北の大地に天空と海洋のロマン - しょさんべつ温泉 ホテル岬の湯

しょさんべつ温泉 ホテル岬の湯
留萌から天塩方面へオロロンラインを北上する途中に初山別村がある。ご当地は天文台で知られるほか、温泉宿もあることがわかった。旭川空港を出発してからずーっと運転していって、途中で立ち寄り湯やちょっとした観光なんかもしたりすると、初山別のあたりで1泊はさむ必要があった。

夜も運転し続けたり車中泊したりすれば、オロロンラインを一気に走破できるのかもしれないけど、そこまでやる気もないし、夕方以降は温泉宿でゆっくりしたかったのでね。

というわけでお世話になったのが「しょさんべつ温泉 ホテル岬の湯」だ。岬というだけあって露天風呂から海が見える。天気が良ければ夕日に染まる海と利尻富士が見えたかもしれんなあ…。

しょさんべつ温泉「ホテル岬の湯」へのアクセス

オロロンラインをひたすら走る

札幌からの特急バスだと豊岬停留所から徒歩15分、留萌からの路線バスだとホテル玄関前にしょさんべつ温泉停留所がある。

自分はレンタカー。今回は狭隘な山道を走る予定もないし、ロングドライブになるから軽自動車じゃない方が疲れにくいだろうと考えてコンパクトカーを予約したら、コンパクトSUVの車種を割り当てられた。おかげで肉体的にも精神的にも楽に運転できた。

途中の苫前で「とままえ温泉ふわっと」へ立ち寄り入浴し、怖いもの見たさで三毛別羆事件復元地を見学してから初山別へ向かったのであった。本当は羽幌の道の駅(ここにも温泉施設あり)に寄ろうかなと思っていたが、北海道の広さをなめてました。時間が足りねー。残念ながら羽幌はスルー。

しょさんべつ天文台に行ってみよう

当ホテルの立つ一帯は「みさき台公園」として整備されている。高台の駐車場から見下ろした景色がこちら。中央に見える建物がホテル岬の湯だ。
みさき台公園内に立つホテル岬の湯
道の駅・キャンプ場・野球場・パークゴルフなどと共に天文台も公園内に含まれる。チェックイン前に天文台を見学しましょうかね。90年代のドラマ・白線流しのロケ地になってたところだ。
しょさんべつ天文台
入館料は200円で中はそんなに広くない。1階に各種展示やビデオ上映があるんだけど、なぜか漫画コーナーがあり、なぜか星一徹の家の間取り模型が展示されていた。星だから?
星一徹の家
3階には65cm反射式天体望遠鏡が。上のドームが開いて観測するわけね。なんかピンボケしてるな。
65cm反射式天体望遠鏡
2階から外へ出ると展望所になっていて、キャンプ場と灯台と海が組み合わさった楽しげな風景が目に映る。これで晴れててくれれば…。
しょさんべつ天文台2階から見る景色

フォトジェニックな豊岬金比羅神社

天文台を出て丘を下り、海岸線まで出てみると、豊岬金比羅神社があった。波打ち際の鳥居がエモいですな。
豊岬金比羅神社
天気とタイミングに恵まれれば、夕日と海と鳥居と水平線上に利尻富士の三角形がちょこんと見えるみたい。ネットにそういう画像が出回ってる。そんな絶景に出会いたかったけど、雨がちな曇りではどうにもならん。あきらめてホテルへ入るとするか。


みさき台公園の一角に整備されたホテル

お向かいは道の駅

ホテルの向かいは道の駅☆ロマン街道しょさんべつ。
道の駅☆ロマン街道しょさんべつ
ホテル建物の左端には日帰り客専用玄関みたいなつくりが見られるが、日帰り客も正面玄関から入るように指示が書いてあった。
日帰り客用玄関の跡?
ではチェックイン。フロントのそばにお土産コーナーがございます。
お土産コーナー
フロントから右手の方に進むと本館客室と東館客室がある。途中の自販機コーナーで缶ビールを見かけて、風呂あがりに飲もうとチェックしたら、最も欲していた350mlビールだけが全部売り切れ。500mlや発泡酒なら残ってるといってもね…。夕食までお茶でしのぎましたよ。

新しめでモダンな客室

案内された部屋は本館のツインベッド洋室。おお、結構モダンじゃないか。2001年オープンにしてはいろいろと新しい。近年リニューアルしたのかね。
ホテル岬の湯 本館洋室
逆方向からも撮影してみた。
ホテル岬の湯 本館洋室その2
シャワートイレ・洗面台あり。金庫なし、空の冷蔵庫あり、WiFiあり。一般的なタオルハンガーあり。枕元近くにコンセントがあるから、ベッドで寝ころびながらスマホ操作できるし、アラームセットしたスマホを枕元近くに置いて眠れるのはいい。窓の外は中庭。
窓の外の景色

岬の湯だけに海の景色が最高(に違いない)

来客の波で混雑する場面もある

ホテル岬の湯の大浴場はフロント左手を進んだ奥にある。下足箱はトレイ付きの棚に日帰り客の靴を、トレイなしの棚に宿泊客のスリッパを置くようにと書かれている。そこで裸足になってからもうちょい歩くと女湯・男湯・休憩コーナー。男湯入口の脇にコインいらずの貴重品ロッカーあり。

脱衣所にもロッカーあるし、普通の脱衣棚+かごも用意されている。掲示されている分析書には「含ヨウ素-ナトリウム-塩化物冷鉱泉、低張性、弱アルカリ性、冷鉱泉」と書かれていた。源泉温度は21℃だから当然加温はするし循環と消毒もあり。加水については書いてない。

浴室の洗い場は9台のカランが並んだ列と、それを1台おきに配置して余裕を持たせた5名分の列からなり、合計14名分。宿泊客に加えて日帰り入浴客、さらに公園内のキャンプ場ユーザーも利用できるみたいで、タイミング次第では客がどっと集中する。そんな時は洗い場も混み合います。

よく温まる緑茶色の湯

内湯メイン浴槽は6名サイズで細長い四角をやや湾曲させた感じの形。お湯の見た目はクリアな緑色。日本の緑茶の色だな。浸かってみると適温とはいえ、そんなに熱くない。頑張って耐えるような温度ではないから入りやすい方だ。

湯の花や泡付きは確認できず。匂いはちょっと刺激のあるインク臭。よくある無色透明無味無臭のお湯と決めつけて来てみればとんでもない、なかなかの個性ではないか。塩化物泉だけに温まりは良く、熱く感じないから長湯できるかといえばそうは問屋がおろさない。適度なクールダウンタイムは必要。

内湯にはあと圧注浴および気泡浴なる浴槽が並んでいた。どちらもお湯が透明で沸かし湯ぽいからパス。サウナと水風呂はいつものごとくパス。

利尻富士が見える(に違いない)露天風呂

他には一列横並びに5名サイズの露天風呂がある。お湯の特徴は温度を含めて内湯メインと同じ。こちらの売りはなんといっても眺望でしょう。立てば直接、お湯に浸かれば透明なパネル越しに、海を一望できちゃうのだ。

おそらく利尻富士ばっちりの方角を向いてると思う。天気がいまいちで確認できなかったのは残念だ。夕焼けの空、日が沈みゆく日本海、水平線には利尻富士の影…見たかったな~。自分も他の客も、たまに立ち上がってはパネルのそばへ歩み寄り、少しでも味わい尽くそうとするかのように遠くをじっと見つめるのであった。

また、露天風呂の脇に2名分のチェアが置かれている。関東が梅雨入りして、あのモワーっとした不快な熱気に包まれだす時期でも道北はまだ涼しい。風はむしろ冷やっとするくらいだ。温泉でほかほかしてきたら、ここで風に当たりながら海でも見て休憩すると、とても気分がいい。


気取らず気楽にいただく北海の味覚

夕食はシーフードがいっぱい

ホテル岬の湯の食事は朝夕ともフロントそばのレストラン・花みさきにて。夕食はいくつかの選択肢から希望の開始時間を選べた。自分のようなおひとり様は窓際のカウンター席へご案内。
ホテル岬の湯の夕食
刺身+タコ+ほっけ+エビフライ+イカフライ…だと…? ほぼ全品シーフードじゃないか。やってくれるぜ。ボリューム的にも多すぎない感じで完食できそうだし(締めのご飯は一部残すかも)、昼にラーメン食べちゃったけど、これなら大丈夫そうだ。炭酸で胃が膨れないようにビール以外のお酒を、なんていう細かい策略も不要。

北海道でビールといえばサッポロクラシック。調子こいて2杯飲んじゃった。でもずっとお茶で我慢してたからいいのだ。ビールに合うおかずだしね。やがて鍋もできあがったようだ。
鶏肉のパイタンスープ
鍋はシーフードではなく鶏肉のパイタンスープ。うーん、こんなにいろいろいただいちゃって、旅行中でしか摂取できない栄養がある。ほっけはあえて最後まで残し、締めのご飯と一緒に。

和定食スタイルの朝ごはん

朝食は7時半から9時までの間に自由にどうぞ。7時半開始直後は客が集中するだろうと見込んで8時近くに行ってみた。席はご自由にと言われ、空いてるカウンター席についた。
ホテル岬の湯の朝食
バイキングではなく一般的な和定食スタイル。手前のやつは松前漬けと呼んでいいのかな? 味が濃くてご飯が進んでしまう。器からしてご飯の量は多かったが完食してしまった。左奥のタマゴは温泉玉子などではなく生卵。食後にはセルフでコーヒーもあります。

ひとつ記しておきたい。夕食時を含めてレストラン内にかかってるBGMが、ANA機内で流れる葉加瀬太郎のやつだった(まあ今回はADOだったのだけど…)。おかげで以後、入浴中や運転中にあの曲が脳内ヘビーローテーションするようになってしまった。今後はANAに乗ってあの曲を聞くたび、初山別の風景を思い浮かべることになるんじゃないか。

 * * *

新しい感じのモダンなつくりで万人向きのホテル。温泉は緑色とインク臭が個性を主張しており、非日常的な温泉気分を味わえるだろう。もし諸々恵まれたなら、露天風呂からの絶景が思い出のダメ押しとなってくれるに違いない。観光面では公園内の天文台や神社もあわせてどうぞ。