南阿蘇村といえば日本一長い駅名「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅を思い浮かべる。鉄ちゃんじゃないのにね。もちろん阿蘇山の主要な見学スポットを擁する地であるのは言うまでもないし、長い駅名が示すように湧水・名水があちこちにある。
初日:阿蘇の北外輪山→2日目:高千穂を周遊してきた我ら一行の3日目が南阿蘇だった。雲ひとつない快晴で風も強くない絶好の行楽日和。南側から見る阿蘇五岳は順光のため明るくはっきり見えた。ばっちりですな。
また、村北西部の立野周辺には渓谷美と震災復興を印象付けるいくつかの橋や展望台があるほか、あまり観光地化されていないけど鮎返りの滝という見事な滝を見ることもできる。
まずは高森町の高森湧水トンネル公園から
鉄道トンネル工事の跡地が水源に
朝、高千穂を発って国道325号をしばらく走り、高森の町まで来た。南阿蘇村へ入る前に高森湧水トンネル公園に寄っていこう。場所は南阿蘇鉄道高森駅の近く。駐車場から歩き出したらちょうど高森駅を出発した列車が通過するところだった。
公園の表の顔はこんなです。
細長い池の奥にトンネルが口を開けている。鉄道のトンネルを掘っていたら大量の出水があって工事を断念し、現在は町の水源地になっているのだという。
トンネル内を見学できる
トンネル内部は見学用の通路が整備されている(入場料300円)。当時は町内外の有志団体が作ったクリスマスツリーが飾られていた。
見学路は500mほど。終点にはウォーターパールなる変わった噴水(?)が展示されていた。水に特殊な音波を与えて球体化させたうえで、見やすくするためにストロボを当てている。連続する水の筋ではなく1個1個が独立した球体となって、ストロボの具合によっては球体が重力に逆らって下から上に動いているようにも見える。
公園の掘割の上に立つと、涅槃像とも呼ばれる阿蘇五岳がよく見えた。
この写真には写ってないが時おり中央の中岳から白い噴煙が上っていた。あと関東人としては、右手の根子岳の形を見ると妙義山を連想してしまう。
水属性と火属性が絡み合う地
水の生まれる里を代表する白川水源
続いて南阿蘇村へ入り、白川水源へ。入口から100mほどは自由に歩ける。その先の池や神社のある区域は100円。まあここまで来たら入るでしょう。こちらが白川吉見神社。
池の水は非常に澄んでおり、水面に映る紅葉がきれい。
池の前には持ち帰り自由の水を汲む場所が整えられている。せっかくの名水だからペットボトルなどを持参していくといいだろう。手ぶらのワタクシは手のひらで受けた水を口に含んでみた。うん、白川のおいしい水ですね。
南阿蘇村には白川水源のような湧水池があちこちにある。まさに水の生まれる里ですな。
阿蘇パノラマラインの道中で楽しめる展望
さあ阿蘇山のコア区域へ近づいていくぞ。阿蘇パノラマラインの南登山道を上っていくと南阿蘇パノラマライン展望所が現れた。南阿蘇村を一望する絶景スポットだ。冒頭写真を以下に再掲する。
向こうの外輪山の中腹、ちょっと開発の手が入っている雰囲気のところに今宵の宿があります。さてどこでしょう。
このルート最大の目的地である中岳火口と米塚の見学については、阿蘇市側になるので別記事に譲ります。帰りにパノラマラインを下る途中で烏帽子岳展望台に寄ってみた。この時は地味な色合いだったが、5月下旬頃にはミヤマキリシマが咲いてとてもきれいらしい。
3日目の観光は以上で終了。この日はホテルグリーンピア南阿蘇に宿泊した。
立野エリアにも見どころいっぱい
3Dの迫力に満ちた新阿蘇大橋・長陽大橋と立野ダム
いよいよ最終4日目。ホテルをチェックアウトしたら国宝の通潤橋を見に山都町へ行く計画だが、時間に余裕があったため、立野付近の展望所に寄り道できるねということになった。まず向かったのは新阿蘇大橋展望所ヨ・ミュール。熊本地震で崩落した阿蘇大橋に代わって架けられたのが新阿蘇大橋だ。
地震から受けるダメージを抑えるようにいろいろ工夫された構造になっている由。現地に詳しい説明あり。反対側は長陽大橋と南阿蘇鉄道の第一白川橋梁が見事にマッチした景色を楽しめる。黒川と白川の合流点もなんとなく見えるかな。
続いて立野駅近くの立野ダム展望台。ダムと鉄道橋が同時に目に入る珍しい景観が展開しており、到着したらたまたまトロッコ列車が通過中だった。しかしスマホを取り出しカメラを起動する間に列車は去ってしまった。悔しー。
ダムの形は重力式ですな。まだ最終的な完成には至らず工事があと少し残ってる感じだった。ここはダムと橋の組み合わせが景色として面白い。可能ならトロッコ列車が通る時間を計算して訪れたいところ。
続いては長陽大橋展望所。長陽大橋のみならず第一白川橋梁の撮影に向いた場所でもある。
先ほどの新阿蘇大橋を下から見上げるロケーションでもある。
加えて白川の深い渓谷と、崖にへばりつくように通された道路になんか圧倒されてしまう。長陽大橋展望所は上に下に、高さの妙を楽しめる穴場的な景観スポットではないだろうか。
ここまで来たら見ておきたい、鮎返りの滝
南阿蘇村最後の立ち寄り地は鮎返りの滝展望所。現地はほとんど観光地化されてなくて、看板や標識で親切に誘導してくれるわけでもない。グーグルマップで調べれば鮎返りの滝展望所の場所だけはわかると思う。栃木温泉・小山旅館前の道路から分岐するのだが、最後のアプローチ道は非常に狭い急な下り坂だ。旅館に近い北側の分岐から進入した場合、下手すると詰んじゃいます。
旅館から遠い南側の分岐から進入して、途中で道幅が車1台ぎりぎりの幅になってもなお我慢して進むと、まもなく駐車スペースの空き地へ着くし、そこでUターンもできる。苦労の見返りに姿を現した鮎返りの滝がこちら。
おー、いいじゃないか。もっとアップで見たいな。
なかなかワイルドな風景だ。こんなの鮎どころか何者であっても引き返すしかないぞ。…我々も引き返して南阿蘇村を離れたのであった。