2023年温泉旅の最後・大トリを飾る宿泊先を伊東付近と決めて、ネットで調べていたら、宇佐美の民宿ふかべを見つけた。伊東市の北端にあたる宇佐美には温泉が出ていて、海の近くに温泉宿がいくつか集まっている。地魚を中心に海の幸がてんこ盛り、という食事を想像してしまうな。
ネット情報を探った限りでは当宿の食事はかなり期待してよさそうだった。オッケー、1年の締めくくりは豪勢にいきましょうや。なおかつ温泉面も興味を引いた。宝石露天風呂ってのがあるようだからね。気になるわ~。
その宝石露天風呂は好みのぬるめ寄りのお湯で良き。食事は笑いが止まらないレベル(比喩)の夢の海鮮三昧で完食できず。おそるべし。
宇佐美温泉「民宿ふかべ」へのアクセス
国道135号は安定の渋滞ロード
民宿ふかべはJR伊東線・宇佐美駅から1km・徒歩15分。国道135号が海岸沿いを離れて網代への峠越えに向かう始まり付近にある。
自分は前泊地の白田温泉宮田荘をチェックアウト後、車でR135を北上。途中の赤沢温泉日帰り館に立ち寄り入浴しつつ宇佐美を目指して走る。伊豆高原~伊東市街は予期した通りに流れが悪くノロノロ運転の続く場面が多かった。良い方に考えればどこかで時間つぶしする必要なく、ちょうど15時にふかべに着いてそのままチェックインできそうだ。
富戸のあたりではかつて見学したことのある怪しい少年少女博物館を見かけて懐かしくなった。行ったなあ、謎の展示物だらけでわけわかんなかったなあ…その3~4km先にある姉妹館のまぼろし博覧会は未踏だったので、時間がたくさん余っていれば可能性もあったが、今回はパス。
温泉を備えた道の駅伊東マリンタウン
伊東駅付近の海岸沿いを走っていると、道の駅伊東マリンタウンの前を通りかかった。実際は翌朝に訪れたのだが先に書いておくと、文字通り海のそばにある道の駅です。目の前がヨットハーバー。
この時脳内に加山雄三の歌声がエンドレスで響き渡ったのは決して盛った話ではない。う~みよ~俺のう~みよ~♪
敷地内のお土産店とレストランが充実しており、朝日の湯シーサイドスパなる日帰り温泉もある。かなり気合の入った道の駅といえる。
駐車の際は慎重に
そんなこんなで宇佐美に入り、ふかべの前まで来た。駐車場がよくわからん。入口脇に2台止められそうでもあるし(すでに埋まってた)、数台分の半地下駐車場も見える(全部空いてた)。よしパラサイト…じゃなくて半地下の方を使わせてもらおう。急傾斜&天井低めだから運転は慎重に。
当宿は国道沿いに立っており、交通量が結構多くて上り下りともなかなか車が途切れない。駐車場にバックで入れようとするとどうしても車の流れを遮らなければならないからタイミングの見極めが難しい。後日の調べでは少し離れた場所に第2駐車場なるものもあるようだ。
一人旅にも向く、海の見える部屋
では入館。玄関先では伊勢海老とサザエとアワビがこんにちは。
フロント付近はこうなっている。専用のロビー空間はなくて、フロント前の通路の一部に椅子と新聞が用意されている。またビールなどが入った冷蔵ケースはフロントに申し出て鍵を開けてもらう方式。現金払い、もしくは部屋付けにできる。
案内された部屋は3階の7.5畳和室。築年数的に新しかったりモダンな要素を取り入れてるわけではないが管理状態は良好。タオルハンガーが大きめで使いやすい。布団はセルフでお願いします。
トイレ・洗面所・冷蔵庫は共同。3階のトイレは洋式個室×3+男性小専用×1、洗面台は3名分。部屋に金庫なし。WiFiあり。一人旅プランを予約していて、部屋のアレンジはおまかせなのだけれど、うまいこと海側の部屋を割り当ててもらえた。ヨシ!
う~みよ~俺のう~みよ~♪…はいはい、おじいちゃんもう気がすんだでしょ。ちなみに朝日が昇る時間帯はこうなる。
贅沢な時間の使い方=部屋でごろごろしつつ読書でもしようと思ってたのに、結局はスマホを触ってばかり。こういう時くらいネット断ちして非日常を楽しむべきなんでしょうけどね。修行が足りんな。
興味深い宝石露天風呂を擁する大浴場
利用率が思ってた以上に高い
ふかべの大浴場は地下1階。エレベーターはなく階段での移動となる。地下1階に着くと手前が男湯、奥が女湯だった。脱衣所の外にスリッパを脱いで置くスタイルになるため、いま誰か入っているのかどうかは外から見てすぐわかる。
ちなみにチェックイン直後の時間を除くと夕方・夜・朝とも独占は叶わなかった。おそらくほぼ満室だったのと、釣り仲間同士で来ているグループをはじめ皆さんアクティブに動き回ってて、空白の時間を狙うのが難しかった。
脱衣所に掲示されている分析書をチェックすると「カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉」だった。加水なし、加温・循環・消毒あり。
相応の非日常感を与えてくれる内湯
民宿の中には広さや内装が一般家庭の風呂に近い雰囲気のところもあるけど、ふかべは露天風呂を擁する時点でレベルが違う。内湯も小規模旅館風のつくりであった。カランは4台。内湯浴槽は3名サイズ。湯口から注がれるお湯は清澄な無色透明。
では浸かってみよう。うん、熱すぎもせず、ぬるくもなく、適温ですね。冬ということもあってちょうどいい具合でぬくぬく温まる。
ヌルヌル・ツルツルするといった感触はないし、湯の花や泡付きは特になく、加えて無色透明だとお湯の個性という面では特徴薄いが、ただの沸かし湯とは明らかに違う浴感でよろしい。お湯をすくって匂いを嗅いでみると塩素臭はせず軽い温泉臭あり。
これが噂の宝石露天風呂だ!
ではいよいよ宝石露天風呂へ行ってみますか。露天エリアは石庭風に整えられ、あちこちに色の付いた石が置いてあった。赤・ピンク・緑・青…なるほど、宝石でござる。でも自分には石の種類がわかりかねる。とにかく色とりどりの石ってことで。
露天風呂の浴槽にも同様の小石が使われている。色鮮やかで華やかだから見た目を楽しませるには十分だ。そのほかにパワーストーンの効果云々というような狙いも、もしかするとあるかもしれない。
肝心のお湯の方はどうだろう。もちろん基本は内湯と一緒。外気に触れるためか内湯よりもぬるかった。おかげで結構長めにゆっくり入ることができる。個人的にはぬる湯好きだし歓迎したい特徴だ。1年の疲れが溶けていくぜ。
周囲の塀によって眺望はないものの圧迫感を与えるものではなく、露天なりの開放感はある。おかげで気分も晴れやか、重荷が取れて軽やかになった心持ちだ。実は宝石の効果だったりして。
1年の大トリにふさわしい豪勢な食事
夕食はたくさんのお魚に囲まれて
ふかべの食事は朝夕とも1階広間にて。食事の時間になると部屋のスピーカー(?)から「お食事のご用意ができました。お越しください」とアナウンスが流れる。広間へ行くと部屋番号の札を立てた座卓が並んでいた。自分の卓に用意されていた夕食のスターティングメンバーがこちら。
なんじゃこりゃあ。一人前とは思えぬお魚だらけの大運動会に笑いが止まらん。完食できるかどうか不安だなあ。前夜の宮田荘も結構なボリュームだったけど完食したから、まあ何とかなるっしょ→甘かった。
刺身の舟盛なんてそれだけでお腹いっぱいになりそうなほど豪勢だ。見て下さい、この新鮮なお刺身!(テレ東)
イシガキダイ・本エビ・マダイは名札付き。刺身もりもりで幸せですな。ビールの炭酸でお腹が膨れるのを避ける作戦で注文した日本酒セットが進むね。銘柄は志太泉純米生原酒・喜久酔特別純米・池のさと特別純米。風味はちょっとずつ違うけど、我が味覚をもって説明できるのはそこまでだ。
とどめはでっかい金目鯛
そうこうするうちにすごい奴が出てきた。金目鯛の煮付けまるまる一匹…だと?! しかも大きめの個体。
まじですか。とても胃袋に収まる気がしない。しかし濃厚なタレが食欲をそそり、身がトロっとしていることもあって、意外とぱくぱく進んでいった。…と思ったら途中で箸が止まった。あかん、これ以上はあかんのや…。一番ほじくり甲斐のありそうな頭~胸のあたりが残ってしまった。
すると「明日の朝お出ししますね」と皿を下げてくれた。おー、朝食にまわしてくれるならもったいなくないし、ありがてえ。最後の力を振り絞ってご飯ちょっと+パイナップルをいただいて終了。
朝食も金目鯛リベンジでお魚づくし
朝も同じ卓で。前夜さんざん飲み食いしたわりには十分消化できていて、私の帰りの胃袋にはまだ若干の余裕がございます。
定番的な朝のメニューですな。固形燃料のやつはアジの開きを温めるのに使う。伊豆といえばやっぱりアジになるよな。味噌汁の具はシジミか何か貝だった気がするけどよく覚えてない。
やがて昨夜残した金目鯛が小さめの皿に移し替えられて出てきた。朝から金目鯛なんて(しかもほじくり甲斐のある頭~胸部分)、贅沢この上なし。アジとの二枚看板で攻められてはご飯のおかわり不可避。私の帰りの胃袋はもう満杯でございます。
1階には水やコーヒーのセルフサービスコーナーがあるので、そこで食後のコーヒーをいただいて終了。2023年の旅館飯もこれにて終了。
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首都圏からの目線だと、伊豆の奥の方でなく伊東に入ってすぐのところだから、わりと行きやすいのはアドバンテージかな。そして何といってもテンションが上がる豪勢な料理の数々。自分へのご褒美として非常に満足のいく内容であった。
温泉面では、宝石の効果は正直わからないけど、マイルド系で入りやすいお湯が万人向き。特に露天風呂はじっくり浸かって楽しめるのではないかと思う。