都会のオアシスでまったり黒湯 - 深大寺天然温泉 湯守の里

深大寺天然温泉 湯守の里
前回の新潟遠征から次に予定されている旅行までの空白期間がわりと長く、しぶとかった夏がようやく終わって秋らしくなってきたのに何もない週末続きはもったいないと思って、単発で温泉へ行くことにした。遠方や宿泊を含む気合の入った話じゃない。気楽にサクッと都内の日帰り温泉。

調布の深大寺天然温泉「湯守の里」はモール臭の見事なまでの黒湯を内湯でも露天風呂でも提供している。どれも熱すぎないし、とくにぬるめの露天風呂が好みにマッチしててよかった。

1時間程度では帰らず、中で食事をしたり休憩したり2度目の入浴を敢行したりして、半日滞在した。近くの深大寺も“ぶら散歩”した。おかげでプチ旅行気分を味わえた、かな。

湯守の里へのアクセスと深大寺見学

せっかく深大寺が近いから見学してみる

京王線調布駅あるいはJR中央線武蔵境駅まで無料シャトルバスの送迎あり。1時間に1便あるようだ。また観光スポットの深大寺が近いため、京王線や中央線の駅からバスで深大寺下車からの徒歩という手もある。もし20~30分歩いてもよければ調布駅から徒歩でもいい。

とある秋の週末に、おじさんはバスに乗って深大寺まで来た。温泉に直行→入って直帰だけじゃ何だなあと思ったから、最初にぶらぶら散歩するつもりである。バス停から歩いていくと鬼太郎茶屋の旧店舗が(現在閉店)。深大寺は朝ドラ「ゲゲゲの女房」のロケ地だったな。
鬼太郎茶屋の旧店舗
では山門から入る。もう七五三が始まってるのね。
深大寺 山門
こちらが本堂でございます。参拝者は途切れることがない。
深大寺 本堂
すぐ近くにある茅葺屋根の旧庫裡の中は土間になっていて、今でもそば打ちが行われると書いてあった。
旧庫裡の内部

有名な深大寺そばまでは手が回らず

こちらが元三大師堂。七五三の祈祷はここでやってるみたい。
元三大師堂
そして国宝の白鳳仏を拝めるという釈迦堂は撮影禁止なので写真なし。白鳳時代の釈迦如来像だそうです。その後は秋田県の海底の大石に刻まれていたという観音像を祀った延命観音と、
延命観音
秘仏の深沙大王像が安置されている深沙堂をまわって、
深沙堂
境内の北に隣接する神代植物公園まで見学してたら1日がかりになってしまうから、ぶら散歩はここまで。門前通りには有名な深大寺そばを提供する店が並ぶが、どこも混雑してて行列のできてる店もあるし、そこまでがっつり食べなくていいんだよな。ってことで、そば団子で小休止。みたらしとごまだれ。
そば団子
じゃあ温泉に参りましょうか。深大寺から湯守の里までは住宅街の道を南へ進み、坂を下って徒歩5~6分程度。こんな感じの看板が見えたらゴール。中央フリーウェイが近いね。
湯守の里の看板

多くの客でにぎわう各種のお風呂

時間フリーコースでたっぷり利用するつもり

入館するといきなり温泉らしからぬ展示が正面にドーン。この左に下足箱、右に受付。
入館直後に目に入る展示物
受付で下足箱の鍵を渡して脱衣所ロッカーキー兼精算用の腕輪を受け取る。休日は60分コースが1000円、時間フリーコースが1180円だった。今回は時間フリーを選択。休憩を挟んで2回入るつもり。

廊下をずんずん進んでいくと奥に大浴場。男女の入れ替えはないようだ。脱衣所の手前に暗証番号ダイヤル式の貴重品ロッカーがあるほか、脱衣所では腕輪に対応した番号の鍵付きロッカーを使うことになる。

掲示されている分析書には「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」とあった。これが廊下の説明板だと「炭酸水素塩」が消えて「低張性→等張性」になっている。あくまで口コミ情報として、加水なし、加温・循環・消毒あり。

モール臭の黒湯を湛える内湯

浴室に洗い場は7名分。週末の都会の日帰り温泉ということで覚悟していた通り、お客さんが多くて混雑しており、空き待ち状態が発生している洗い場を久しぶりに見た。タイミング良く潜り込んで何とかなったが。もちろん湯船も芋洗いとは言わないまでもなかなかの人口密度である。

内湯は5~6名サイズの浴槽に常時3~5名が浸かっている感じだった。お湯の見た目は黒い。見事なまでに黒くて浴槽の底はまったく見えない。

適温のお湯は熱すぎないから、すぐにのぼせて出たくなることがないのは好ましい。匂いは黒湯のイメージ通りの木材系モール臭。ツルツルというよりは肌にしっとりなじむ感じがするなあ。窓は大きく、すぐ外の露天風呂の様子がよく見える。

洞窟型の電気風呂が付随する露天岩風呂

露天エリアへ出てみよう。出るとすぐに小さな池のようにも見える岩風呂があった。手を突っ込むと冷たい。水風呂ですな。うーん、パス。

続いて正面に大きめのメイン岩風呂。広く見えるけど不規則な形状だから10名はきついかもしれない。7~8名はいけると思う。こちらも適温で内湯よりも若干ぬるいようだ。黒湯でたまに発生しがちな、あぶくが集まって白っぽい集団になったやつが漂っていたりする。

もちろん住宅街なので周囲は塀や植え込みでガードされているが、岩や木をうまく配置して自然環境ぽい雰囲気をつくり出しているおかげで、開放感とリラックスムードが増している。※混雑によるワイガヤ感は仕方がないので無視しよう。

メイン岩風呂に接して「電気風呂」と書かれた石積みドーム型の一角があった。別名が洞窟風呂らしい。ここは客が入れ代わり立ち代わりでやって来る。電気風呂は苦手だし、自分はあえて参戦せず。

五衛門風呂は競争率高し

メイン岩風呂の脇には1名用の五衛門風呂あり。ここはかなりの人気で、空いてるチャンスがあまりないし、空きができても待ち構えたように後釜がささっと入ってしまう。熱いのかぬるいのか、手を突っ込む隙だけでもできないものか…ようやく体験できたのはずいぶん時間が経ってからだった(2回目の入浴時)。

うーん、これは普通の適温ですね。五衛門風呂だけ源泉100%だとかぬる湯だとか人工炭酸泉だとかいうわけではないのに、あの人気はなんだろう。独泉需要がそれだけあるってことか。

また、中に小さなお風呂が作られている小さな小屋もある。入口にお子様用って書いてあったのは気のせいだったかもしれないにせよ(ネットを探してもそんな情報はひとつも出てこない)、あえて突撃せず遠慮しておいた。

ぬるめの滝見風呂が個人的な本命

一番良かったのが奥の滝見風呂だ。5名でいっぱいになるくらいの石垣に囲まれた空間で、奥の壁が人工の滝になっている。その水が入り込んでいるのか知らぬが、ほかと比べてはっきりとぬるいのだ。余裕で長湯が可能なレベル。ぬる湯派なんでね、こりゃあいいや。

1名分の寝湯コーナーが作られていて枕になる部分もちゃんとある。そちらもたいそうな人気ぶりで、とくに高齢者が積極的に狙ってきてた。滝見風呂が全般に深めになっており、お湯の中で中腰ぽい姿勢になるか、さもないとあご上までお湯が来ちゃう感じだから、楽な体勢になれる寝湯はありがたいのだろう。

主に滝見風呂に多くの時間を割き、しかし当時の混雑状況で1箇所に居座り続けるのも良くないと思って適当に回転してあげて、適度に各浴槽をローテーションしたのであった。40~50分×2回の入浴ですっかり仕上がっちゃった。黒湯のあの匂いが体に染み付いてしまった気がする。


食事処と軽食コーナーで一杯飲んじゃいました

当館の2階には食事処があるので、1回目の入浴後に行ってみた。おひとり様向けのカウンター席は埋まっていて、ちょっと申し訳ないが空いてる座卓へ。ランチの繁忙時間帯を過ぎてるから許してもらおう。

深大寺ではお腹が空いてなかったものの、そろそろいけそうな腹具合だったから、とろろそばを注文。深大寺そばに分類されるのかどうかは知らない。プチ旅行なんだからビールもいっちゃいましょう。
食事処のとろろそばと生ビール
昼から風呂あがりの中ジョッキ。こいつはたまらんぜ。そば以外に定食・丼物やお酒のつまみになりそうな一品料理もあるな…しかし2回目の入浴をするつもりである以上、全力で飲み食いに走るわけにはいかない。

食後は広間で仮眠→2回目の入浴→送迎バスまでの時間つぶしのつもりで1階「お庭のごちそう屋」へ。昭和なムード漂う大人の駄菓子屋とでも言おうか。軽食・おやつ系がメインだけど、こうなったらやり切ってやろうと、またしてもビールを注文。

窓の外に足湯の跡が見える。今はやってないのだろうか。外の庭から遊び終わったお子様たちが駆け込んでくる場面もあり、なんだかまったりしてていいなあ。こうして平和な気分でプチ旅行を終えたのであった。