常識外れにあふれ返る泡付き豊富な源泉 - 玉川温泉(甲斐市)

玉川温泉
2024年は波乱の年明け。こんな時こそ浮足立ったりヒステリックになってはいけない。危機の渦中にない者はいつも通りの生活をいつも通りに送って経済を回しましょう派のおじさんは、温泉旅もいつも通りに執り行わせていただきます。

とはいえ真冬だと行き先は限られる。基本的に雪が降るイメージのある地域はNGだが、甲府エリアは天気予報で好天を確認できていればまず大丈夫、長野や北関東よりはあてになる。ということで甲府周辺に1泊2日で行ってみた。1年前と同様の展開だな。

1湯目は甲斐市の玉川温泉。予想したようなぬる湯ではなかったけど、おそろしいまでの泡付きと目を奪うオーバーフローの海がすごかった。

玉川温泉へのアクセス

いったんあきらめてからの大逆転

玉川温泉は中央道・甲府昭和ICから3kmくらい。大雑把にくくるなら、1年前に訪問したフカサワ温泉と同じ地域になる。電車・バスだと行きにくい気がするなあ。身延線常永駅から30分歩くか、甲府駅からのシャトルバスでイオンモール甲府昭和まで行って、そこから15分歩くか。

今回は車を使わず電車旅にした事情もあって、いろいろ悩んで玉川温泉をいったんはあきらめた。実は石和温泉に立ち寄るつもりで、石和までの高速バスを手配していたのである。

ところが不思議な偶然が発覚。 いつもの旅行メンバーのひとりが同じ日程で石和・甲府へ行くとわかったのだ。しかも車で。これは天の配剤に違いない、最大限に活かすべきだろうと思って「現地で合流して玉川温泉に行ってみませんか」と提案し、話がまとまった。すまん石和氏、また今度。

石和で時間調整してから車で移動

出発当日、予約した高速バスにそのまま乗って石和で下車した。停留所の前が広場になってて足湯コーナーが設置されている。足の代わりに手をちょっと差し入れたら即座に手がツルツルになった。さすが石和温泉。
石和バス停前の足湯コーナー
さて、合流相手が到着するまで1時間ほど時間をつぶさねばならない…思い浮かんだのがバス停から徒歩15分のウインズ石和だった。ちょうど競馬開催日だし。
ウインズ石和
なんと、ウインズの敷地内に「ひらめきの湯」なる足湯コーナーがあった。さすが石和温泉。感心しつつ館内を探検したり、焼きそばを食べたり、メインレースの前売り馬券を買ったり(石和→い-さ-わ→1-3-8の3連複→外した)。やがて到着した相手の車に同乗して玉川温泉へ。国道20号の軽い渋滞に巻き込まれはしたものの30分程度で現地に着いた。


とにかく強い印象を残す温泉

本格源泉かけ流しのローカル日帰り温泉

玉川温泉は田んぼが広がる中にぽつんと立っていた。建物の前で振り返ると富士山が結構大きく見える。電線が微妙に入ってきちゃうけども。
田んぼと富士山
入館してすぐに下足箱があり、受付のそばでは干し芋や青菜を売っていた。こういうローカル感がいいよな。入浴料は500円。
物販コーナー
中で休憩処や大広間を見た記憶はない。受付からすぐに男湯女湯へと続く。壁に分析書が貼ってあったのでチェックすると「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」だった。加水・加温・循環・消毒すべてなしの完璧な源泉かけ流しはお見事。

浴室の床がどえらいことになっている

館内全般と同じく脱衣所もレトロな雰囲気。脱いだ服や荷物は鍵付きのロッカー にしまえるようになっていた気がするけど、いまいち自信なし。あとは脱衣所の奥にメディアに取り上げられた時の記事の切り抜きなんかが貼ってあったと思う。

浴室に入って、いきなりびびった。床が、床がぁぁぁーーー!! 大洪水じゃあぁぁーーー!! 指の第1関節まで余裕で沈むと思われるほどの深さのお湯に覆われていた。しかも滞留してるんじゃなくて激しい勢いで流れ続けてる。浴槽からとてつもない量がオーバーフローしているからだった。

なんじゃこりゃあ…落ち着け、いったん落ち着こう。あらためて全体を見回すとカランは3台で石鹸・シャンプーは自分で持参するパターン。あとは2つの浴槽が並ぶのみのシンプルなつくり。手前側の浴槽は小さめで3名サイズ。お湯は白っぽく濁っている。ふーん、なるほどね。奥側は5名サイズで無色透明のお湯だった。

半端ない泡付きと湯量

じゃあまず奥からいこう。浸かってみるとややぬるめの適温だった。玉川温泉はぬるいという口コミを見かけて来てみたのだけど、ぬる湯と呼べる範疇を少し超えた水準かと。匂いは若干の金気臭を含む複雑な感じ。

見た目の特徴としては湯の花どうこう以前に泡付きの方に意識を持っていかれてしまった。細かい泡がバチバチに付着するのである。あっという間に全身泡まみれ。相当なモンですよこれは。源泉かけ流しで鮮度が良いおかげにしても、その程度が半端じゃない。湯口からはまさにザコザコと大量投入されており、浴槽からあふれたお湯は前述の通り、床を覆う海となっている。お湯の鈍る余地がないのだ。

窓から入る光が湯面と立ち上る湯気を照らし、漂うミストを白く濃く映し出していた。入浴中あれをずっと吸い込んでいるわけだから、飲泉してるようなもんじゃないのと思ってしまう。ちなみに当湯は飲泉できるらしい。

小浴槽の白濁の正体は…?

続いて手前の小浴槽へ。…うん?…よく見たら白濁しているのは泡のせいだよ。お湯の中を漂う泡があまりに多いせいで白く濁って見えるのだ。そういえば奥側の浴槽も一部がやや半透明気味になっている箇所があった。泡だね。

浸かってみると適温だった。ぬるくはない。ネット情報にはジェットバスという記述を見ることもあるが、少なくとも当時はジェットバスのような感じではなかったな。はっきり白黒つけられないけど。色が白いことだけははっきりしてる。

見た目も効き目もインパクトあり

どちらの浴槽も思ったほどの長湯はできない。しばらくお湯の中にいると体内で何かがグワーッと盛り上がってきて「ちょ、待って、いったん湯船を出てクールダウンしようか」という気分になる。温度が高いからではなく、温泉としての効き目が並外れているんだと思う。

なのでアワアワを楽しみながらぬるめの温泉でのんびり1時間、てなストーリー展開にはならず、30分そこそこで仕上がり十分となって終了。湯あがりの程よい疲れが効き目の強さを物語っていた。

いやあ、見た目も効き目もすごいインパクトのある温泉だったな。と、すっかり満足して退出しようとした帰り際、「お年賀です」と箱ティッシュをいただいた。こいつぁ春から縁起がいいわぇ。