梅雨明け宣言の出ないうちから酷暑が訪れてしまった関東を逃れ、北海道へやって来たおじさんグループ。厚い雲のおかげもあって涼しかった。屋内外すべてがサウナみたいな出発前の状況と比べたら天国だ。
さて、本来の旅先とは異なる地域になるのだが、1日目は支笏湖へ向かい、丸駒温泉旅館に泊まった。ここは過去に一度泊まったことがあって、お湯の質と景観にすぐれた秘湯系の宿だったと記憶している。
今回もやはりぬる湯を含む良泉だった。こいつはすばらしい。露天風呂から眺める支笏湖も見事で、大変に満足のいくものだった。ここは何度来ても感動するだろうね。
※本記事内のお風呂の写真は当館が定める撮影許可タイムに撮ったものです。
丸駒温泉旅館の前に支笏湖見学
観光オフモードになってしまった支笏湖畔
サウナのような家を出て、サウナのような外を歩き、サウナのような駅で電車に乗って、サウナのような羽田で飛行機に乗って、新千歳空港に着いたら、健康で文化的な暮らしができる爽やかな気候だった。むしろひんやりしてたくらい。半袖しか持ってきてないけど、そんな装備で大丈夫か。
レンタカーを借りたら支笏湖へ向けて出発…はい、着きました。支笏湖温泉や遊覧船乗り場のある地区だ。湖畔でまず山線鉄橋というスポットを見学する。昔はここに軽便鉄道が走っていたとのこと。へー。
雲が厚いためスマホでカジュアルに撮影するとどうしても暗く写ってしまう。支笏湖も恵庭岳もディテールがはっきりしなくてきれいに見えないね。残念。
強風で波が高くて遊覧船は運休だった。ひとまずランチにしようということになり、入ったお店は丸駒温泉旅館直営の喫茶メメール。食事の観点でいうと選択肢はそば・うどんかな。自分はかき揚げ天そばを注文。
腹を満たした後に少し晴れ間がのぞいて、いわゆる支笏湖ブルーらしさが見られるようになった。この日はブルーじゃなくてグリーン、見たのは湖じゃなくて湖から流れ出る千歳川ですがね。
三大秘湖のオコタンペ湖
この地区を離れて湖畔沿いを反時計回りに北上していく途中に風不死岳と樽前山のドームが見える場所があった。プリンみたいな形のドームがおもしろいね。
いったん恵庭岳の方に入ってオコタンペ湖を展望した。木の間からちらっと見える程度なのはご愛嬌。北海道三大秘湖のひとつらしい。
再び湖畔へ戻ってポロピナイ園地で写真を撮るが、やっぱり山が黒く写ってしまうので、色鮮やかモードに振り切って撮影したらこうなった。
さあ観光はここまで。そろそろ旅館へ行きましょう。
歴史ある秘湯宿でも中はモダン
グレード感のあるお部屋でいい気分
当館は日本秘湯を守る会の会員宿であり、ロビーには下のような飾り付けがなされている。記念撮影する人もちらほら。
フロント斜め向かいにはお土産コーナー。最前でプッシュされている丸駒まんじゅうを某クーポンにて買わせていただきました(おいしいよ)。奥には「かわいい」で人気爆発したシマエナガのぬいぐるみもあった。
フロントは2階にあたり、我々が案内された部屋は1階の10畳+10畳相当の二間和室。一方はソファが入ったリビング。
もう一方には4名~詰めれば6名まで収容できそうなベッドを置いた寝室になっている。前回来た時よりもグレード感がアップしているな。湖側だし。
風不死岳の見える湖側の景色
シャワートイレ、洗面所あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり。WiFiあり。エアコンはなくて扇風機はある。当時は屋外が涼しくて館内全体は快適な温度。室内は少し熱がこもってるけど扇風機でしのげる程度だった。
和洋室的なつくりで居住性ばっちりで気分がいい。湖側だから眺望も良き。翌朝の晴れてる状況で撮った写真がこちら。爽やかな湖畔の風景が広がっているのだ。
昔は車で行くことができなくて客は対岸から船で渡って来たらしい。左に見える桟橋はその名残かな。また湖の向こうには風不死岳の姿を確認できる。
おすすめポイントがありすぎるお風呂
温泉おじさんの心をつかむサービス
当館は朝の清掃時間の一部(9:10~9:30)が撮影許可タイムとなっており、この時間帯は大浴場で写真を撮ってもよい。※清掃時間とはいえ男性が女湯に立ち入る、あるいはその逆が“あり”なのかは不明。ちなみに自分は男湯にしか行ってない。
そのおかげで本ブログには珍しく写真付きでお風呂の紹介ができるのであった。やったぜ。まず1階大浴場の手前に支笏湖を望むシャレオツな休憩コーナーがある。その先に貸切風呂・男湯・女湯が続く。
男湯の脱衣所には貴重品ロッカーと支笏湖の水を提供する給水器あり。
温度の異なる3つの内湯
掲示されている分析書によると泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉、低張性、中性、高温泉」だ。脱衣所からすぐつながっている方の浴場は、10名分の洗い場と3つの内湯浴槽と1つの露天風呂を備え、内湯の大きな窓の向こうに露天風呂・支笏湖・風不死岳が見える。
上の写真の内湯浴槽は左(手前)から低温・中温・高温となっている。いずれもやや緑がかった茶色を呈しており、浴槽の底が見える程度の半濁り。
3名規模の低温槽は自分好みの温度でゆっくり入りやすい。6名規模の中温層もまあまあいける。規模の高温槽はさすがに熱くて短時間しか居られなかった。自分だと低温槽中心になるな。源泉かけ流しのお湯は良好な浴感が得られて満足感高い。
露天風呂で目にするのは、まさに絶景
露天エリアに出ると、まず飲泉所がある。飲泉もできちゃうなんてすごいですな。手のひらに受けても大丈夫な温度のお湯で、味はただのお湯と明らかに違うが特に変ではないし嫌な要素もない。奥には小さな水風呂もある。
そしてこんなシャレオツな展望休憩スペースもありんす。なぜだかハイソな気分になって勇んで座ってしまうおじさん。湖上を釣り船やカヌーなんかが通りかかると丸見えになるのでいろいろ隠しましょう。
気分の問題かもしれないけど露天風呂の方が内湯よりも濃ゆい印象がある。匂いにははっきりとした金気臭が感じられ、じわじわと攻めてくる感が強い。長時間粘るタイプのお湯ではない。
露天風呂に浸かりながら望む景色を再現したくてアングルを頑張ってみたものの、完全再現には至らず。実際の目線は下の写真よりも低く、風不死岳が木枠の中にすっぽり収まるように見えた。
まあとにかく絶景温泉には違いない。
もうひとつの雄・足元湧出露天風呂
脱衣所から左の通路を奥へ奥へと進むと、もうひとつの露天風呂がある。こちらは同じ泉質名の「低張性、中性、温泉」だった。もちろん源泉かけ流し。ていうか貴重な足元湧出泉ですよ。
お湯は濁りのない無色透明だった。緑に輝く印象を受けるのは上の木の葉が映り込んでいるからと思われる。湖と一体化したような風呂で、湖の水位に合わせて深さが変わるそうだ。前回来た時はものすごく浅かった。今回は普通な感じの深さでよかった。
底には細かい砂利が敷き詰められ、おそらくその一部の隙間から源泉が湧き上がっているのではないかと思ったが、それを示す兆候(あぶく)は確認できなかった。
ぬる湯としてのクオリティも最高
ぬる湯といえるほんのりとした温かさがたまらない。泡付きや湯の花は見られず。匂いには先ほどの濁り湯で感じた金気臭がなくて、なんと表現していいかわからぬが別種のいかにもな温泉臭がする。リラックスしてずーっと長く浸かるのに向いている。トータルではこの湯船にいる時間が最も長かったな。
10名、いや15名まで入れそうな大きさの割に人がどんどんやって来ることもなくて、静かで落ち着いた雰囲気が終始保たれていた。いい風呂ですわ。浸かっていると岩の壁に遮られて眺望はないけど、風呂を出れば相変わらずの絶景が待っている。
いやあすばらしい。
北海道グルメを堪能したお食事
チップ・ウニ・毛ガニ…夕食の豪華メンバー
丸駒温泉旅館の夕食は2階の食事処で。個室ぽくなってた気はする(記憶あやふや自信なし)。北海道グルメへの期待に胸躍らせて席につくと待っていた面々がこちら。
け、毛ガニがあるぞ! 本日の酢の物として出てきたのが毛ガニ…やってくれますな。ホヤの塩辛があるし、お造りにはチップ(ヒメマス)やウニが入っているし、お肉サイドはすき焼きの登場で隙がない。こりゃすげえや。
チップは支笏湖で釣れる名物でもあり、焼き魚がチップだった。言うことなし。
北海道に来たら積極的に飲みたくなるビール・サッポロクラシックとともにこれらをいただく至福の時間が過ぎていった。いつものごとく最後のご飯は少なめ、そして夕張メロンで終了。あーうまかっちゃん。なお料理には支笏湖の水を使っているらしいね。徹底してるなあ。
ついつい食べすぎてしまう朝食バイキング
朝食はフロント奥のレストランでバイキング。たまたま他の客とかち合う時間に行ってしまったようで、若干混み合う雰囲気はあったものの、空席待ち行列とか空きテーブル探し難民に陥るようなことはなく、しばらくしたら人口密度が減り始めて余裕ができた。
バイキングのメニューは豊富で選択肢は十分。朝そんなに食べない自分が選んできたのがこれ。おじさん頑張った。
もちろん提供されている品々の一部しか取ってきてない。他のメンバーはもっと山盛りに、いろいろと集めていた…まあ昼飯抜きというコンセンサスがあるからね。
窓越しに湖・山の黄金コンビを眺めつつ爽やかな朝の食事を終了。コーヒーもいただいて充電完了。
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飲泉もできる良質な源泉、絶景風呂、足元湧出泉、秘湯感、ぬる湯、北海道グルメを揃えたお食事…あらゆる要素で楽しませてくれる頼もしい丸駒温泉旅館であった。滞在中さまざまなシーンで目に飛び込んでくる支笏湖と風不死岳が印象に残る。
北海道という土地柄、自分にはなかなか気軽に訪れることはできないが、可能なら定宿にしたいくらいだ。