旭川→留萌→オロロンライン経由で豊富まで達した今回の遠征、帰りは距離がより短くてすむ豊富→音威子府→名寄経由の内陸ルートを取った。市街地ごとに渋滞するのかどうかや運転時間の勘所もわからないので、安全策で観光スポットへの寄り道を考えないことにするといっても、1箇所くらいは立ち寄り湯したい。
本来のルートから大きく外れない場所で、気軽に日帰り入浴できる施設はないものか。検討した結果、音威子府村の天塩川温泉に決めた。大正時代に常盤鉱泉という名で利用されたのが始まりらしい。現在は宿泊用客室を備えた保養施設として営業中。
3つある浴槽のうち温泉を投入しているのはひとつだけだが、薄緑の炭酸水素塩泉を体験できる。
天塩川温泉への道
天塩川と並走しながら南下する
最終日の朝に豊富温泉・ニュー温泉閣ホテルをチェックアウトしたおじさん。北海道2泊3日じゃ余裕がないなあ。おかげで今日の夕方までに旭川へ戻らなければならない。理論上は全然間に合うけど油断は禁物。とにかく天塩川温泉に寄ったら、あとは時間に余裕を持ってレンタカーを返すことを最優先に行動しよう。怖いのは悪天候だな。
豊富から幌延までは無料の高速道路を走れた。幌延からカーナビが指示したのは国道40号ではなくて、JRと付かず離れずで並走する道道だった。北海道のイメージに合う牧草地帯の中を走る。
天塩町雄信内で国道40号に合流して以降は、JRに加えて天塩川と付かず離れずの並走が続き、山と山の狭い間を縫うような蛇行や渓谷的な風景が見られる。しかし強い雨のせいで霞んじゃってるし、どこかで車を止めて撮影しようという気にもならない。晴れていれば別の展開があったかもしれんなあ。
温泉名を冠した駅がある
とにかく気を張りつめて100km近く走ったように思う。ようやく音威子府村に入り、咲来(さっくる…なんかカッコいい響きだ)地区まで来ると、天塩川温泉の看板が見えたので右折。
途中でJR天塩川温泉駅のそばを通りかかったところで記念撮影。あたりに人の気配はない。車から少し離れただけで「熊が出てきたらどうしよう」と不安になってしまうビビリなおじさん。
駅から先、当館までの数百メートル区間は対向車が来たら嫌だなと感じる狭い道。祈りながら走り抜けましょう。ちなみに途中の赤い橋の下に流れるのは天塩川だ。こんな場所に湧く温泉とは、まさしく天塩川温泉ですな。
常盤鉱泉を源とする天塩川温泉
券売機に気になるラインナップが
いよいよ強くなる雨の中を駐車場からダッシュで当館へ駆け込み入館。券売機は入浴券(500円)に加えて食券も売っていた。なになに?…源泉そばとな。音威子府といえばそばが有名だし、源泉そばとは何なのかも気になる。心に留めておこう。
こちらがフロント横の売店でございます。天塩川温泉の始まりは常盤鉱泉と呼ばれる飲泉だとかで、売店で温泉水を売ってた気がする。
右に折れて通路奥に大浴場。右が男湯で左が女湯。脱衣所に100円リターン式の貴重品ロッカーあったと思うけど記憶あやふやで自信なし。掲示されてる分析書には「ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉、低張性、中性、冷鉱泉」と書かれていた。加水なしの加温・循環・消毒あり。
薄緑の湯を湛えたメイン浴槽
滞在中に浴室のお客さんは自分以外に多くて1名。独占状態の時間帯も多かった。洗い場は11名分。わりとコンパクトにまとまった浴室で、ほかには5名サイズのメイン浴槽と3名サイズの小浴槽が並ぶのみ。どちらもクリアな薄緑色のお湯に満たされている。
まずメイン浴槽へ。こちらは薄緑の色がはっきりわかる。浸かってみると適温。熱すぎることはないけどぬるくもない。平均とはこういうものだというお手本のように平均的な温度だ。そして湯の花や泡付きは見られず。匂いに個性的な主張はないかわり塩素臭もしない。
炭酸水素塩泉ならではのつるつる感はあるようでないようで、よくわからなかった。飲泉利用もできるほどにマイルドで総合的に良いお湯とは思うが、なにせ今回入ってきた温泉が個性派揃いだっただけに…特にてしお温泉夕映と豊富温泉が強烈すぎて…印象面で弱くなってしまったのは気の毒だったか。ちなみに湯口からの投入は止まっているようにも見えた。
気泡ボコボコの小浴槽
お隣の小浴槽はバイブラの気泡がボコボコしていて本当の色はわかりづらい。初見は薄緑色と判断したものの、実は無色透明でしたと言われても反論できないくらいに微妙なライン。浸かってみてもメイン浴槽のお湯との違いには気づけなかった。
しかし後日の調べによると小浴槽は地下水を使っているみたいですね。つまり非温泉のバイブラ風呂だったわけだ。いずれにせよ気泡ボコボコは得意じゃないんで、主にメイン浴槽に時間を割いていた。温泉目的で立ち寄った自分としては結果オーライ。
非温泉ながら露天風呂もあり
露天風呂もありんす。4名サイズの岩風呂で、眺望を遮る塀などはなく、眼前に広がる農場(?)だか草地(?)だかを見ながら入浴できる。しかし明らかに無色透明湯だったし、匂いを嗅いだら塩素臭がしたから、非温泉だなと判断してすぐに内湯へ戻った。後日の調べでは露天風呂も地下水を利用。
ということで大半の時間をメイン浴槽で過ごして出た。湯あがりはやけに喉が乾いたなあ。休憩室で提供されていた水がうまくてゴクゴク飲んじゃった。あれが常盤鉱泉の飲泉提供だったらいいな。
湯あがり後にいただく源泉そば
帰る前にどうしても心に引っかかったのが源泉そば。うーん、いつもは旅館の朝食で十分満腹になって昼飯を抜くんだけど、どうすっかな。音威子府まで来てそばを食べずに帰るのもアレだし、チャレンジしてみるか。
ということで券売機で源泉そばの食券を購入。券売機の奥のロビー風の場所と食堂風の場所がくっついたようなスペースは、どちらにもお客さんが座っていて決まりはなさそうだったから、食堂風の方へ着席。しばらく待って、はい来ました、源泉そば。
温泉水を練り込んでいるらしい。シンプルな「さるぞば」を注文したが、代わりにもう少しお高い「音威子府ざるそば」を注文していたら、かつて駅そばで有名だった黒い麺が使われたのかもしれない。さすがにナトリウム・マグネシウムとか炭酸水素塩だとかの形跡がわかるはずもなく、純粋においしいおそばとしていただいた。
あーお腹いっぱい。晩飯はいらんな。なお、源泉そばのほかに源泉ラーメンというメニューもあり、こちらも人気を集めていそうだった。参考までに。