オロロンラインでふらっと湯浴みを - とままえ温泉ふわっと

とままえ温泉ふわっと
北海道には梅雨がないと聞いたことがある。であれば、本州以南が梅雨入りしたくらいの季節は、北海道の温泉めぐりに行けばいいのでは? という単純な発想で道北遠征を決めた。ただし、稚内IN/OUTだと飛行機代がお高くなるため、旭川IN/OUTで長距離運転を頑張る作戦。

それでも利点はある。旭川から留萌へ出て、あとはひたすら海岸線に沿って北上するオロロンラインを走れば、流れる景色が楽しい、ロマンいっぱい夢いっぱいのドライブになるだろう。実際は雨がちだったが…。

そんなオロロンラインの途中で立ち寄ったのが「とままえ温泉ふわっと」だ。ふわっとしているかどうかはさておき、ちょっとしょっぱい強塩泉だった。

とままえ温泉ふわっとへのアクセス

大都市からバス便あり

札幌・旭川・留萌から羽幌方面へのバス便があるようだ。ただし本数注意。苫前上町というバス停で下車すると徒歩5分。

上に書いたように自分は羽田から旭川まで飛んで空港近くでレンタカーを借りた。今回の特徴は、とにかく移動・移動・移動だ。もたもたしている暇はない。さあ行くぞ。

細かい地理がよくわからんので完全にカーナビまかせ。旭川北ICから道央道に入ったようだったが、いま地図を見ると旭川鷹栖ICから入るより遠回りな気がしなくもない。市街地を通らない分だけ有利なのかな。まあ細かいことは気にしない。

雨のオロロンライン

旭川北→深川JCT→深川留萌道へ入り、あとは終点留萌までずっと高速。その先はオロロンラインだ。留萌に着いたらパラパラと雨が降り出してきた。あああ、これじゃドライブの醍醐味が半減する。鉛色の空に灰色の海に眺望を遮る白い霧。軽快さと郷愁が同居するロードムービーというよりは、どろどろしたド演歌の世界じゃないか。

しかし天気を恨んでも仕方がない。道北の特徴ある温泉群をなんとかして体験したいという思いを長年募らせてきたので、それが叶うなら100点満点と思うべきだ。

なんてことを考えながら運転すること150kmあまり、昼近くになって苫前へ至り、目的のふわっとが現れた際に浮かんだフレーズは…ふわっと参上、ふわっと解決、人呼んでさすらいのヒーロー、とままえふわっと!(特定の年齢層しかわからないか…)


鉱物臭のする塩化物泉を非加水でどうぞ

展望所を兼ねた足湯コーナーあり

玄関目前の駐車スペースはすでに埋まっていた。その隣に宿泊者用駐車場をはさんで特に限定指示のない広めの駐車場があったからそっちに止めた。事前の思い込みで日帰り専門かと思ったら宿泊もやっているのね。現地は道の駅も兼ねているようで、よってけ屋なる物産直売所がある。
よってけ屋
では入館。券売機で入浴券(500円)を買おうとしたらJAF割引の説明を見かけたため、受付で400円を直接お支払い。まっすぐ進んでいったん屋外へ出ると展望所&足湯コーナーがありんす。
ここから外へ出ると展望所&足湯コーナー
また右手に進むと、いかにも北海道らしいブツを見つけた。海鮮自販機だって。
海鮮自販機
そういえば小腹が空いてきたな。旅館の夕食のことを考えると昼にガッツリ食うわけにはいかないが、空腹を我慢して温泉に入るのもよろしくない。風呂の前に右手奥のレストランでエネルギーを補給しておこう。主なメニューは麺類・カレーなど一般的な内容。その中から醤油ラーメンを注文してみた。
醤油ラーメン
お味は…うん、醤油味のラーメンですね。

おこもり空間的な場所に内湯メイン浴槽

さて大浴場へ行きますか。受付から左手へ進む。まず暗証番号ダイヤル式の貴重品ロッカーと100円リターン式の下足箱があるエリアを過ぎて、奥に男湯と女湯。脱衣所の分析書をチェックすると「含ヨウ素-ナトリウム-塩化物強塩泉、高張性、弱アルカリ性、高温泉」だった。加水なし、熱交換式の加温あり、循環あり、消毒あり。

浴室にカランは9台。左手前には本来の主役たるメイン浴槽があった。しかし細長い袋小路のおこもり空間になっているためにあまり主役ぽくない。浴槽は石風呂の雰囲気になっており、壁は石垣風だ。広さはゆったり3名~詰めて5名のサイズ。

お湯の見た目は底が見えるくらいのささ濁りな茶色。電光板の温度表示は41.7℃で体感的にも適温だった。お湯の中にふわっと漂う小さい粒は湯の花だろうか。泡付きは特になし。匂いをくんくんすると鉱物臭を感知した。塩化物泉らしい特徴ですな。

主役のように見えるのはジャグジー風呂

このメイン浴槽が脇役に見えてしまうほど、浴室の真ん中にデーンと構えているのがジャグジー風呂。なんていうか、Ωみたいな形をした外周部が浅い足湯のような寝湯のような感じで、中央部にあたる3名サイズのジャグジー風呂からあふれたお湯の受け皿になっている。

ここのお湯も茶色系だから温泉を使用しているんだろうか。ほとんど利用しなかったから細かい点はわからない。そして浴室の左奥にある2~3名サイズの小浴槽はお湯が透明だから非温泉でしょう。温かいので水風呂ではない。

露天風呂はないのだろうか。右奥に屋外へ続いてそうなドアがあったので行ってみると屋外ではなく、屋内の展望&クールダウン休憩コーナーだった。窓越しに苫前の港や海が見える。次の写真は最初に紹介した足湯&展望所から撮影したものだが、だいたいこんな感じの景色である。
苫前港と日本海

露天風呂のお湯は濁りが強い

うーむ、内湯しかないのか。たしか露天風呂もあるっていう情報だったがな。落ち着いて探してみると、メイン浴槽おこもり空間の近くに、一見サウナ室へ続くようなドアがあった。実際はサウナ・水風呂・露天風呂を集めた中庭空間への出入口だった。

サウナと水風呂は関心外なので割愛します。露天風呂は3名サイズの岩風呂で、電光板の温度表示は40.7℃。ただし時間とともに41℃オーバーへと上昇していった。

お湯は内湯メインと違って濁りが強く、底は全く見えない。そして見た目の色が茶色というより黄土色、いや、もはや黄色といっても差し支えないレベルだった。内湯メインと全然違ってて濃ゆそうな印象を与えるな。実際の浴感は同じようなものだが。なお、小さな中庭につくられた風呂であるため建物の壁に囲まれて眺望はない。

湯めぐり遠征で来ているので内湯メインと露天風呂に集中して、いつもより若干短めにタイムアップとした。これからまだまだ運転しなきゃいけないんでね。とりあえずさっぱりして午後へ向けてリフレッシュできた。ふわっと解決。


おまけ:三毛別ヒグマ事件復元地

当館を出てから、次に目指したのは三毛別ヒグマ事件復元地。知る人ぞ知る、史上最悪の獣害事件のアレだ。当館から往復50km程度。事前調査では、人里離れた地・熊が出そうな雰囲気・携帯通じないなどの情報があり、正直かなりビビっていた。

ベアーロードと名付けられた県道は、わりと快適に走れる片側1車線道路。途中には民家や農場とともに人間の気配もあるものの、次第にまばらとなり、最後の数kmは大自然の中。熊に遭遇しちゃったらどうしよう…幸いにもそうならずにすんだが、キタキツネが道路を横断するところは行きと帰りに1回ずつ見かけました。

最後の数百メートルはすれ違い困難な未舗装道となり、その行き止まりが現地となる(道路はそこで通行止め)。数台分の駐車スペースあり。携帯はたしかに通じない。こんなところで車が故障して動かなくなったら地獄ぞ?
三毛別ヒグマ事件復元地の説明板
展示されているのは復元された民家と熊のオブジェ。事件当時の熊って本当にこの大きさだったの? こりゃあ無双し放題だわ。
三毛別ヒグマ事件復元地の展示物
訪れる観光客は多いようで、到着時点で先客が1組、5分程度の滞在中にもう1組やって来たし、帰りは未舗装区間を脱出するまでに2台とすれ違う羽目になった。そういう意味では孤独じゃないから心強いけど、やっぱり怖いので写真を撮ったらすぐ退散しました。