湯治療養に向く、泡付き+モール臭+ぬるめの湯 - 寺宝温泉

寺宝温泉
長岡の寺宝温泉の名前をネットで見かけることがよくあった。その時は、きっといい温泉なんだろうなと心に留めておく程度であったが、このたび寺泊への遠征が実現する運びとなったので、ちょうどいい機会だから噂の寺宝温泉にも立ち寄ってみることにした。

あらためて調べてみると、源泉かけ流し…当館は源泉かけ捨てと呼んでいる…で泡付きが豊富で温度はぬるめらしいとわかった。見事なまでに自分好みの要素が満載だ。これは行くしか中橋でしょう(蔦屋重三郎)。

内湯・露天を含めていくつかの浴槽があって、ぬるかったり泡がものすごく付着したりというように、特徴はそれぞれにしても、お湯のクオリティがたしかな点は共通している。評判になるわけだ。

寺泊・魚のアメ横から寺宝温泉へ

電車で寺宝温泉へ行く場合、JR長岡駅から与板行きバスに乗ると25分程度で寺宝温泉前に着く。そしたらもう目の前。運行本数には注意。日帰り利用の旅行者目線だと行きは12時台か15時台・帰りは平日16時台(土日は17時台)の組み合わせくらいしかなさそうだが…。

自分はマイカーで。朝、寺泊温泉北新館をチェックアウトして、まずは有名な魚市場通り=魚のアメ横へ。寺泊まで来てここを無視するわけにはいかない。下り坂の天気予報ながらもまだ降らずに耐えていたので、前日に続いて今のうち日本海を見ておくことにした。近くの寺泊中央海浜公園が砂浜になっている。
寺泊中央海浜公園
しかし波打ち際まで歩く根性はなかった。今日はこれくらいにしといたるわ。…さてと、市場の方に行ってみましょうかね。
寺泊 魚のアメ横
角上魚類は南関東にも店舗がいくつかあったな。休日などはすごい人気で、駐車待ちの車が列をなしていたりする。あれの本店/発祥の地がここってことなのか。

旅館の朝食でお腹いっぱいだからなにか食べるつもりはなく、旅行中に生鮮品を持ち回るわけにもいかず、何軒かのお店をぶらつきながら乾き物や加工品のお土産をいくつか購入した。

じゃあ寺宝温泉に参りますか。土地勘がないためカーナビ任せで、どこをどう走ったのか理解してないけど、寺泊駅近くを経由してしばらく信濃川沿いを走った後、与板の町並みを抜けて南下したのだと思う。寺宝温泉じたいは高速の長岡JCTに近い。


有能な特徴を有する寺宝温泉

宿泊もやっている施設

寺宝温泉の隣地に赤い鳥居が立っていた。諏訪神社と書かれている。
寺宝温泉付近の諏訪神社
もうひとつ目立ったのが駐車場の奥にある源泉を扱う設備ぽいやつ。思わず撮影してしまう。
源泉設備と思われる
当館は日帰り温泉だけでなく宿泊対応もやっている。源泉設備のあたりから建物の裏側を見ると低層団地のようにも見えてくるのであった。
裏から見た寺宝温泉

タイミングがあえば巨石風呂に入れるらしい

では入館。玄関入ってわりとすぐのところにあった畳の休憩室は昼時だったせいか満員御礼に近い状態。居場所の確保は課題になりそう。あいまいな記憶ながら、鍵付き下足箱あり、入浴料は800円、大浴場までの廊下の途中に無料の貴重品ロッカーあり。

脱衣所の分析書によると「ナトリウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」である。加水なし・加温あり・循環なし・消毒あり。給水器の前の壁に各浴槽の温度設定が図示してあって、2つの内湯が41℃と38℃、露天エリアにある2つが両方38℃だったかな。

その図には男湯女湯共用にも見える形でもうひとつの38℃浴槽が書き込まれていたが、実際には日ごとに片方からのみ利用できる巨石風呂だった。※この日は男湯側の扉が締め切られてて利用できなかった。

浴室の洗い場は4名分。なんとカランのお湯も温泉だった。白い洗面器で受けると茶褐色を呈していたから間違いない。やってくれますな。

じっくり浸かれるぬる湯を擁する内湯

さて、2つの内湯はどちらも4名サイズで茶褐色のお湯が注がれ、入ってみないと違いはわからない。向かって左側は適温だった。こっちが41℃の方だな。自分には少々熱かったので、ちょっとだけ入ってすぐに出た。もう一方はぬるい。はっきりとぬるい。じっくり長湯に向いている。

湯の花や泡付きは意識されなかった。後述のように露天は泡付き豊富だったから、内湯がこういう特徴なのか、あるいはたまたまのタイミングの問題だったのかは、よくわからない。匂いはモール臭の系統だ。

ぬる湯を最重視するなら内湯がおすすめ。露天側の浴槽もぬるいけど、こっちの方が一段とぬるい。自分はひと通り体験した後もなぜか「ぬるさは全部同じ」と思い込んで、ほとんど露天側ですごした。最後の最後に内湯に戻ってきて、「あれ? ここが一番ぬるかったのか。こっちに時間を割く手もあったな」と反省した次第。

泡付き豊富な露天岩風呂

露天エリアは全体が半透明素材の屋根で覆われている。2名分の洗い場があり、手前に岩風呂と奥に檜風呂。岩風呂は縁に沿って6名くらい入れるサイズ。湯口からの投入はまあまあとして、あちこちで表面にぷくぷくとあぶくが浮かんでは消えているのが気になった。

とにかく浸かってみよう。温度はぬるめ。内湯のぬるい方と同じくらいと勘違いしてしまったが、実際はこちらの方が若干温度が高かったと最後に実感したのは前述の通り。30分や1時間続けて入れる水準にはもう一声ってところ。

驚いたのは豊富な泡付きだ。浸かってしばらくすると身体中が泡だらけになった。こりゃすごい。表面のあぶくは勢い余った気泡たちが集結して派手に弾けていた場所なのではないか。各地で泡がよく付く温泉に入ってきたが、当湯もかなりのレベルだ。

上には上が…泡付き一番の檜風呂

檜風呂は4名サイズ。湯口から湯尻にかけて微妙に傾いているように見える。自然と湯尻からお湯がこぼれるようにしているのだろうか。湯船を覗き込むとやっぱり激しく弾けるあぶくが目に入る。

温度面は岩風呂と同じくらい。泡付きも同じくらい…いや、ここが一番すごいかもしれない。えらいことになってるなー。尋常ではないぞ。泡のことばかり書いてしまって、それだけがセールスポイントかのように認識されるのは本意ではないけど、どうしても派手な泡付きに意識が向いてしまう。

露天側で泡付きを堪能するか、ぬるい内湯で長湯を楽しむか、どちらのスタイルでも大変に満足できるだろう。前者が大半を占めるお客さんの中で、1名のお客さんだけが後者に振り切ってずっと内湯に張り付いていた。ふむ、わかってらっしゃる。

寺宝温泉はもともと湯治療養を謳っているくらいで、お湯の質や入浴効果には自信ありとみた。自分が体験した感想も実際に良い温泉だと思う。おかげで天気は下り坂でも体調は上り坂、って感じで次に向けて出発したのであった。


おまけ:摂田屋地区の酒ミュージアム醸蔵

寺宝温泉の後は長岡市内の酒ミュージアム醸蔵へ。蔵元の吉乃川が自社敷地内で運営している。駐車は向かいの市営摂田屋駐車場を利用のこと。
吉乃川 酒ミュージアム醸蔵
2階まで吹き抜けのホールにいろいろ展示している。日本酒のことは正直詳しくないのだけれど、なにかの工程で使われる器具と長岡花火の正三尺玉の並びがこちら。
酒ミュージアム醸蔵の展示物
立ち飲みバーもあったぞ。車の運転がなければ試飲してみたかったぜ。飲めないかわりに販売コーナーで自分へのお土産として300mlボトルを2本購入した。俺、無事に帰り着いたら飲むんだ…(やばいフラグ)。

近隣の摂田屋地区一帯は醸造の町として知られ、酒だけでなく味噌や醤油の蔵元も集まり、あちこちに貴重そうな建物が保存されていて街歩きが楽しそう。
旧機那サフラン酒製造本舗 道具蔵
路地は細く入り組んでいて、車で迷い込むと大変なので(経験者談)、その点だけはご注意。