いつの頃からだったか。阿蘇に行きたい、阿蘇と組み合わせて高千穂にも行きたい、というような話題が仲間内でしばしば出ていた。いよいよ構想が具体化し、3泊4日旅行の2日目に高千穂へやって来たのである。自分にとっては初見の地。
紅葉のピークではないにせよ、わりといい具合で見られる時期だったから、高千穂峡の景色が大変ようございました。他には高千穂神社・天岩戸神社・高千穂あまてらす鉄道へ行ったが、たった4箇所と侮ってはいけないボリュームだった。結局3日目の朝も高千穂観光にあてることになったのである。
各観光スポットで駐車場確保にちょっと苦労した思い出。行楽シーズンだから特別に混んでいたのかな。
遠すぎた高千穂峡
旅の2日目は黒川温泉・優彩をチェックアウトして古閑の滝に寄り道しつつ高千穂へ移動。到着時点で半日費やしており、午後だけですべての見学を終えるのは難しいだろうけど、やるだけやってみよう。まず早めにチケットを押さえておきたい高千穂あまてらす鉄道の高千穂駅へ。
高千穂あまてらす鉄道では旧高千穂鉄道の線路を利用して観光用トロッコ列車を運行している…正確には軽トラックを改造したカートを走らせている。なんだか面白そうだな、と思って訪れる人が多いのか、すでに満席の便が多い。取れたのは2時間後の便だった。
ただ待っていてもしょうがないから2時間以内に戻れる範囲で高千穂峡を見学することにしたところ、現地であやうく駐車場難民になりかけた。真名井の滝という主役スポットから近い順に第1・第2・第3駐車場までが満車。どうにか入れた第4駐車場は、滝どころか滝へ続く遊歩道の入口までがすでに結構遠い。駐車場付近から見える峡谷はきれいですけどね。坂や階段を下りに下って着いた遊歩道入口から見た高千穂峡はこんな感じ。
遊歩道を5分ほど歩いたところでもうタイムアップ。そろそろ高千穂駅へ戻らないとまずい時間だ。駐車場から遊歩道までの移動が想定外に長すぎたな。こうして真名井の滝を見ないまま高千穂峡を去ることになった。
高千穂あまてらす鉄道の乗車体験
ミニミニ列車でゴー
再びの高千穂駅。ホームの奥に見える車庫は見学自由、かつ車庫まで線路の上を歩いてOKだって。じゃあ遠慮なくゴー。
これから乗る車両は、まさかこれじゃないよね。
なんて探検をしているうちに1本前に出発した列車が戻ってきた。おお、こういうやつか。ミニミニサイズですな。
降車した乗客と入れ替わるように我々が乗り込み、満員御礼いざ出発。オープンカーに乗っているようなもので吹き付ける風が心地よい(本当はちょっと寒い)。ほどなくしてトンネルが現れた。突入しまーす。
トンネル内で飽きが来ないように(?)、天井にプロジェクターか何かでイルミネーションを映し出していた。
高千穂橋梁の怖いほどの高さ
2つのトンネルを抜けると旧天岩戸駅があり(通過するだけ)、その先に岩戸川を渡る高千穂橋梁が待っている。本線のハイライトとなる、高さとスリルと景観に富んだ橋だ。橋の上ではゆっくり走り、途中で何分間か停車してくれる。下の方を覗き込むと橋の高さを実感する。
こちらは反対側。
視野を広げてみるとこんな感じ。写り込んでる水滴みたいなものは演出で飛ばしているシャボン玉だ。
橋を渡りきるとすぐに封鎖されたトンネルが現れる。列車はここで折り返して高千穂駅へ戻る。
乗車時間30分のミニ旅、お疲れ様でした。列車の性質上、雨の日は休止になるし、強風だと高千穂橋梁を渡らないパターンになるとのこと。天候に大きく左右される面はあるが、お子様や鉄道マニアに限らず誰でも楽しめるアトラクションだと思う。
神話の舞台を祀る天岩戸神社
西本宮ではガイドツアーが有効
もう夕方だ。あとは神話でおなじみの天岩戸神社へ行けば今日はもう一杯一杯だな。天岩戸神社には西本宮と東本宮があり、東本宮の駐車場しか空いてなかったからまずそっちへ。しかし鳥居の先に待つ急な登りを目にして意気消沈。
日が暮れるまでの残り時間と今の疲労を考えたら「東本宮はやめておきましょう。平地の西本宮に集中しましょう」と提案して、その通りに決まった。東本宮から西本宮までは徒歩10分。西本宮の方が観光地ぽくて参拝客が多い。
いま確認してみたら拝殿の写真を撮ってなかった。撮影禁止区域ではなかったはずだけど、どこか遠慮する気持ちがあったのかもしれない。かわりに神楽殿をどうぞ。
ちょうどそこへガイドツアー御一行様がやって来た。普通は神社の入口で申し込むところ、途中からの飛び入りもOKらしく、我らもさり気なく集団にジョインした。このガイドツアーに参加すると特別に拝殿裏の区域に入れてくれて、天岩戸を拝むことができる(撮影禁止)。貴重な機会だから時間が合えば参加をおすすめしたい。
天の岩戸は洞窟というよりはちょっとした窪みに見える。窟を塞ぐ岩戸はもうない。神話によればぶん投げられて戸隠まで飛んでったことになっている。とんでもねー。
神々の会議場・天安河原
まだ終わりじゃない。西本宮の先に天安河原という洞窟もある。天照大神様お隠れ事案が発生した際に八百万の神が集まって会議したとされる場所だ。西本宮から徒歩10分と案内されているが、もっと遠かった印象だな。
行きは下り坂で帰りは上り坂。東本宮をパスして温存した体力をここで使い果たしてしまった。神話の背景があるだけに道中の景色には神秘的な雰囲気を感じる。
ようやく着いた天安河原。八百万の神がここに集まったのか。確かに広い。
以上で2日目の観光は終了。天安河原から東本宮駐車場まで歩いて戻ったら1日の疲れがどっと出た。足も痛い。車で近くの「天岩戸の湯」へ行って汗を流した後、浅ヶ部地区の民宿暖心に宿泊した。
再びの高千穂峡と高千穂神社
今度こそ真名井の滝へ
3日目は朝早めに出発して高千穂峡リベンジ。第1駐車場はやっぱり満車で第2駐車場に入れた。そこから真名井の滝まで、遊歩道の一部が通行止めになっているため遠回りの車道を歩くコースで徒歩15分くらいかかったかな。アップダウンそこそこあり。
現地に着いてまず目にするのが玉垂の滝。
玉垂の滝の水が、おのころ島(実際は島じゃなくて池)に流れ込んで、
池の水が五ヶ瀬川へ落ち込むところが真名井の滝になっている。冒頭写真は滝展望所から見た真名井の滝である。アップで見てみましょう。
ボートを借りて滝の近くをうろうろできるみたいね。我々は時間的な都合でボートに乗らなかった。滝の奥に見える御橋も絶好の撮影スポットらしい。行ってみよう。
うん、いい眺めですな。ちょっと紅葉感を出してみました。前日の見学内容だけだと高千穂峡はいまいち消化不良だったから、あらためて来てよかったわ。リベンジ完了。補足するなら、先ほどの滝展望所で滝を背にした際の景色も渓谷感が見事だった。
高千穂神社で思いもよらぬ重忠杉
高千穂最後の見学先は高千穂神社。前日昼は満車だった駐車場も朝なら余裕あり。
こちらが拝殿でございます。
さて、見過ごせない杉の大木を見つけた。鎌倉時代に畠山重忠公が参詣した折にお手植えしたと伝わる秩父杉だ。秩父の三峯神社には重忠杉ってのがあったがここにも同様の杉が…畠山殿とくれば大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を思い出す。坂東武士の鑑とまで讃えられた武将が北条と対立して兵を挙げるまで追い詰められてなあ。どうする義時。
こちらが本殿でございます。源頼朝が奉納したとされる鉄造狛犬とともに国の重要文化財に指定されている。
はい、高千穂観光は以上で完了。神話の舞台あり、美しい峡谷あり、わくわくミニ鉄道あり、天気にも恵まれて楽しく周遊できた。行楽シーズンの駐車場難と、歩きにおけるアップダウンのきつさが想像以上だったのと、九州とはいえ内陸気候で結構冷え込みますよ、ってのが注意点かな。