庶民派一軒宿の風情を残す日帰り温泉 - 三島谷温泉 永久荘

三島谷温泉 永久荘
町内の店頭からいっせいにお米が消えた「令和の米騒動」、あれはいったい何だったのか。新米が出回り始めたら急に復活したな(でも高い)。そんなふうにお米のことを考えていたら急に思いついたのである…米どころでおいしい新米を食べたいな~。というわけで新潟遠征を計画した。もちろん温泉めぐりの野望も込みで。

旅の1湯目は長岡市郊外の三島谷温泉永久荘。もともと旅館をやっていたのだが、2023年暮れにいったん閉館され、翌年の夏に日帰り営業で復活したという。ネット情報からお湯の質が良いような印象を受けたので行ってみることにした。レトロ感のあるお風呂場で浸かる黒湯はとてもよく温まるし、入浴後は肌のつるすべ感がすごい。

三島谷温泉永久荘へのアクセス

一応は電車+バスで行ける

JR長岡駅と柏崎駅を結ぶ路線バスが折渡という停留所を通る。そこから当館まで徒歩数分。ただしバスの運行本数には注意。昼は4~5時間あくこともあるようだ。

今回の遠征にはマイカーを活用した。距離と渋滞のことを考えて朝早めに出発したら、関越道が非常に順調に流れてくれて、ほぼ机上の計算通りに走れた。ただし天気は悪い。とくに群馬県内が本降りでどうしようもない。せっかくの旅行の日に限って、そりゃないよ…。

しかし天は我を見放さず。関越トンネルを抜けて新潟県に入ったら、曇り時々晴れくらいのずいぶん良化した空模様になっていた。よっしゃ、一気に畳みかけるぞ(何を?)。

南魚沼で寄りたいところがあったので

寄り道したいところがあったので長岡までは行かず、塩沢石打ICを出てから雲洞方面へ向かい、国道291号に入ってからひたすら南下すると、南魚沼市清水という地区で車両通行止めになる。その先は人が歩く登山道となり、それも途中で切れる。R291制定ルートの新潟・群馬県境区間は完全に道がないのだ…明治時代の一瞬だけ馬車道が開通していたらしい。詳しくは廃道探索「山さ行がねが」のサイトを参照のこと。
国道291号 清水側の通行止め手前
車道の最後はどうなっているか、単に見てみたかったのだ。のちにグーグルマップで調べるともう少し奥まで行けたみたいね。狭い道でUターンできずにドツボにはまる恐怖に襲われ、ここが限界でした。

ミッションクリア後は雲洞地区まで引き返し、いつもの…年1回あるかないかだけど…雲洞庵近くの鹿小屋さんでコシヒカリを食す。今回は鮎定食にしてみた。塩強め。
鹿小屋の鮎定食
鮎はもちろんのこと、ユウガオを用いた小鉢や味噌汁、花オクラから漬物までバッチグー。実質的な主役とも言える雲洞産コシヒカリは本来なら、おかわり or 大盛りを注文すべき一品だが、例によって胃の容量不足で入りません。ああ悔しい。
雲洞地区の田んぼ
稲刈りを終えた田んぼを眺めたらなぜか妙に安心した。地元じゃ終わりの見えない残暑にずっと苦しめられてたから、この風景を見て、秋が来たんだなとようやく実感できたからだろう。その後は再び関越道で六日町IC→長岡ICを経て、下道を10分あまりで三島谷温泉に到着。


体感以上に長居してしまったお風呂

かつての客室が並ぶ廊下の先に

もとは宿泊もやっている一軒宿だったから建物もそんな印象通り。建物の前が駐車スペースになっている。では入館。経営を引き継いだと言われればちょうど納得できそうな年代の新オーナー(?)に受付で入浴料をお支払い。600円。
永久荘の玄関付近
玄関右手の階段を上がった2階には、かつての客室が並んでそうな雰囲気があったし、大浴場へ行くために左手の廊下に沿って歩くと、客室の形跡を実際に目にする。写真を長押ししても4Kで読み込めません。
大浴場への廊下
この廊下をつきあたって左側に男湯と女湯があった。脱衣所は歴史の風格などという重い意味じゃなくて庶民の日常生活的な意味での昔懐かしい風情が残っている。小ぢんまりしている点もそのようなムードに一役買っている。分析書をチェックすると「ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉、低張性、弱アルカリ性、冷鉱泉」だった。源泉温度は20℃、浴槽使用位置で40℃に加温。

適温の黒湯が注がれる浴槽

浴室にカランは2台。あとは3名規模の小さな浴槽があるのみ。浴槽内を覗き込むと見事なまでに真っ黒だった。浴槽の底はまったく見えない。お湯を手や洗面器ですくったりして少量にすると烏龍茶のような焦げ茶系の色味が出てくる。こいつはアレだな、南関東で時おりお目にかかる黒湯ってやつだな。モール臭がするんだろう。

浸かってみたら適温。おじさんはぬる湯派なので、体温と同程度以下の温度に30分とか1時間入り続けるのを好むが、当湯はそういうタイプではないし、逆にヒリヒリくるあつ湯でもない。普通の温度だ。真っ黒だからお湯の中の様子はよくわからない。湯の花や泡付きはなさそうに思うが。

匂いを嗅いでみたら、たしかに軽いモール臭の印象があった。おそらく消毒あり(・加水なし・循環あり)と思われるものの、塩素臭はとくに感じなかった。浴槽のサイズに比して湯口からの投入量は多い。お湯の回転率は結構高いんじゃないかな。

ちょっとツルツルした感触もあり、温度の数字表記以上によく温まるなあと思ったし、こういうタイプを好む人は多いのではないだろうか。

お肌のつるすべ効果に注目

窓の向こうは駐車場になってる敷地の一部だ。目の前に木がいっぱい植わっていて目隠しの役割を果たしているからご安心を。小さめの浴室で一人、黒湯を独占する静かな午後の時間。なんかいいなあ…だが人々が当湯を放っておくはずもなく、やがて隣の女湯に客の気配が。そしてすぐ男湯にも一人、そしてまた一人、新たな客が加わった。

時計がないから正確にはわからんが、すでに30分以上は経過してるはず。じゃあそろそろ潮時かな。あがってからスマホをチェックしたら50分滞在してたみたい。そんなに入浴してたんだ、思ったより粘ったな。

まあそれだけいいお湯だったってことでしょう。湯あがり後しばらくしたら指先がすごくシワシワになっていることに気づいたし、異常なほどのつるすべ肌になっていた。ほほう、やりますな。永久荘だけにお湯はA級そうね。