利尻島を1周する:さまざまな姿の利尻富士と海

利尻富士とオタトマリ沼
人生で一度は行ってみたいが叶うことなく一生を終えるだろうと思っていた利尻島へ、他力本願的な面はあったにせよ、ついにやって来た。せっかく訪れた以上は温泉のみに固執せずベタな観光もやり切ってしまいたい。※登山やトレッキングやサイクリングをするつもりはなく、車で回れる範囲のみ。

島を一周する道路に沿って順々に見どころをクリアしていくのが一般的な攻略法になるだろう。我々は島に着いてからの半日と、翌日島を出るまでの半日を使って周遊した。

基本的には利尻富士と海の景色をさまざまな方角から眺めるのが主となる。山に雲がかかっていない好天かどうかが運命の分かれ目となるが、我々は1勝1敗みたいな感じだった。

まずまず晴れてて良かった前半の観光

島の北端近くから時計回りに一周する

旅の2日目の午後に利尻空港へ到着した我ら一行。雲はあるけど雨は降らなさそうな天気だ。全国的に体温を超える地域がざらにある酷暑シーズンにもかかわらず、現地はずいぶん涼しかった。ていうか肌寒い。夏より冬を連想するくらい。

いったん宿泊先のペンション「ヘラさんの家」に荷物を置かせてもらい、借りた車で出発。ちなみにヘラさんの家がある鴛泊地区は、雲がより一層厚くて風は強く冷たく、半袖の身にはおそろしく寒かった。オーナーが言うには、風向きのせいなので島の南は晴れてて暖かいはずですよ、とのことだが…。

出発地点を時計の12時として、時計回りに一周する形となった。まず1時の方角にある姫沼展望台から鴛泊地区を望む。
姫沼展望台
よーくよく目を凝らすと背後にうっすら礼文島の島影が見える。すっきり晴れていれば余裕のよっちゃんで分かるんだろうね。東方向にある稚内は見えず。案内図に書いてあるサハリンは言うまでもない。

散策を楽しめる姫沼

お次は姫沼。下のような沼を一周する木道が付いており、季節によっては道端の花を鑑賞しつつ、20分ほどで歩き通すことができる(時期的に花は少なかった)。我々は時間の都合で5分くらい歩いて引き返した。
姫沼の遊歩道
沼の向こうに利尻富士を望む景色が見事である。しかし雲がかかっていて「これは!」という写真がなかなか撮れなかった。帰り際に雲がいなくなってきたタイミングを狙ってようやく撮れたのがこちら。強風のため波が立って「逆さ利尻富士」とまではいかず。
姫沼
時間に余裕のある方は山と湖と花や緑を楽しみながら一周してみるとよいだろう。姫沼を出て、ほど近い野塚岬のホテル雲丹御殿付近からも利尻富士を展望できたが、雲に阻まれていまいちだったので割愛します。

景観的にはベスト級のオタトマリ沼

お次は一気に5時の方角まで南下してオタトマリ沼へ。南の方へ来たら急に雲が減って風が弱まり暖かくなった。宿のオーナーの言った通りだ、すごい。同じ島内でこうまで気候が変わるのは不思議だな。半袖でもサムクナーイ。

おかげでこの旅を通じて一番の気象条件の下で見学できた。オタトマリ沼の駐車場で車を降りた瞬間に下のような絶景が目に飛び込んできたのである。オー、ビューティフル、デスネ。
オタトマリ沼
利尻富士は見る場所によって形がどんどん変わるなー。おもしろい。現地は大型バスが何台も停まれる規模の駐車場が整備され、実際に団体ツアー客がいっぱいいた。飲食・売店もある。利尻島では定番中の定番なんでしょうな。個人の感想としてもオタトマリ沼はおすすめだ。

お次はオタトマリ沼に近い沼浦展望台、別名・白い恋人の丘。ここはオタトマリ沼を見下ろす高さから利尻富士を展望する。沼はぎりぎり視野に収まる程度だけど。
沼浦展望台(山側)
セールスポイントとしては反対方向が海の展望所にもなっていることだ。晴れてきたおかげでどうにかギリギリ、北海道本土が見えた。
沼浦展望台(海側)

天気のいい内に計画を前倒して進め

ウニ場の仙法志御崎公園、景勝岩3兄弟

曇りの予報で晴れたのは運がいい、時間に余裕があるし明日は天気悪そうだから、計画を前倒して今日のうちに見られるだけ見ておこう、と決まった。お次は6時の方角にある仙法志御崎公園。ここから見る利尻富士もなかなかカッコいいですな。
仙法志御崎公園
あとは岩場とウニの食べ比べのできるお店が一軒。ウニ養殖池(?)にはアザラシがいるとの情報もあったけど、当時はいなかった。付近一帯はカモメだかウミネコだかがものすごくたくさん群れている。
仙法志御崎公園の岩場
続いて8時の方角に3つ連続する岩スポット。最初は北のいつくしま弁天宮。
いつくしま弁天宮
2つ目の寝熊岩は歩いてすぐ。言われてみれば熊が腹ばい状態で寝ているように見えるね。あと海面を埋め尽くすほど浮いてる昆布が気になる。あれって利尻昆布なんだよな。
寝熊岩
3つ目は人面岩。しめ縄された岩がそうだと思うんだけど、さてどうでしょう。肉眼でも写真でも逆光でわかりにくかった。
人面岩

神居海岸パークの展望台もおすすめ

続いて8時半くらいの方角の神居海岸パーク。カフェがあるなあと思ったらウイスキー蒸溜所だった。おー、頑張ってるなあ。海のそばでアイラみたいな味わいのができたらおもしろいね。ここもご多分に漏れず利尻富士展望台あり。またしても山の形が違います。
神居海岸パーク 利尻富士展望台
ご当地ではウニ採り・カニ釣りなどの体験メニューも提供している。あのへんでやってるのかな。
神居海岸パーク 磯場
北西寄りに目を転じれば、はるか遠くにうっすら礼文島が。島の上に雲がかかっているのは気になるな。明日礼文へ渡るんでね、雲が取れてくれないかな。
礼文の島影

プチ登山の先に待つ見返り台園地

この日の最後は9時の方角の山の中腹にある見返り台園地。すれ違い困難な狭い道を登っていくと駐車場がある。そこから息が切れる登坂の遊歩道を進む…もう覚えてないが15分くらい?…と展望台に出る。笹薮がちょっと邪魔だけど利尻富士の頭を間近に望むことができた。
見返り台園地
またしても山の表情が違います。振り返れば沓形の街と夕日。
夕刻の沓形
夕日が沈む絶景を待つ余裕はない。もう宿に戻らねば。いったん一周しきってヘラさんの家に帰り、温泉→食事→軽く酒盛りして寝た。


風雨にたたられた後半の観光

沓形岬公園と富士野園地

翌日はもうメタメタ。寒いし風は強いし雨は降ってくるし。映える絶景は期待せず前日取りこぼしたスポットを拾うことに徹した。まず9時の方角の沓形岬公園。ここは雨やんでたし若干暖かかった。やはりこの風向きだと鴛泊とはまるで別の気候。山は雲に隠れちゃってますね。
沓形岬公園
以後は鴛泊へ戻っていくコース。あまりの寒さと横殴りに叩きつける雨で心が折れてしまい、記憶の解像度が下がっている。鴛泊近くの富士野園地なる場所は映画「北のカナリアたち」のロケ地だったようだ。
富士野園地
富士野園地から見えるポンモシリ島はカモメだかウミネコだかのコロニーになっている。
ポンモシリ島

利尻富士温泉には入れず、甘露泉水まで往復

もう観光どころじゃないということで日帰り施設の利尻富士温泉へ行ってみたら、まだ開店前だった。ネットだと夏季は11時OPENとなっているけど実際は12時OPENだったのよね…。ああ体が冷える。
利尻富士温泉
利尻富士温泉の道をさらに奥へ上っていくと、登山道の起点となる野営場に行き着く。駐車場から10分くらい登山道を歩くと甘露泉水なる水場がある。そこまでならウッドチップや舗装された道で傾斜もきつくない。同行メンバーは甘露泉水で水を汲んでいた。自分は見るだけ。ああ体が冷える。
甘露泉水
最後に利尻富士温泉のお隣りさんの高山植物展示園。規模はそれほど大きくない。じっくり見て回る心の余裕がなく、雑に終えてしまったのは仕方ない。雨風がとにかくひどい。ああ体が冷える。
高山植物展示園
2日にわたる利尻島観光は以上で終了。車を返して鴛泊港へ向かい、フェリーに乗った。寒い・つらいという印象で記憶を上書きされてしまったが、後日こうして記事を書きながら写真を見て思い返すと、前半は良い天気だったんだな。利尻富士の見事な姿をたくさん拝めたんだし、文句ないでしょう。