晩秋の頃、いつもの「人生で一度は行きたい」企画メンバーで訪れたのが、熊本・阿蘇と宮崎・高千穂。基本的には観光メインであって温泉めぐりではない。かまいませんよ。有名どころだし、いっぺん来てみたかったんだよね~。
阿蘇は、外輪山に囲まれた世界最大級のカルデラの中に阿蘇五岳(根子岳・高岳・中岳・杵島岳・烏帽子岳)が連なり、ハイライトは噴煙を上げる中岳火口。また、雄大な阿蘇連山を一望する展望所が各地に整備されており、それらをめぐる草原のドライブも気分爽快だ。
本記事は阿蘇市内の観光スポット…ミルクロードに点在する展望所・古閑の滝・中岳火口についての見学日記である。
1日目:ミルクロードの展望所めぐり
トップバッターはかぶと岩展望所
初日の朝、羽田から熊本空港へ移動してきた我ら一行。レンタカーを借りていざ出発。肥後大津を経由してミルクロードと呼ばれる県道に入った。北外輪山の尾根沿いを走る道だから、連続するくねくねカーブとともに標高がどんどん上っていく。尾根筋に取り付いたところでカーブの具合はいくらか落ち着いた。
周辺は木が生えていない草原の丘陵地帯といった風景。当時は一面ススキ野原+ところどころに牧場が見られた。やがて最初の立ち寄り地「かぶと岩展望所」に到着。南の方角に阿蘇五岳を望む。さあ絶景だ!
…うーん、雲が多いのと逆光のせいで暗いし、山の上の方が隠れちゃってるな。乗った飛行機がこの辺の上空を通過している時に窓からのぞいたら、カルデラの一帯だけ雲でばっちり蓋されちゃってるのが見えたから、覚悟はしていたが。地形的に水蒸気が集まりやすいんでしょうね。かぶと岩は写真の右手の方にあるらしい。
ちなみに反対側はこういう景色になっている。木がありません。
ご近所さん同士の西湯浦園地展望所&阿蘇スカイライン展望所
気を取り直して次は車で5分くらい先の西湯浦園地展望所。さあどうだ。状況は少し変化しているかな。
…だめだ変わってない。一部青空がのぞいているし悪い天気ではないんだが、今日の目的からすると微妙に及ばずな感じだな。向こうの山のことはおいといて、下界の街を広く見渡すパノラマビューとしては十分に楽しめた。なお、写真の左に見える突端まで行ける遊歩道は有料(300円)。我々はパスした。
お次はすぐ近くの阿蘇スカイライン展望所。今度こそどうだ。状況は少し変化しているかな。
…だめだ変わってない。阿蘇連山のうち、なんとか頂上まで見えている一番左が根子岳、その右隣の雲に隠れちゃってるあたりが高岳と中岳、右裾に連なるあたりが杵島岳と烏帽子岳だと思われる。下界のやや高い建物を含むちょっと開けた街は、あるメンバーの指摘によれば、内牧温泉だろうとのこと。
主役はやっぱり大観峰
さあいよいよ有名な大観峰へ。なんで有名かはよく知らんがとにかく阿蘇を展望する場所といえば大観峰なのだ。車を降りると、おっ、稜線がギリ見えるようになってないか? 本日唯一のチャンスかもしれん、急いでスマホを取り出しアップで撮影。
大観峰のメイン展望所までは駐車場からだらだらとした登り坂が続く。頑張って登りきるとこのような景色が待っている。
…雲よ、もうちょっとどいてくれんか。そして右手にはこれまで走ってきた外輪山が断崖絶壁のように切り立っていて面白い地形。手前の崖っぷちには模型飛行機を飛ばしている人がいました。
駐車場へ戻る際に目に映った、展望所と逆の方角の景色がこちら。広がる草原地帯+くじゅう連山ですかね。こっちも雲が邪魔してるなあ。
まだまだ続くよ…あそBo-郷 扇谷展望所と城山展望所
展望所シリーズはまだ続く。お次は昼食を兼ねて「あそBo-郷 扇谷展望所」へ。メンバーの話によれば土地を管理している方がキッチンカーを営業している、そこで買い物すれば展望所に入れてくれる、とのこと。
キッチンカーで提供されているのは、おにぎり・サンドイッチ・ソフトクリーム・あか牛串焼きなどの軽食系。自分はイカ焼きと高菜をたこせんべいで挟んだミックス焼きを注文した。ミックス焼きを手に展望所への遊歩道を行く。
おお、隠れてナーイ。だんだん雲が取れてきたかな。当展望所は阿蘇五岳もさることながら、大観峰方向の景色も見事だ。下の写真だと暗く渋くなっちゃってるけど、実際は山腹の紅葉がもっと鮮やかで、遠目には桜が咲いているかのような錯覚さえ覚える。
この日最後は城山展望所。売店ではみかん・柿などの果物をたくさん置いていた。何も買わずにすいません。展望だけさせてもらいます。ここまで来ると根子岳がだいぶ近くなり山頂のギザギザがよくわかる。
さて今日はもう打ち止め。欲を言えばもっとスカッと晴れてくれれば絶景感が一段と増したに違いないが、お天気ばかりはいかんともし難い。明日以降まだチャンスはあるだろう。
2日目:氷瀑の時を待つ古閑の滝
2日目は高千穂へ移動する途中で古閑の滝に立ち寄った。道案内の看板や標識が充実しているわけではない。また、集落内の細い道へ入り込んでいくため、カーナビがないと「こっちで合ってるのか?」と不安になるかも。最後は無人の料金所に300円を投入する式の駐車場にたどり着く。
駐車場から滝まで800mを歩くが15分で行けると思わない方がいい。きつめの登り坂が続き、予想以上に体力を消耗してだんだん足取りが重くなるからだ。そんな地形を歩かされる理由のひとつにJR豊肥本線の線路(トンネル)をまたぐ都合があるように思われる。
レールが写っているのがわかりますかね。古閑の滝は豊肥本線の列車の車窓からもちょっと見えるらしい。
さあ着きました。こいつが古閑の滝だ。高さ100m。
激しい瀑布ではなくて水はチョロチョロで少ない。上から落ちかけたところで風にあおられて霧と消えかねないほど少なかった。でも水量が少ないおかげで冬になると水が凍って氷瀑となる。つまり真冬こそ見頃なのだ。冬にあの傾斜のきつい坂を上り下りできるのかな。
3日目:噴煙上がる中岳火口へ
見学可否を左右する天候に恵まれた
3日目は高千穂から南阿蘇村へ移動し、パノラマライン経由で中岳火口を目指す。阿蘇山上広場というところまでは比較的容易に行けた。中岳火口を見学できる終着点が噴煙とともに見えている。あと少し。
問題はラストワンマイル、じゃなくてラスト1.2kmが阿蘇山公園道路という有料道路であり、火山ガスの状況や天候次第で通行止めになってしまうことだ(その時は徒歩も不可)。幸いなことに当日は快晴で風が強くなくて噴煙も凶暴でない。有料道路のゲートには全面通行可の青ランプが点灯していた。よっしゃ。
はい、終着点の駐車場まで来ました。走ってきた道路や先ほどまでいた阿蘇山上広場の方角を眺めるの図が冒頭写真だ。奥の山は烏帽子岳か?
迫力の火口をのぞきまくる
じゃあ火口をのぞき込むぞ。
キターーー!!! 火口の底は見えないが勢いよく立ち上る白煙は迫力があった。お鉢めぐり的に一周する道はなく、歩き回れる範囲は限定されている。それでもいくらかアングルを変えて眺めていけば見え方も違ってくる。
噴煙が若干収まってくると火口の底にエメラルドグリーンのお釜がちらっと見え隠れするようになる…しかし猫の目のように状況がくるくる変わるためタイミングが合わず写真に残せなかった。
見学した火口の反対側も火口跡のような地形だった。さっきの噴煙を上げていたのが活動中の第1火口で、反対側は活動停止中の第2火口になる。昭和初期には第2も活動していたという。
こうして歩き回ったエリアを別の展望所から撮影したのがこちら。各所の小さなドームは緊急時の避難シェルターである。
草千里は激混みすぎ…米塚展望地へ
火口見学を終えて草千里に行ったら、激混みで駐車待ちの大行列が見えたからスルーして、JR阿蘇駅へ下る道路の途中にある米塚展望地へ目標を切り替えた。米塚というポッコリかわいい山がよく見えた。
北外輪山から中岳火口まで、ずいぶんあちこち回ったな。ハイライトとなる火口見学の日がすっきり晴れてくれたこと、規制が特にかからなかったことは運が良かった。来てみてあらためて実感したが、やっぱりカルデラのスケールがでかいね。