて山の中っていう風景だな。
渡合から二本木の湯へ向かう途中の風景
次第に民家が消え、建物があったとしても無人の資材置き場だったりで、人の気配がすっかり失せてしまった。心細くなると同時に熊出没が心配になってきた。もう冬直前だし真っ昼間だから大丈夫とは思うけど。上り基調の道にもかかわらず不安で早足になるおじさん。二本木の湯はまだか。
二本木の湯がチラッと現れる
見えた…どうにか無事に着いたぜ。


ぬくぬくした二酸化炭素泉を体験せよ

中央アルプスが見える温泉施設

建物の背後の低地が駐車場になっている(建物付近にも数台駐車できるスペースあり)。そのはるか向こうに見える高峰は方角的に中央アルプスだと思われ、浴室や休憩室の窓からも望むことができる。木曽駒ヶ岳なのかどうかは知らん。
遠くに中央アルプス
低地部分にはバーベキュー場や源泉設備もあった。
源泉設備
では入館。受付で入浴料をお支払い。通常620円のところ、二本木の湯公式ホームページ経由で表示される割引券ページを提示すれば550円になる。お土産&休憩コーナーがこちら。ほかに畳の大広間の休憩室もあるし、そば・軽食系を提供していたりする。
お土産&休憩コーナー
男湯・女湯前の廊下に貴重品ロッカーがあるほか、脱衣所の中もコインいらずの鍵付きロッカーが並んでいる。壁に貼られた分析書をチェックすると「含二酸化炭素-カルシウム-炭酸水素塩冷鉱泉、低張性、中性、冷鉱泉」だった。20℃の源泉を40℃に加温。加水なし、循環・消毒あり。

細かい泡付きのある黄土色の濁り湯

浴室にカランは6台。あとは向かい合わせを許容して6名サイズの四角い浴槽。当時すでに4名ほどの先客の姿があり、小さめの浴室と相まって、平日昼にしてはわりと人口密度を意識させる雰囲気だった。その後も出入りがありつつ最後まで閑散とした状況にならず、なかなかの人気だなあと思った。

お湯は黄土色に濁って浴槽の底は見えない。浸かってみると、たしかに40℃ですねっていうくらいの適温。長時間粘るのは難しいが熱すぎるわけでもない。白っぽかったり茶色かったりする粒々の湯の花がたくさん漂い、匂いを嗅ぐと弱めな金気臭を感知した。そういえば「お湯の中の浮遊物は炭酸カルシュームです」と張り紙してあったな。

期待される泡付きについては、実は映える画になるようなわかりやすい大量のアワアワではない。お湯が濁っているため上から覗き込んでもあまりはっきりと泡粒を認識できないことがひとつ。そして泡じたいも細かい。お湯に浸かった自分の腕をじーっと見つめていると、やがて非常に細かい泡粒が付着しているのがわかってくるという塩梅だ。

とにもかくにも、加温すると炭酸が飛んでしまうと言われる中で、ぬる湯でない適温レベルで泡付きを保っているのは結構すごいことではないか。

なぜだかお肌が赤くなってる

泉質的に析出物が作りあげた石灰華を連想するが、床や浴槽の縁に茶色の千枚田模様ができかかっている、あるいはできた千枚田を削り取った跡のような光景に石灰華の存在を意識した。

浴室は上述の低地側を向いているので、中央アルプスを見ようと思えば見られたと思う。※下の写真は屋外でズーム撮影したもの。
二本木の湯から見える中央アルプス
さあて、そろそろ出ますかね。この手の温泉からあがる際は、体を拭いたタオルが茶色くなってしまうことがあるため、ふだんのポリシーを引っ込めて、肌に付いた温泉をシャワーで洗い流した。なんとなく、お肌が赤くなってるような気がする。ゆでダコ状態になるほどの熱いお湯じゃないのに。もしかして炭酸の泡パチパチの刺激のせいかもしれんな。

以上で二本木の湯をクリア。この先は冬らしい冬の天気にいつなってもおかしくない。行動に支障のないぎりぎりのタイミングだったかもしれない。思い切って決断してよかった。


おまけ:木曽福島の町並み散歩

宿場町の風情を残す一角

木曽福島といえば中山道の宿場町。二本木の湯を訪れる前日にバスの待ち時間を利用して町をぶら散歩してみた。情緒ある町並みが始まりそうな中八澤橋は駅から10分ほど。
中八澤橋
橋を渡って、まず最初のスポットは井戸。
井戸
続いて上ノ段用水というのがあって「のめます」と書いてある。いたずら書きのようにも見えるが信じて一口飲んだよ。
上ノ段用水
うーむ、タイムスリップしたような雰囲気だ。
福島宿の雰囲気が残る町並み
大通寺というお寺があった。中に武田信玄の三女・真理姫の供養塔やぴんころ地蔵あり。
大通寺
高札場の紅葉がきれいでした。
高札場の紅葉

関所跡と足湯

もっと先まで行くと福島関所跡がある。跡だから建物はない。
福島関所跡
その隣は福島関所資料館。300円。福島関所に関する各種展示です、ってなんの追加情報にもなってないな。
福島関所資料館
近隣に高瀬家資料館もあるけど時間の都合でパス。
高瀬家資料館
そろそろ駅に戻ろう。途中に木曽川親水公園と足湯コーナーがあった。足湯は自分が陣取るスペースのふたを開けて足を突っ込む方式。
木曽川親水公園の足湯コーナー
行人橋から木曽川・崖家づくり・歩行者用行人橋を眺める。いいねえ。
木曽川・崖家づくり・歩行者用行人橋
最後はまったく木曽と関係なく、最終日の帰路の塩尻で特急を乗り換えた際に発見したお店。
塩尻駅の狭い駅そば店
ネットでたまにバズる「日本一狭い駅そば店」かな。