アブラが効いてる医王薬師の湯 - 前橋温泉 クア・イ・テルメ

前橋温泉 クア・イ・テルメ
前橋の市街地にアブラ香る本格温泉が湧いているんだそうだ。よく知られたところでは前橋駅前の日帰り温泉ゆ~ゆ。ここは気ままに電車でふらっといけそう。そしてもうひとつが鉄道駅からちょっと遠い、前橋温泉クア・イ・テルメ。

今回は車で群馬県内を回る旅だったから、この機会にクア・イ・テルメの方へ行ってみようと思い立ち、磯部温泉から北上する途中で立ち寄ったところ、病院の中に温泉がある?…ていうか前橋温泉クリニックという病院が経営する、病院併設の温泉だった。

大浴場に入ってしまえば普通の温泉施設である。しっかりとしたアブラ臭のする褐色のお湯は温泉気分ばっちりで、かつ最大のお気に入りはぬるい歩行浴だ。

※湯治療養での宿泊も可能なので温泉宿への立ち寄り体験に分類した。

前橋温泉クア・イ・テルメへの道

縁起だるま発祥のお寺へ寄り道

最寄りと言える駅はないものの、路線バスを利用すればそんなにアクセス困難ではない。前橋駅から渋川駅行きのバスで20分、前橋自動車教習所で下車して徒歩1分。1時間に2~3本はあるみたい。

自分は磯部温泉小島屋旅館をチェックアウトしてから、いったん高崎へ向かい、少林山達磨寺へ寄り道した。縁起だるま発祥の寺だ。※グルメドラマ「居酒屋新幹線2」を視聴した影響からではない。この旅行の後に動画配信で番組を観たので。

坂を登っていくと、境内に直結してそうな第2駐車場が空いていたので、これ幸いと車を止めた。しかし実は坂を登りきったところに広い第1駐車場があり、本堂はそっちの方が近かった。しかも階段を上り下りする必要もない。しまったぁ。

だるまさんがいっぱい

第2駐車場から近いのは瑞雲閣なる寺務所と鐘つき堂。作法指南に従い、招福の鐘を心静かにゆっくり2回ついてみた。
達磨寺 招福の鐘
枝垂れ桜や野草園の区域もあった(まだ何も咲いてなかったが…)。この植物はなんですかね? →知らん。
開花を待つ枝垂れ桜
本堂へ行くにはなかなかきつい石段を上らなければならない。頑張ってクリアすると、パーッと眺望が開けて報われた気分になるのであった。
達磨寺 本堂付近からの眺望
はい、こちらが本堂でございます。見ての通りだるまさんが大集合状態。
達磨寺 本堂

温泉というよりは病院に見える

他に観音堂や庚申塚を見て拝観終了。いよいよクア・イ・テルメを目指す。国道17号に入って市街地を走るようになったら渋滞で流れが悪くなるのを覚悟していたものの、危惧したほどではなく、まあまあ常識的な時間で現地に着いた。

周辺は整然と区画整理された住宅街で、群馬大のキャンパスも近い。文教地区的な雰囲気を感じるな。そんな環境の中に立つ当館の建物はどう見てもクリニック/病院であって温泉には見えない。


健康づくりに役立つ医王薬師の湯

大人数に対応できそうな広い浴場

では入館。下足箱は100円リターン式。その鍵を受付に預けて入浴料を支払い(3時間まで850円)、脱衣所のロッカー鍵を受け取る。エントランスには医王薬師の湯と書かれた飲泉所跡のような手湯跡のようなものがあった。訪問当時お湯は出ていなくて枯れた状態。
飲泉所らしきもの
2階へ上るとキッチン風の穂というヘルシー系のカフェ&レストランが目に入る。湯治宿泊した際にはここで食事を提供してくれるようだ。
キッチン風の穂
レストラン脇の通路が男湯・女湯へ通じている。脱衣所の壁の上の方に泉質説明が掲げてあった。「ナトリウム-塩化物泉、弱アルカリ性、低張性、高温泉」とのこと。加水とか循環とかの有無は特に明記なし。40~41℃で提供って書いてあったかな。

浴室はなかなかの広さ。洗い場は34名分もあったし。かけ湯と思しきところへ歩み寄ったら「源泉」と記されていた。へー、じゃあありがたくかけ湯させてもらおうか。だが同時に「熱いです」「かけ湯には洗い場のお湯を使ってください」のようなことも書かれていた。あらま。ちょっとだけ手を付けてみたら、べらぼうに熱いわけではない。まあでも無理はやめておきましょう。

手前側にサウナ・水風呂・2名分の足湯、その奥に歩行浴、気泡浴、大きなメイン浴槽と続く。露天風呂はない。

鉱物臭のする褐色の湯

メイン浴槽は十分に向かい合わせが可能な奥行きを持ち、その気になれば30名近く収容できそう。中央に大きめの湯口があって浴槽サイズに負けないくらいの投入量を保っている。一番隅っこが浅くなっていて寝湯を意識していると思われる。

お湯の見た目の第一印象は緑だけど、実際は茶褐色のような気もする。塩化物泉には時々こういうパターンがあるのだ。浸かってみると適温だった。決してぬるくはないので長湯するタイプではない。たまたま陣取った場所が軽い噴き出し圧を感じられ、その影響によるのか、腕に細かい気泡がつくのを確認できた。

匂いを嗅ぐと、ああ確かに鉱物臭がする。そんなにどーんと来るものではなくて、ほんのり香る程度だ。また、窓から差し込む薄日が湯面を照らすところに注目すると、モノホンの油のようなギラギラした虹色の油膜がはっきりと見えた。まぎれもないアブラ系ですな。

気泡浴槽はブクブクの泡がすごくてお湯の色がよくわからん。薄い緑褐色のようにも無色透明のようにも見える。沸かし湯じゃなくて温泉なんだとは思うが。気泡浴には結局入らず。

ぬるい歩行浴が気に入った

かわりに歩行浴に入りまくった。軽い気持ちで入ってみたら自分好みのぬる湯だったのだ。体温前後の永久にいられるやつ。運動とかリハビリとかを抜きにして純粋なぬる湯風呂として使わせてくれって感じ。

滞在中は歩行浴を使うお客さんがいなかったため、好きな体勢で居座り続けても問題なしとはいえ、一応ルール通りに歩行しましたよ。全員立った状態で10名サイズ・深さ100cmほどの…120cm以下のお子様はご遠慮くださいと注意書きあり…浴槽内を一方向にぐるぐると巡回する。水圧の抵抗があるから結構筋肉を使う。

あー、それにしてもぬるくて気持ちええわ。歩きつつ立ち止まりつつ、たまにかけ湯に目をやると、ボコッボコッとすごい勢いでお湯の跳ね上がる瞬間が見られた。荒ぶる源泉。まさにクア・イ・テルメ(意味不明)。

自分以外のお客さんは2~4名といったところで、浴室・浴槽の広さからすればほとんど独占状態みたいなものだった。ゆったりとした環境でメイン浴槽と歩行浴を行き来してすっかり仕上がった。満足満足。湯あがりの肌はベトつかず汗もすぐ引いてすっきりさっぱり。いいお湯だった~。

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クリニックという背景ゆえか、館内はごちゃついたり雑然とした雰囲気が皆無で古びた様子もなく、モダンできれいで清潔感のある施設だった。温泉ファンに限らずいろんな層におすすめできるだろう。