最北の島に絶景露天風呂あり - 礼文島温泉 うすゆきの湯

礼文島温泉 うすゆきの湯
日本最南端の有人島・波照間島へ行ってからわずか3か月後、今度は最北の礼文島へ来ていた。礼文島と聞けば、ドラマ「熱中時代」の北野先生や映画「北のカナリアたち」の川島先生を持ち出すまでもなく、最北ロマンという動機だけで十分だ。一緒によく旅行するメンバーのおかげもあって実現にこぎ着けた。

礼文島には数々の景勝地の他に温泉施設もあり、温泉体験の面でも意義深かった。観光面では残念ながら天気に恵まれず。諸般の事情もあって、観光タクシーで主だったスポットを回りつつ、風雨が強いのでサクッと見学・撮影してすぐ退散…みたいになっちゃったのは仕方ない。

以下では日帰り温泉うすゆきの湯・泊まった民宿やざわ・観光日記を一挙に紹介する。

礼文島に来たら外せない日帰り温泉「うすゆきの湯」

港から歩いてすぐの利用しやすい施設

旅の3日目。利尻島からフェリーで礼文島へ渡ってきた。利尻島と同じく肌寒い上、冷蔵庫から吹き出しているかのような冷たい強風と雨が横から叩きつけてくる。天気予報によれば気温15℃なれど、体感温度はもっと低かったはず。夏なのに冬と変わらない寒さだ。半袖だから辛さ倍増。

まず民宿やざわにチェックインした後、手配していた車をいろいろあって借りることができなかったため、この日の観光はあきらめた(どうせ雨だし)。ひとまず翌日の観光タクシーを手配して「何もできずに島を去る」最悪の事態だけは回避。

さあ今日はもうやることがない。じゃあ風呂に入ってのんびりするかということで、宿や港から徒歩数分の「うすゆきの湯」へ向かった。民宿やざわで1回無料券をもらっていたしね。通常は600円。
うすゆきの湯
新しめでなかなか立派な建物である。受付・大浴場・休憩室などはすべて2階。休憩室はよくある和室+座卓の構成で、窓から海越しの利尻富士を望む。悪天候なりにどうにか壮麗な姿を捉えることができた。晴れていればとんでもない絶景だったに違いない。
休憩室から見える利尻富士

中温と低温が用意された内湯

大浴場は通路の奥にあった。手前が男湯で奥が女湯だったかな。たぶん男女の入れ替えはないと思う。玄関の靴ロッカーと脱衣所のロッカーが100円リターン式なので小銭の用意を忘れずに。分析書をチェックすると「ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」だった。

浴室は結構混んでて14台あるカランがそこそこ埋まっている。左側の手前にサウナ・水風呂・ジャグジーの泡風呂が並ぶ。なんとなく入ってみる気にならずパス。

右奥にメインとなる内湯浴槽が2つ。ひとつは7~8名サイズの中温風呂。どこかに41℃って書いてあったような気がする。浸かった体感もそれくらいの温度だった。お湯は無色透明で湯の花や泡付きは見られない。感触や匂いにも特に変わったところはない。軽い塩素臭がしたのは、混雑してたから用心で殺菌を強くしたのかな。

その隣りには10名以上が入れそうな低温浴槽。どこかに39℃って書いてあったような。浸かってみると確かにぬるく、好みとしてはこっちだな。中温風呂と行ったり来たりして温度変化を楽しむのも一興だ。

当然のごとく大人気の絶景露天風呂

そして当湯で注目を集めるのが露天風呂。屋根+パネル壁により半露天のような雰囲気で、浴槽は4名サイズ。お湯は中温風呂と似た温度。

何より注目すべきは目に映る景色だろう。休憩室の窓から見たような利尻富士がドーンと広がっている(窓越しでない分だけ鮮明だ)。雨に煙る中でもそれなりに視認できた。これはこれはたいそうな絶景ですな。雲のない青空と青い海の時に見たかったなと、つい贅沢を望んでしまう。

さすが入りがいのある風呂だけに人気は高い。誰もいない状態なんてまずないし、4名を超える人数が詰めている時間帯もあった。一人が出てくると待ち構えていた一人がすぐさま入れ替わりに突撃する順繰り方式的な場面も。頑張ってチャンスを狙っていこう。

夏とは思えぬ寒さだったので、温泉に入って生き返った気分。礼文島へ来たら体験しておきたいお風呂だ。良好な気象条件で絶景が見られることを祈る。


民宿やざわで一泊する

いろいろと便利な立地

うすゆきの湯に入浴した後は民宿やざわへ戻った。当宿はフェリーが発着する香深港から徒歩すぐという恵まれた立地。
民宿やざわ
案内された部屋は2階の9畳和室。布団はセルフでお願いします。
民宿やざわ 9畳和室
クローゼットの空間を改造してシャワートイレ・洗面所が作ってある。2階には共同のトイレ・洗面所もあるから、水回りなしの部屋が他にあるのかも。金庫なし、冷蔵庫共同。WiFiは…忘れた。エコノミーな民宿なので多くを求めるのはお門違い。我々はうすゆきの湯で満足したからお風呂の有無は全く意識すらしなかった。

ウニをたくさん食べちゃった

夕食は1階の食堂にて。準備ができたら部屋まで知らせに来てくれた。テーブルに並んでいた面々がこちら。シンプルで素っ気ないといえば素っ気ないが、見よ、このウニの量を。
民宿やざわの夕食
サッポロクラシックを飲みつつガンガンいただきました。見た目からして量が足りないかといえばそんなことはなく、焼き魚が大きかったこともあって、締めのご飯まで進むとお腹は一杯になった。なお他に追加の料理が出たかもしれない(失念)。

朝食も同じテーブル席にて。時間は7時と指定され、呼ばれるのを待たずに食堂へ行った。オーソドックスな布陣だね。ご飯を盛るのはセルフでお願いします。
民宿やざわの朝食
ふー、エネルギー充電完了。今日も天気は良くない。冬のような寒さと冷風、横殴りの雨は確定だ。ここで摂取したエネルギーでなんとか乗り切るぞ。


厳しい天候の中での礼文島観光

美しい入り江を望む澄海岬

朝食後しばらくすると前日手配した観光タクシーがやって来た。フェリーの時間や予算を勘案して1時間8000円×3時間コースをお願いした。まずは島の北側を目指す。礼文島の主要な道路は、東岸を南北に貫く県道のみといっても過言ではない。この道路で島南部の香深→北部の久種湖・浜中を経由して澄海(すかい)岬に着いた。

寒い~~~。半袖マンには過酷な天気だ。まじで冬のように寒かったし、雨が横から吹き付けて全身びしょびしょ。傘など全く役に立たん。頑張って丘を登っていくと美しい入り江が現れた。
澄海岬の入り江
当地はもともと海中公園を作る予定地だったが、開発が中止となり、地名を公募で澄海岬に変えて絶景スポットとして出直したとのこと。
澄海岬の先端
手にしたスマホが風で飛ばされそうだ。風で写真が手ブレしまくりかと思えば、それなりに定まってるな。ハイテクノロジー万歳。

最北のスコトン岬

続いてはスコトン岬。タクシーは海沿いの整備された道路でなく丘の上の旧道(ハイカーが歩くような狭い道)を走ってくれた。季節が合えば高山植物が咲き乱れる道だが当時はあまり花がなかった。関東はまだ梅雨明けしてない時期にもかかわらず、礼文島の高山植物的にはもう「季節は秋」なんだって。早っ。

スコトン岬は島の最北端であり、僅差で宗谷岬よりは低緯度になるが、まあ似たようなもんだ。なぜだかズンドコ節を思い出すな。
スコトン岬
正面に見えるのはトド島。そこから先はまったく何も見えません。波は非常に荒く、サスペンスドラマの犯人ですら崖に近寄ることはあるまい。そしてオッと目を引いたのが崖下の民宿。
スコトン岬の民宿
こんなところに建物があるとは…いまにも波にさらわれそうな、ド派手にワイルドな民宿ですな。

展望台から見る桃岩・猫岩

いったん香深へ戻り、新桃岩トンネルを抜けて西岸へ(以前はトンネルがなくて狭い山道を走らなければならなかった由)。桃台猫台という展望台からの景色を楽しむ。楽しむといってもあまりの寒さで長居できなかったけども。ガスっててよく見えなかったし。

ガスが弱まるタイミングを見計らって撮れた桃岩がこちら。うん、桃ですね。
桃岩
そして猫岩がこちら。うん、猫ですね。
猫岩
海のそばに立つ赤屋根の建物、あれが有名な桃岩荘ユースホステルか。その噂は若かりし頃のおじさんの北海道旅行中にも耳にしたよ。生きてる間に目撃することになるとは正直予想してなかったな。
桃岩荘ユースホステル

細かく作り込まれた「北のカナリアパーク」のセット

最後は島の南端に近い「北のカナリアパーク」へ移動。映画「北のカナリアたち」のロケで使われた小学校のセットが残っている。ネットやポスターで紹介されてる画像はこんな構図だろう。
北のカナリアパーク
晴れていれば緑の丘の向こうに青い海と、海の向こうに利尻富士が見える絶景のはずなのに、本当にこの天気はもう~。悔しいので校舎の正面も。
校舎のロケセット
中は映画のセットや資料が展示されている。入るといきなり吉永、じゃなくて川島先生と子どもたちが出迎えてくれた。
校舎内の記念撮影コーナー
教室のセットなんかもかなり細かく作り込まれていた。
教室のロケセット
実のところ映画を見たことないんですけどね。帰宅してから鑑賞しようとしたら自分の契約してる動画配信サービスにはラインナップされてなかった。残念(あきらめ早いのが特徴)。

あと、おじさんは礼文島といえば熱中時代の北野広大先生を思い出すんだけど、そのロケ地やゆかりの地はフィーチャーされてないのかしら。記念碑とかないのかね。どうなんだよぉ、みねっこぉ~。
香深港のPRコーナー
はい、礼文島観光は以上で終了。フェリー乗り場まで送り届けてもらってタクシーとさよならした。生涯一度きりレベルと思われる礼文島で終始雨にたたられたのは痛恨だが、自然が相手じゃしょうがない。明日こそは天気が回復してくれよと祈りながらフェリーに乗って稚内へ向かったのである。