軽井沢で楽しむ本格温泉と和フレンチ - 小瀬温泉ホテル

小瀬温泉ホテル
泣く子も黙る天下のリゾート地・軽井沢。普通だったら、ぼっちおじさんなんかお呼びでない。陽気な老若男女が行き交うにぎやかな通りに佇む我が姿なんて想像できない。うわー似合わねー。

ところが本格的な温泉を楽しめる、雰囲気の良いホテルが軽井沢にあるとの情報をキャッチして、行ってみたくなっちゃった。それが小瀬温泉ホテル。繁華街を外れた白糸の滝の方ですね。相場的にものすごくお高いかと思えば、自分のお財布事情でも手が届きそう。

源泉かけ流しに加えて無料の貸切風呂もあるんですってよ。夕食は定評ある和フレンチのディナー。こりゃ行くしかないな。似合う似合わないの問題じゃない。やるかやらないかだ!(開き直り)

小瀬温泉ホテルへのアクセス

公共交通機関でもアクセスに難はない。軽井沢駅から白糸の滝・北軽井沢方面行きのバスが日中で1時間に1~3本出ていて、16分で小瀬温泉下車。あとは徒歩2分。

車で行く人も多いでしょう。当館は白糸ハイランドウェイという有料道路の区間内に位置する。ものすごくマイナーな狭い林道を駆使すれば途中から出入りできるかもしれないけど、普通はハイランドウェイの起終点に設けられた料金所を通ることになる。

小瀬温泉ホテルのホームページなどで見かける注意書きによれば、「旧軽井沢方面から来る場合は料金所で『小瀬温泉ホテルへ行く』と申し出れば無料で通れる」とのこと。しかし「草津方面から来ると通行料が発生する」そうだから注意。

自分の場合は車で鹿沢温泉紅葉館へ立ち寄り入浴した後に向かった。当初は鬼押出しでも見学しながら北回りで行こうかと考えていたが、そうすると前述の通行料が発生するパターンになるうえ、鬼押ハイウェーでも料金取られるっぽい。…節約しよ。

鹿沢温泉→湯の丸高原・地蔵峠→東御→御代田を経由する南回りで走った。単純に遠回りだし、峠越えのアップダウンあり、軽井沢付近では渋滞までいかないにせよ車が詰まってノロノロ運転。ガソリン代まで含めてどれほど得したかは微妙なところ。白糸ハイランドウェイ料金所では「小瀬温泉ホテルへ行く」と申し出たら確かに「どうぞ」と通してくれた。


落ち着いた雰囲気の老舗宿

館内はすっきりとした清潔感あり

事前の勝手な想像で大正ロマンのような洋館を想像していたら、冒頭写真の通り和風の装いだった。避暑地の林の中に立つ一軒宿の風情。前を流れる小川にかかる小さな橋を渡って入館する。ここからは自分がどんなに想定客層から外れていて浮こうが気にしない所存である。

ロビーはさすがに落ち着いた上品な雰囲気ですな。売っているお土産もチャラチャラしてない。なにせ落雁とみすず飴だからね。
ロビー
本棚に置いてある書籍もチャラチャラしてない。
書籍コーナー
創業約150年の長い歴史を重ねつつも、内装は適宜リニューアルされている様子で全然鄙びてなく、すっきりとした清潔感あり。山林内でも冬の一歩手前だったおかげか、カメムシやカマドウマの類は全く見かけなかった。
1階通路

スペック的に申し分ない部屋

案内された部屋は2階の8畳+広縁和室。布団は夕食中に敷いて朝食中に上げてくれるクラシック方式。強力なヒーターのおかげで部屋は暖かい。畳に若干シミがあるのは気にするな。
小瀬温泉ホテル 8畳客室
3点ユニット式のような洗面台+シャワートイレあり。金庫あり、空の冷蔵庫あり、WiFiあり。携帯のアンテナが1本しか立たない状態だから助かった。一人旅には十分すぎるスペックの広さ・設備と軽井沢ハイソ気分で浮かれちゃう雰囲気である。

ちなみにウェルカムお菓子は落雁。先ほどのお土産と同じやつかな。やけにうまい。2名泊と同じ手順でセッティングしたから2つ用意されてたんだと思うけど、うまいから2つとも食べちゃった。お土産に買わなくてすいません。

窓の外はこのような景色。軽井沢のイメージそのまんまの林が広がり、目線を下に向ければ前述の小川が見える。
窓の外は林

「自分時間を楽しむ」というフレーズが似合うお風呂

寝湯体勢でゆっくりできる貸切風呂

小瀬温泉ホテルの大浴場は男女別の一般内湯と「一の湯」「二の湯」という2つの貸切露天風呂がある。日帰り入浴を受けていないから変に混雑することがなくてGood。みんなが専ら利用したがると思われる貸切露天風呂から説明しよう。

貸切風呂は無料で回数制限もない。予約制ではなくて、使いたい時に部屋からフロントへ電話するか、もしくは直接フロントへ出向いて空き状況を尋ねるべし。一・二のどちらかが空いていれば鍵をくれる。専用階段で2階へ行くと一の湯・二の湯への各ドアがあるから、鍵に対応する方へ入る(オートロック)。

自分はチェックイン直後に二の湯へ行った。さすがは洒落た雰囲気のつくりで専用の休憩室まである。分析書も貼ってあって「単純温泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」だった。温度を下げるための加水以外は加温・循環・消毒なし。やりますな。

シャワーブース的な1名分の洗い場に続いて、ちょっとしたテラス風の場所に木の浴槽。その縁には頭を乗せて寝湯体勢になれる木の枕が3つ並んでいる。お湯は完全なる無色透明。浸かってみたら適温だった。湯の花や泡付きなし。特に強く主張してくる匂いもなく、しかしながらそれっぽい温泉臭はほんのり感じられる。

いかにも人気を集めそうな雰囲気

道路から見上げても丸見えにならないようにした目隠し越しに、部屋で見た景色の上半分くらいが視界に入るようになっている。新緑の季節なんかきれいだろうね。

湯口からの投入がちょっと変わっていた。浴槽に直接注がない。隅の三角コーナーみたいなところに注いでいて、それがどこからか浴槽に流れ込むというか…何を言ってるのかわからないと思うが、行けばわかるさ。間接照明ならぬ間接投入だ。温度を下げたいのかな。

結構な量が投入されているようで、一方の端からオーバーフローして出ていく量も多い。その排出音が一定の間をおいてグオォォーッと唸りを上げるのだった。

浴槽の隣はウッドデッキ風になっていて、自分は活用しきれなかったものの、いかにも洒落てますな。貸切風呂はたぶん人気が集中すると思う。就寝前にトライしたら空きがなくてあきらめた。朝は7時~9時という限られた時間帯で「どうせ空いてないや」とトライすらせずで結局1回しか入ってない。

一般内湯は独占チャンス多くて狙い目

夕食前・就寝前・起床後は一般内湯を利用した。浴室に入るなりムワッと襲いかかる温泉臭。何の匂いだかうまく表現できないけどこりゃすごいわ。洗い場は5名分。奥に6~7名が横並びで入れそうな浴槽がある。

こちらの湯口もちょっとユニーク。やたらと幅広で浅い段差が4段ついているため、細く勢いよく噴き出すのとは正反対の、ウイングを広げてダラーっとゆっくり流れ込んでくる感じ。やっぱり温度を下げたいのかね。トータルの流量としては多いので、オーバーフローして出ていく量もかなりのもの。

浸かってみるとやや熱めだった。日本人の42℃ベスト神話からするとこれくらいを好む人も多いだろう…個人的にはぬるいお湯が好きだが。湯の花・泡付きなし。匂いは貸切風呂に比べると微硫黄香がはっきり意識された。なかなかいいお湯じゃないですか。

今回の遠征は加賀井温泉奥山田温泉・鹿沢温泉と個性の強いキャラが続いたから、やさしい系の温泉が締めに来るとホッとする一面もあるね。一般内湯はチェックアウトまでいつでも入れるし、みんな貸切風呂を狙うためか、いつ行っても人が少なくて独占確率が高い。穴場といえば穴場。


食事は期待を裏切らない満足度

信州食材を使った和フレンチディナー

小瀬温泉ホテルの食事は朝夕とも1階食事処で。いくつかの選択肢から決めてあった希望時刻が近づくと、客室に電話がかかってくるから食事処へ行き、部屋ごとに割り当てられたテーブル席につく。夕食のスターティングメンバー+少し後に運ばれた魚料理がこちら。
小瀬温泉ホテルの夕食 その1
蓼科牛の燻製とか八ヶ岳産鹿すじ肉のリエット(リエットが何かは知らん)とかアメーラトマトとか、近場の食材を使ってくれてる。生ハムは鮪だって。サラダも地元野菜でしょう。そういうことにしておこう。

魚料理は鰆のソテーのトマトソースだ。上品な味わいってやつですな。よくできてる。和食にもよく使われる鰆が、和フレンチとはいえ本ディナーの重要なポジションを見事に務めてくれた。鰆の有能さに感服つかまつった。

肉料理は立科高原豚ロースのグリルに常盤牛蒡のソース。こちらも信州食材で攻めてきた。常盤牛蒡って何だ? と調べてみると、飯山市常盤地区で作られてきたゴボウだと。“信州伝統野菜”のサブタイトルが付いてました。土臭さがなく適度な風味が豚肉の旨味を引き立てる。付け合わせの彩りも良し。
小瀬温泉ホテルの夕食 その2
締めは鯖昆布ご飯。普通ならいくらでも食べられる系のやつだが、この時点で結構お腹いっぱいになっており、わりと残してしまった。残念無念しかくめん。

オーソドックスな朝食も良し

もしかしたら、朝食の希望時間をあえてみんなが指定しなさそうな時間にして、みんなが希望しそうな時間を入浴にあてたら貸切風呂争奪戦をうまく立ち回れたのかなあ。そこまで頭が回らなかったわ。まあいいか。

朝食に出てきたのはオーソドックスな和定食に近いスタイル。卵焼きにかかっているあんかけみたいなソースに独自性があるといえばある。
小瀬温泉ホテルの朝食
食事処からウッドデッキへ出ることができるので食後にちょっとのぞいてみた。小川を眺めながらの優雅なひと時を過ごせそうだ。
ウッドデッキ
灰皿が置かれているってことは喫煙スペースを兼ねてるのかな。※当時は特に煙草臭くはなかった。

 * * *

温泉目的の遠征で軽井沢へ行くことになるとは、当館の存在を知るまで考えもしなかった。全国展開で成功を収める某リゾートホテルを除くと温泉のイメージがなかったので…そういう意味では意外性のある宿といえるかもしれない。老舗だけあって運営は手堅く安心感がある。

今回はぎりぎり晩秋くらいの季節だった。ホームページなんかを見ると緑のまぶしい頃が良さそう。避暑地のイメージにも合ってるし。やっぱりおじさんには似合わないだろうけど。


おまけ:白糸の滝とまた来てしまった八ッ場ダム

チェックアウト後は白糸の滝を見学。人工の堰じゃないのかって思うくらいに調和の取れた姿。
白糸の滝 その1
角度を変えて見るのも一興。なるほど白糸だな。
白糸の滝 その2
さて、高速が渋滞する前に帰りますか。ここで気まぐれがむくむくと…来た道をただ戻るんじゃ多様性に欠ける(謎理論)、別の帰り方はないか…ということで旧軽井沢→碓氷峠回りのルートから北軽井沢→長野原→渋川回りのルートに変更。つまりは八ッ場ダムを見学していけってこと。
もう来るの5回目だよ。今回はたまたま放流している最中だった。いかん、ちょっと見てすぐ立ち去るつもりだったのに、エレベーターで下りて近くでしっかり見なくてはいけなくなった。
放流中の八ッ場ダム
ドバアアアアァァァァーーー!!!
迫力ある放流
吐水口の向かい側に立つと水煙がものすごくて、まるで雨の中に突っ込んだみたい。服が結構濡れてしまった。
水煙でびしょ濡れ
吾妻川沿いは温泉がいろいろあるのでラスト立ち寄り湯の誘惑がないではなかったが、無理に詰め込んだ行程は禁物。家に着くまでが遠足。おとなしく帰宅しました。