絶景がすばらしい南阿蘇温泉 ホテルグリーンピア南阿蘇

ホテルグリーンピア南阿蘇
晩秋の阿蘇・高千穂グループ旅行は、1日目:阿蘇北側~黒川温泉→2日目:高千穂→3日目:阿蘇南側のコースだった。となると3泊目は南阿蘇村ってことだ。同村には五岳五湯を称する5つの温泉地があるらしい。どこにするか迷っちゃうね。みんなで検討した結果、予算や特徴を考慮してホテルグリーンピア南阿蘇に決まった。

もとは年金系団体の公的保養施設だったこともあって、現在も公共の宿的な雰囲気が色濃い、手堅い運営だなあという感じ。立地がすぐれており、高台から阿蘇五岳を一望できる点が強みだ。お風呂からも同様の景色を楽しめるから、まあ絶景風呂と言っても過言ではない。阿蘇の雄大なスケールを目に焼き付けるべし。

ホテルグリーンピア南阿蘇へのアクセス

車を使わずに行くなら宿の送迎を利用することになる。熊本~高森・高千穂を結ぶバス(快速たかもり号)のJA久木野給油所横停留所、または南阿蘇鉄道中松駅までの送迎をしてくれるみたいだ。

我々は高千穂から高森を経由して南阿蘇村へ入り、中岳火口(細かいこと言えば阿蘇市になるが)や白川水源を見学した後にグリーンピア南阿蘇へ向かった。

ホテルは村の南端近くにあるため、必然的に阿蘇南外輪山へと登っていく道を通る。この道路はグリーンロード南阿蘇(ケニーロード)と呼ばれ、山を越えて西原村まで通じているが、訪問当時は当ホテルへのアクセスに必要な最小限の区間だけが通れて、その先は通行止めになっていた。

グリーンロードから分岐してホテルへのアプローチ道に入ると、途中で入場ゲート・料金所跡のようなところを通過。かつては入場料を取っていたのだろうか。さらには体育館や小さいお子様向けのミニ公園に加え、多目的に使えそうなだだっ広い草地が広がっており、敷地としてはかなり広い。高低差もあるし、気軽に歩いてまわれるレベルじゃない。

そんなこんなで山の中腹的な高台にでかいホテルが現れた。すぐ向かいは、かなりの台数を収容できそうな駐車場。いかにも一大リゾート施設って雰囲気だ。


何といっても阿蘇五岳ビューが印象的なホテル

現代的かつ安心感のあるつくり

ではチェックイン。館内は現代的かつ安心感のあるつくりで何の問題もない。定番のお土産コーナーはもちろんございます。
お土産コーナー
ロビーがこちら。ガラス戸の向こうがテラスになっていて、涅槃像にも例えられる阿蘇五岳を一望に収めることができてすばらしい。
ロビー
見たいですか? はい。噴煙が上ってますな。
テラスから見える阿蘇五岳
客層に小さい子連れファミリーが多く、その層を狙ったのかどうか、大浴場へ向かう通路に接してウサギランドがあった。フロントでウサギの餌(30円)を買って与えることができる。餌めがけてわらわら集まってくるぞ…自分で買って試してみたから間違いない。
ウサギランド

部屋を広く使えます

玄関とフロントは2階に相当し、我々にアサインされた部屋は1階の8畳+広縁和室。よくあるパターンだと部屋の中央に座卓が置かれているのに対し、ここは広縁にあたるスペースに座卓があった。8畳部分は完全にフリーな状態で空いているから畳の上で大の字になってもいいよ。布団は夕食中に敷いてくれる。
ホテルグリーンピア南阿蘇 8畳客室
シャワートイレ・洗面台あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり。WiFiは「くまもとフリーWiFi」という仕組みに乗っかる形で使う。なんとなくユーザー登録がめんどいから携帯キャリア回線のままで使ったが、つながりにくいとか重いということはなくて普通にネットできた。

全室が阿蘇五岳ビューだと思われ、この部屋からも先ほどのテラスと同様の絶景を楽しめてしまう。見たいですか? はい。
部屋から見える阿蘇五岳
この一点だけでも泊まる価値ありと思わせる。ちなみに部屋にはハーフサイズのベランダが付いていた。そういうレイアウトのおかげで右手の眺望がよく開けており、根子岳の方角までしっかり見える。


あつ湯とぬる湯と絶景と

大規模ホテルに見合った広さ

ホテルグリーンピア南阿蘇の大浴場は1階。ただし我々の部屋からだと、いったん2階へ上って別の階段から1階へ下りていかなければならなかった。大浴場へ通じる廊下のところに例のウサギランドがある。

男湯の入口付近と脱衣所内に100円リターン式コインロッカーあり。どこだったか失念したけど見かけた分析書には「ナトリウム-炭酸水素塩泉、低張性、中性、温泉」とあった。37℃の源泉を加水なし・加温あり・循環併用・消毒ありで提供。

男湯女湯の入れ替えなし。12名分の洗い場が埋まる心配はなさそうでキャパ十分かと。水風呂やらサウナやらをスルーして、注目は2つの内湯浴槽。

ぬる湯槽はタイミング次第で泡付き期待大

最初に目に入るのがわりと大きな15名サイズの「ぬる湯」と書かれた浴槽。もともと大きめなうえ、後述のあつ湯や露天風呂に人が集まりやすく、こちらの人口密度はつねに低いから狙い目。

お湯は薄い褐色を呈している。浸かってみたらたしかにぬるめだった。これなら長めにゆっくり入れそうだ。匂いを嗅ぐと軽いアブラ臭を感知した。一方で塩素臭は認識できない。いいんじゃないですかね。肌触り面ではややツルツルした感触がある。

湯の花や泡付きは特になし。見た目の特徴は色だけかなと思ったら、朝の入浴時に限り、二の腕あたりに細かい泡がたくさん付着しているのを確認できた。腕を動かすと、払われた泡が浮上して湯面でシュワーっと弾ける様子が炭酸飲料のようだった。

なんだこれは。まるで炭酸泉ではないか ?!(←喜んでいる)。どこかから気泡や炭酸的なものを投入しているのかと探してみたけど見当たらないし、わざわざ手間かけてそんな演出をするとも思えない。朝一番でお湯が鈍っていない時にこういう特徴を示すことがある、という仮説で納得することにした。あなどれんな。

人気はあつ湯槽の方か

もう一つの内湯は「あつ湯」と書かれた7名サイズの浴槽。床からせり上がった位置に設置されているため少し上っていくようにして入る。個人の感想でいうと、ちょっと好みのゾーンを外れて熱いかな。なので自分はほとんど利用しなかった。

一方で「温泉はやっぱり熱くないと」「お風呂の温度設定といえば42℃でしょ」という方が主流なのも理解できる。あつ湯槽にはそんなイメージのおじさま集団で占められるパターンが多かった。なのでぬる湯槽よりも人口密度は高め。

ぬるめの絶景露天風呂

あつ湯槽の脇から露天風呂に出られる。そこに待っていたのは10名サイズの岩風呂だった。外気で冷めるせいか、内湯のぬるい方よりもさらにぬるかった。自分の好みからするとこんなに好都合なことはない。いくらでも入っていられるぜ。

しかも前方の視界を遮るものがなく、ちゃんと阿蘇の絶景が見えるようになっている。パノラマ露天風呂ってやつだな。ロケーションの勝利といえよう。

見たいですか? …無理です。風呂場の写真はさすがに撮れません。ぜひ現地で体験していただきたい。

お湯がぬるいことから、お子様連れのお父さんがよく出入りするし、加えて絶景を楽しみつつ長湯できるのだからもっと混雑してもおかしくなさそうだけど、意外と芋洗いにならない。同じ顔ぶれがずっと居座って他の人がいつまでも近寄れないということもなかった。ホテルの売りのひとつと思われるこの露天風呂、なかなか大したものである。


食事はバイキング形式でお好きにどうぞ

ハーフバイキングの夕食と飲み放題コース

ホテルグリーンピア南阿蘇の食事は1階レストランで。朝夕ともバイキングだった。夕食は希望時間を調整しているから空席待ちなしで部屋ごとに決められたテーブルへ通される。ステーキとお造りが最初から配膳されていて、他の副菜をバイキング形式で取ってきたのがこちら。
ホテルグリーンピア南阿蘇の夕食
ステーキの肉は熊本のあか牛でいただくプランもあるが、我々のプランは大塚牛という別のブランド肉を使っていると思う。どのみち我が舌がブランドの違いを識別できるはずもなく…うまけりゃいいのよ。

お酒は飲み放題コースにした。ビールを2杯飲めば元が取れるぞと皮算用。しかし罠があった。メニューの“ビール”の標語しか目に入ってなかったが、書いてある銘柄は第3のビールだった。どうりでお得感があったわけだ。第3のビールじゃピリッとしないなあ(偏見)と思って2杯目から梅酒に移行。

いわゆるハーフバイキングなので、フルバイキングを売り物にしているところに比べると提供品の種類は多くない。とはいえ十分ですけどね。ステーキを食べた後だとお腹が膨れて2巡目・3巡目と攻めるのが難しいし。ちなみに最後は気まぐれを発揮してカレーライスで締めた。

阿蘇の山々を眺めつつの朝食

朝食は所定の時間帯の好きな時に行ける自由席方式。7時半頃に行ってみたらまだ余裕があり、待ちなしでスムーズに着席。朝はフルバイキングで、夕食時に負けないくらいの品数が提供されていた中から取ってきたのがこちら。
ホテルグリーンピア南阿蘇の朝食
昔は洋風の組み立てを好んだものだけど、年齢とともに和風の組み立てが当たり前になってきたな。ベーコン+スクラブルエッグ+ウインナー+ポテトに往時の気概を込めてみた。これらの布陣で昼ご飯抜きで十分なくらいの栄養は摂れた。もちろん食後のコーヒーもあります。

朝は一面ガラス張りの向こうに阿蘇の山々を望むことができて気分が良い。本当にうまい場所に作ったものだなあ。見たいですか? 残念ながら写真はありません。

 * * *

眺望に重きを置くと非常に満足度の高いホテルになることだろう。と書くと、温泉面はいまいちなのかと思われそうだけど、温泉らしい特徴は感じられるし、ぬるめで入りやすい温度(これは個人の好み)・露天風呂からの景色込みで総合点を考えれば検討に値する。特にあの朝の泡付きで印象がだいぶ変わった。

施設や運営に万人向きの手堅さがあるので、ファミリーやさまざまなバックグラウンドを持つ人達と一緒の旅行に向いているんじゃないかな。


おまけ:通潤橋と鉄道遺構と恐竜

国宝通潤橋の放水

チェックアウト後に南阿蘇村の新阿蘇大橋展望所・立野ダム展望所・長陽大橋展望所・鮎返りの滝を見学した。これらは別記事にて。

それから国宝の通潤橋を見るために1時間ほどかけて山都町へ移動した。通潤橋は170年前に建設されたアーチ式の水路橋だ。
通潤橋
このお方が橋を造った布田保之助さん。
布田保之助像
訪問当時を含む所定の日の13時から15分間、橋からの放水を実施しており、放水日には橋の上を歩くことができる(500円)…でも我々は下から見るだけよ。13時を狙って来たから、少し待ってたら放水が始まった。
通潤橋の放水
橋に近づくとこう見える。
通潤橋の放水 その2

ワイルドな五老ヶ滝

通潤橋の近くの五老ヶ滝も見ておきたいスポット。橋から直接歩いていくのはしんどそうだったので、車で布田神社前の駐車場まで行ってから遊歩道を下っていった。アップダウンが結構きつい。最初の滝見所(?)からのぞくお姿が見事なり。
五老ヶ滝
少し先の吊り橋まで行けば正面からのアングルで見ることができる。通潤橋のちょっと下流にこんな野性的な滝があるとは意外だね。
五老ヶ滝 その2

霊台橋から熊延鉄道遺構八角トンネルへ

周辺地域には似たような石造アーチ橋がいくつもある。そのひとつである美里町の霊台橋へ行ってみた。こちらは人が渡る一般的な橋みたいだな。今も自由に徒歩で渡れる。
霊台橋
霊台橋の上流側には船津ダム。なんかいい雰囲気の景色ですね。
船津ダム
霊台橋から国道を西へ向かうと「熊延鉄道遺構八角トンネル」という、ロマンを感じざるを得ない観光スポットがあった。その昔に線路を引いて車両を走らせていた路盤を歩いていくと、
熊延鉄道の路盤跡
おお確かに八角形のトンネルだ。
八角トンネル
トンネルというよりは連続するドーナツみたい。輪切りにしたちくわというか。
八角トンネル その2

旅のラストは御船町恐竜博物館

旅の最後の立ち寄りは御船町恐竜博物館。町役場の駐車場に車を止める。入館料は500円。館内撮影OK。
御船町恐竜博物館
子供が喜ぶ・子供の教育を意識した施設には違いないとしても、我々のような大人が見ても結構ためになる展示内容だった。気合が入ってますよ。
恐竜の骨格展示
阿蘇の火山活動、大地から湧き出す温泉、熊本地震の爪痕、江戸時代の石橋、大正~昭和の鉄道遺構、恐竜の化石、地球の歴史、いろんな時間軸を1日で体験してしまったな。