ぬる湯モール泉の実力者現る! - 十勝川温泉 丸美ヶ丘温泉ホテル

十勝川温泉 丸美ヶ丘温泉ホテル
梅雨の合間の帯広遠征もいよいよ最終日の午後になった。夜の飛行機で帰るので最後にもう1湯トライする余裕がある。空港から離れすぎるリスクを取りたくないと考えると、やはり帯広近辺のモール泉狙いが無難だろう。帯広市内の温泉は体験ずみだったから、隣の音更町の十勝川温泉へ行ってみることにした。

ネットでいろいろ調べて丸美ヶ丘温泉ホテルに狙いを定めた。ホテルや旅館が集まる十勝川温泉の中心部とは少し違う場所にある。

帯広での体験から「熱めのお湯だろうな」と予想していたら、アワアワぬる湯の浴槽があった。加えて源泉かけ流しのクオリティは文句なし。最後の最後でとんでもない大物に出くわしてしまった。

十勝川温泉「丸美ヶ丘温泉ホテル」への道

丸美ヶ丘温泉ホテルの場所は帯広市街とそう変わるものではない。路線バスで直行できるわけではなさそうだけど、車があればJR帯広駅から約10分、帯広空港から約40分。

自分は然別峡かんの温泉に立ち寄り入浴した後、1時間以上運転して音更町まで来た。鹿追町~士幌町を結ぶ国道274号はひたすらまっすぐ。カーナビに「17km先を右折」とか出てくるのだが、そこまでずっと直線。地平線の先まで、ただただまっすぐで、だんだん精神面が異様なステージに突入する。あやうく悟りを開きそうになった。

渋滞オートリルートにより新たに指示された場所で右折した先は…やっぱりまっすぐじゃねーか!…農場地帯が終わり市街地が近づいてカーブが現れ始めたら妙にほっとするというおかしな精神状態に。

あらためて気を引き締めて運転を続け、十勝ヶ丘展望台という観光スポットに来た。十勝川と雄大な十勝平野と日高山脈が見えるはずだが、ちょっと霞んじゃってますね。
十勝ヶ丘展望台
レンタカーを返す時間とお風呂に入る時間から逆算すると、霞が晴れるのを待つ余裕はない。もう行かなければ。ここから当館までは車で10分くらい。メインの県道を外れてからホテルまでのアプローチ道路が意外と狭くて林の中であり、「ここにホテルがあるのか?」と訝る気持ちになるも、まもなく現地に到着した。ホテルの名前が示すように丘の上にある。


おそるべき実力の温泉があった

トロンサウナというのもあります

外観から判断するに大規模モダンというよりは小規模でレトロ感のあるホテル。駐車場の奥(家族風呂棟のある方)には何やら社が。
奥の庭の方にある社
まあいいや、とにかく入館。受付で480円を支払い、右の方へ進むと大浴場。手前が男湯で奥が女湯。入れ替えはないんじゃないかな。

脱衣所には100円リターン式のロッカーあり。廊下だか脱衣所だかに泉質の説明があって、「大浴槽:アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」と「小浴槽:単純温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」だった。確か源泉かけ流しのはず。

ひとつ忘れてた。トロンサウナというサウナを利用する方はサウナ用のシートを持参すること。いくつか指定された用具なしでトロンサウナに入ることは禁止されている。おじさんはサウナが関心対象外だからスルーです。

熱めの大浴槽は王道モール泉の源泉かけ流し

浴室にはそこそこお客さんがいたけど混み合うほどではない。12名分の洗い場にも余裕があった。昔ながらの小さな共同浴場ではないゆえ、シャンプー・石鹸の類は普通にあるんだろうなと思ったら、置いてなかった。洗身洗髪するなら持参するか買うか。

露天風呂はない模様で内湯の大浴槽と小浴槽の2つからなる。大浴槽は3割ほどの区画が浅いジャグジー風呂になっていて、あぶくボコボコ状態だった。残りは普通の深さで普通の浴槽。お湯の見た目はまるで濃い紅茶であって浴槽の底はまったく見えない。

浸かってみたら熱めの適温だった。強く主張してくる匂いはなく、若干のモール臭がする程度だ。ぬめり・とろみのある感触がなんかお肌に効きそう。温泉で濡れた床の上を歩くとツルッと滑るだろうな。総合的にモール泉らしいモール泉といえる。

熱いためじっくり入り続けることはできない。ふぅー、カッカしてきたぜ。じゃあ次は小浴槽へ行ってみるか…これが予想をはるかに超える大物であった。

最後の最後に現れた大物…アワアワぬる湯

小浴槽は4名サイズで、中で長く粘る者や何度も出入りする者が目立ち、人口密度は高め。この時点で実力は推して知るべし。お湯は薄めの紅茶で浴槽の底がしっかり見える。浸かってみたら、ぬるい! よっしゃああああ! ぬる湯派のおじさん大喜び。“ぬるめ”じゃなくて立派な“ぬる湯”である。湯温は体温前後でしょう。無限に入っていられるぜ。

それだけじゃない。まるで炭酸のように泡がビシーッと付着する。源泉かけ流し+ぬる湯+泡、これ最強。文句なしの優勝。幸せこの上なし。多くの客を引き寄せるわけだな。

お湯の中でただボーッとしていてもいいし、大浴槽と交互に入って温度差からくる不思議な快感を味わってもいいし、窓の外に視線を向ければパノラマ風景は見えないが林の緑が目に優しい。いい風呂じゃないか。これほどの大物が控えていたなんて、帰りに寄り道して大正解。

惜しむらくは心を無にしてタガの外れた長湯をすることが叶わなかった。レンタカー返却のことが頭にあって、どうしても時計をチラチラ確認してしまう。小市民なもんで思い切った行動に出られなかったなあ。予定していた時間をちょっとだけオーバーして丸美が丘温泉ホテルを後にした。

最後のちょっとした寄り道のつもりがとんでもないクオリティにびびったというお話。


おまけ:縁起の良い愛国&幸福めぐり

駅舎がかわいい愛国駅跡

帯広空港へ走りつつ、最後の最後にもう2箇所だけ寄り道した。知ってる人も多いだろう、旧国鉄広尾線の愛国駅跡と幸福駅跡だ。昔は愛国~幸福間の切符を記念に買うのが流行っていたような気がする。

まずは帯広市街に近い側の愛国駅。かわいいポップな感じの駅舎が復元されてるし、例の切符を模した記念碑があった。
愛国駅跡
ホームにはSLが停まっている。
愛国駅ホームのSL
ふむふむ。時間の都合で深掘りはできない、もう行きますね。

恋人の聖地的な幸福駅跡

続いて幸福駅。こっちはレトロ感が残っており、切符型の札がまるで千社札のように大量に貼り付けてあった。
幸福駅跡
近くにお土産・飲食店があったり恋人の聖地演出があったり。ホームには旅客車が停まっていた。
幸福駅ホームの旅客車
ふむふむ。時間の都合で深掘りはできない、もう行きますね。レンタカーを返して空港へ。出発までまだだいぶ時間があるからレストランで一人打ち上げをした。帯広名物豚丼とビールで乾杯。
帯広空港の豚丼
家に帰ったらおそろしいほどの湿気で気が狂いそうだった。関東ってこんなにジメジメしてたんだっけ?…たった2泊3日離れていただけでこの感想。北海道のカラッとした気候が早くも恋しい。