ほのかに硫黄臭を感じる素朴な温泉。ぬる湯あり - 山空海温泉

山空海温泉
春の関西遠征で和歌山に来ていた温泉おじさん。温泉のおかげで元気になったせいか、朝の入浴時にふと強気なアイデアが浮かんできた。「今日の予定を変更して山空海温泉に行ってみるか」…大阪最北の能勢町にある温泉である。大阪では珍しく硫黄を感じる源泉かけ流しの湯として知られていた。

スケジュールの都合で16時前には新大阪駅前でレンタカーを返したいが、高速道路を駆使すれば和歌山→能勢→新大阪の移動も不可能ではない。どうする? やるか? よしやろう。勇者ヒンメルならそうしただろうから。

のどかな里の川沿いにほのかなタマゴ臭を発する温泉が、高温槽と低温槽と源泉槽に分かれて提供されていた。ずっとぬる湯でウトウトしてました。

山空海温泉への道

和歌浦にて寅さんを偲ぶ

山空海温泉の最寄り駅はない。地図上では能勢電鉄山下・妙見口・日生中央あたりになるが、いずれも徒歩でカバーする距離ではない。バス便もよくわからない。基本的に車で行くところでしょう。

自分は和歌山の花山温泉の朝入浴時に山空海温泉へ行くことを思いついた。そこで朝食後のラスト入浴を泣く泣くあきらめて早めチェックアウトして出発。

だが焦るな。和歌山であと1箇所行っておきたい場所が残っている。映画「男はつらいよ 寅次郎物語」(第39作)のロケ地になった和歌浦を見ておかなければ。テキヤ仲間の子・秀吉のおっかさんを探す旅に出た寅さんが聞き込みを通じてやって来たのがここ。温泉旅館が立ち並ぶ風景の描写もあったな。

花山温泉から30分ほどで和歌浦漁港・おっとっと広場に到着。砂浜~蓬莱岩~いくつかのホテルと思われる建物を撮影してみた。あのへんに寅さんと秀吉がいたのかねえ。
和歌浦

最後の細い道が最難関

時間の都合でゆっくりしてられない。さて行こうか。某無双ゲームに登場する雑賀孫市の名前が頭に残っていた関係で、ついでに雑賀崎経由で走ってみたら、狭いくねくね道の連続だった。景色はすばらしかったのに車を止める場所がどこにもなくて残念。

あとは和歌山南スマートICから阪和道→近畿道→名神→阪神高速をひたすら走って池田木部ICを出た。そこからは下道を北上し、兵庫と大阪の境を頻繁にまたぎつつ一庫ダム・知明湖を過ぎて能勢町に入る。いやーよく走った。我ながらよくやったよ。

最後の最後、カーナビだと現地の場所がよくわからなくて迷い、何度か行ったり来たりしてしまった。施設と駐車場は100m余り離れているので山空海温泉駐車場を目指すべし。その駐車場の入口も狭くて見落としがちだから要注意。

もとの道路から(池田方面から来たとして)左折して駐車場へ至る50mほどの脇道はとても狭く、真の意味で車1台分の幅しかない。左折するだけでも脱輪しそうで難儀する。自分は軽自動車だからなんとかなったって感じ。


噂の山空海温泉をいざ体験

のどかな環境の素朴な温泉

着いたら午後になっていた。駐車場は大半が埋まっており、なんとかスペースを見つけて潜り込んだ形。あぶねー。冒頭写真は駐車場のすぐそばの入場ゲート(?)である。振り返ればこんな景色が見える。のどかですな。
山空海温泉付近の景色
ゲートから下のような川沿いの歩道を100mちょっと歩くと温泉の本敷地。
駐車場から本敷地までの歩道
本敷地内はなんとなく撮影するのが憚られる雰囲気だったので写真はありません。ぶっちゃけ昨今ありがちな設備の整った温泉施設ではない。敷地に足を踏み入れてすぐのあたりに、ご主人かご近所さんか常連さんか見分けにくい数名の方が集って談笑していたので、とりあえず相手を定めず「こんにちは」と広く声をかける。「入浴ですか?」と反応してきた方をご主人と判断し、「そうです」「じゃあ800円ね」と会話と支払いをして先へ進む。

宿泊も可能との事前情報を得ていたので、奥へと進む途中に並ぶコンテナハウスのような小屋が宿泊棟だろうかと想像する。一番奥にプレハブ小屋風の建物があって、手前に男湯・奥に女湯のドアが付いてた。

温度の異なる3種類の浴槽が待ち受ける

中に入るとすぐ脱衣所になっていて、鍵付きロッカーを無料で利用できた。2名で一杯になってしまうくらいの広さだから混雑時はうまく立ち回ろう。分析書の掲示は見当たらず。

打ちっぱなしコンクリ感のある浴室内にはカランが2台。シャンプーとか石鹸は置いてない。あとは浴槽が3つ。3名サイズの40℃~43℃と書かれた高温槽、同じサイズの32℃~36℃と書かれた低温槽が隣り合って並び、別の隅っこに1名サイズのステンレス製源泉槽があった。

源泉槽は軽く手を突っ込んだらかなり冷たかった。はっきり源泉と明記されてないものの、ただの水風呂とも思えず、ネット情報とあわせて源泉槽と判断した。普通ならせっかくだからと体験してみるんだが、冷たさにひるんで結局入らず。

高温槽にもほとんど入ってない。結果的に好みの温度帯である低温槽に全集中してしまった。はるばる移動してきたことや、今後そうそうない貴重な機会であろうことを思えば、3つとも体験しておくべきだったかもしれない。だがいったん低温槽に浸かったら気持ちよくて出られなくなっちゃった。

硫黄感のあるぬる湯に時間を忘れる

お湯の見た目は無色透明。湯の花らしき白い糸くず状のものが漂っている。時おり腕などにちょっと泡が付くことがあるようだ。そして匂いを嗅ぐと軽くタマゴ臭がした。硫黄感があって温泉気分はばっちりですな。指先があっという間にシワシワになったのも特徴的だ。

窓の外は先ほどの川。景色を楽しむタイプのお風呂ではないにせよ、のどかな雰囲気を増幅してくれる。ただし浴室内はいつしかお客さん常時5名体制のような混雑ぶりに突入していて、相応のガヤ感に包まれっ放しだった。人気あるんだなあ。

とりあえず長時間移動の疲れを癒やすべく、ぬる湯の中で目を閉じてじっとしていたら時間感覚がおかしくなったみたい(がっつり眠っちゃった自覚はないんだが)。体感的には30~40分経過したつもりであがって時計を確認したら1時間以上が過ぎていた。あらら。時間を忘れる山空海温泉おそるべし。