大洋を見ながら入る野天風呂 - 北川温泉 黒根岩風呂

北川温泉 黒根岩風呂
東伊豆の北川温泉。“きたがわ”って読んじゃいそうになるけど、“ほっかわ”が正解。ここに気軽に立ち寄れる公共の露天風呂「黒根岩風呂」がある。有名なようで訪れる人は多い。

初日に下田まで行ったグループ旅行の2日目は伊豆高原に泊まる計画。移動距離を考えると、どこかへ寄り道する時間はたっぷりあった。そこで北川の黒根岩風呂で入浴していくことになったのだ。波打ち際に作ったものだから本当に海が近い。自然との一体化という露天風呂の醍醐味をいかんなく発揮していた。

当湯だけだとまだ時間に余裕があるので、時期的に合うかなと思われた河津桜と、もう3度目になるおなじみの河津七滝も見学した。

北川温泉・黒根岩風呂への道

河津桜は終わりかけ

旅の2日目。下田・須崎の温泉民宿権兵衛をチェックアウトした我ら一行は河津町へと車を走らせた。河津桜まつりの期間中だから桜が見頃かもしれない…道中の様子から、開花のピークを過ぎて終わりかけだろうな、っていうのは覚悟していたが。

途中の尾ヶ崎ウイングなる展望所で一時休憩。竜宮島や白浜海岸を望むのにちょうどいい場所だった。
尾ヶ崎ウイングから見た白浜海岸
伊豆大島もばっちり見える。なんか山の上の方が白いのは雪じゃないかね?
尾ヶ崎ウイングから見た伊豆大島
さて、河津に着いた。桜まつり会場の周辺はすでに観光客がいっぱい。駐車場の空きを探すのも容易ではなかった。どうにか車を止めて、主拠点らしき笹原公園から川沿いを歩き出す。河津桜を見に来たのは4年ぶりだなあ。
河津桜と菜の花
やっぱりピークを過ぎて終わりつつありますね。もう葉っぱが目立ってきてる。まあとにかく上流まで歩いてみましょう。桜と菜の花に彩られた道は来宮橋まで続く。花がいっぱい、人もいっぱい。来宮橋から見ると両岸の桜並木の様子がよく映える。
来宮橋から見た河津桜
さらに上流の豊泉橋も同様だ。我々は豊泉橋から少し先の河原へ下りられるところまで行って引き返した。
豊泉橋付近の河原にて

河津七滝を見てから北川温泉へ

さあて、黒根岩風呂のオープンする13時まで、まだ時間に余裕があるぞ。どうする? じゃあ定番化していて新鮮味の面ではアレだけど、2年ぶりの河津七滝いっときますか。

はい、着きました。河津七滝駐車場からこんな感じの川を横目に遊歩道を歩く。初景滝というところまではわりと平坦で歩きやすい。
河津川
駐車場から10分弱で初景滝が現れた。なんだか水量がいつもより多い気がするなあ。
初景滝
この先いくつかの滝を見るには、きつい登りをクリアしなければならないし時間もかかる。今日は無理せず初景滝で引き返した。

あとは海の方に出て国道135号を北へ。熱川を過ぎればまもなく北川だ。国道沿いに「北川温泉 黒根岩風呂」の看板が出ているところを曲がればいい。こんなやつ。するとすぐに駐車場がある。
黒根岩風呂の看板
ちなみに電車で行く場合は、伊豆急行・伊豆北川駅で下車して徒歩で1kmくらい。


海に入っているかのような露天風呂

海へ向かって下りていく

当湯入口付近から眺めた北川温泉の旅館街がこちら。写真左手の柵の向こうは堤防に沿った歩道で、堤防を越えるともう海だ。
北川温泉街
では参ろうか。入口で利用料600円を支払い(北川温泉の宿泊客は無料)、堤防の切れ目から階段を下りていくとすぐに脱衣所小屋があった。手前が男性用で奥が女性用。ただしメインとなる2つの浴槽は混浴で、奥に1つだけ女性専用浴槽があるらしい…ちゃんと把握できてないが。

階段を海面に近い高さまで下りていくから、我々→丸い岩がごろごろ並ぶ数メートルほどのゾーン→海、って感じで、岩を乗り越えんばかりに波がザッパンザッパン打ちつけている様子は迫力がある。波が荒い日はここまで被ってくるんじゃないの。

熱めとぬるめの岩風呂2つ

中は結構混んでいた。下足箱も脱衣棚もあやうく満員御礼・もう空きはありません直前の状態。ぎりぎり潜り込んだって感じね。脱衣所に貼られた分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」とあった。

脱衣所に直結して手前と奥にそれぞれ8名サイズの丸形の岩風呂が並んでいた。さらに奥の見えないところに女性専用風呂があったのかもしれない。なお洗い場はありません。

先に偵察に出たメンバーが「奥は熱い、手前の方がぬるい」と言いながら戻ってきたので、温度の好みの都合で手前に専念することにした。景色の見え方はどちらも変わらないし、手前の方が人が少なくて余裕あったし。

浸かってみるとややぬるめの適温。湯口に近いところだけはやや熱い。お湯は無色透明。「伊豆の温泉ってこういう匂いだよね」っていう温泉臭がしっかり感じられる。なんと言っていいかわからないけどそういう匂いなんですよ。今回の旅行中に入浴した3箇所の中では最も匂いの主張が強かった。

アメリカを見ながら入る野天風呂

そしてやはり最大のセールスポイントは露天風呂から眺める絶景だろう。丸い岩ごろごろに波がザッパンザッパン。すげー。波しぶきがこっちまでかかってくるんじゃないか…それは大げさにしても、今日はこの程度ですんでるだけで、気象条件次第では本当にかかってきても不思議はないくらいに思える。

遠くに目を向ければ青い空と青い海、水平線のあたりには伊豆大島の島影が浮かんでいた。下の写真は旅館街前の堤防から撮ったものだが、まあこんな感じですわ。
黒根岩風呂付近の海の様子
こんな絶景を楽しみながら入れる露天風呂をお手頃価格で利用させてくれるなんて、太っ腹ですな。少なくとも手前の岩風呂はあつ湯じゃないから、短時間でのぼせてすぐ退散って展開にもなりにくく、じっくり楽しめるのがよい。

壁側には「アメリカを 見ながら入る 野天風呂」の五・七・五が掲げられていた。さすがにアメリカは見えないが、果てしなく広がる海のスケール感を表現した句には違いない。心はいつも太平洋ぜよ。