源泉かけ流しのニコイチ風呂でまったりと - 糠平温泉ホテル

糠平温泉ホテル
北海道上士幌町の糠平湖エリアにある温泉地が「ぬかびら源泉郷」だ。住所表記も「北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷…」なんだから徹底ぶりが半端ない。帯広IN/OUTの旅行計画を立てる際に、タウシュベツ川橋梁ツアーに興味を持って参加することにしたので、ツアー後の宿泊先にちょうどいいと考えた。

お世話になったのは糠平温泉ホテル。大規模なリゾートホテルではなく、昭和チックな雰囲気を残す小規模アットホーム系だが、温泉や静養目的ならゆっくりできていいのではないだろうか。

お風呂は源泉かけ流し、男湯はぬるめ・熱めの2種類が用意されててありがたい。

糠平温泉ホテルへのアクセス

王道の国道ルートであれば行きやすい

ぬかびら源泉郷まで帯広からの路線バスあり。2時間近くかかるみたいね。国道241号→273号を走るんだと思うが、マイカーやレンタカーで行く場合もこれが王道ルートになる。自分は帰りに逆コースを走ったところ、よく整備された走りやすい道路で運転しやすかった。北海道あるあるの「ひたすらまっすぐ」区間多し。

行きは然別湖の方から峠を越えていった。然別湖を離れる最初の1kmほどは1車線幅で、対向車来るなと祈るしかない狭さだから注意(たまにある待避所が救い)。その先に出現した山田温泉で「記念に建物だけでも撮影しておくか」とカメラを向けたら…
然別湖 山田温泉
キタキツネが歩いてました。るーるるるる。
キタキツネ

肝の小さい人間にはつらい幌鹿峠

その後の幌鹿峠に至る道路は走る車もほとんどいない、深い森の中。並走する然別川は「水場=ヒグマの巡回コース」の連想が先に立って景色を楽しむどころじゃない。早く町に・人間界に着いてくれ…これほど人里恋しくなったことがあっただろうか。

まあそのおかげで「くねくね山道の運転つらたん」へ意識が向くことなく、ぬかびら源泉郷まで走りきったのだから、良しとしよう。特に旅程の都合やこだわりがないなら前述の王道ルートをおすすめする。

現地に着いてまず最初にタウシュベツ川橋梁見学ツアーに参加し、解散後に当宿へ移動した。場所は国道沿いで迷う心配はない。名前が似ている糠平館観光ホテルの向かい。


ちょっと懐かしい雰囲気のあるホテル

館内ロビーの前には立派なエゾシカの剥製があった。然別・糠平の道路を走っているとエゾシカがひょっこり現れたりする。しかも遭遇する確率はわりと高くて、自分でさえ数回見かけた。
ロビーとエゾシカの剥製
玄関とフロントの中間点にビール・ジュースなどの自販機とコミック書棚が設置されている。書棚は少なくとももう1台あったな。大浴場への通路も見えますね。
自販機&コミックコーナー
今回のお部屋は3階の9畳相当+広縁和室。布団は夕食中に敷いてくれるクラシック方式。タオルハンガーが大きめで使いやすい。
糠平温泉ホテルの客室
洗面台あり。トイレは共同。3階男子トイレは小×2・シャワートイレの個室×1だった。金庫なし、水入りボトル付きの冷蔵庫あり。この水がやけにおいしく感じたな。こういう水があってもたいがい飲まないのだが、ここでは湯あがりを中心にゴクゴク飲みまくった。あとWiFiあり。

窓の外は緑多き源泉郷。晴れた朝なんかは爽やかな気分になる風景だ。
窓の外の景色

しっかりした源泉をじっくり楽しめるお風呂

男湯は「ふたつでひとつ」

糠平温泉ホテルの大浴場は1階にある。男湯と女湯は入れ替えなし。両者は隣り合っているわけじゃなさそうだね。男湯は階段を若干下りた場所にあった。脱衣所で「ん?」と思ったのが、浴室への扉が2箇所あるのだ。しかし浴室が2つあるわけではなく中でつながっている。もともと2つの浴室を1つに統合したのかも。

掲示されている分析書を見たら「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉、低張性、中性、高温泉」と書いてあった。温泉地全体で源泉かけ流し宣言をしているし、宿自身も源泉かけ流しを謳っている。分析書の湧出地点がホテル住所と番地1つ違いだし、源泉名=ホテル名だったから、自家源泉でしょうな。

浴室は見事に左右対称っぽいつくりだった。やっぱり元は2つの浴室だったのを、壁を取り払って1室にしたニコイチ式じゃないのかな。洗い場は右手に3名分+左手にも3名分。

ほのかに硫黄が香るぬるめの湯に満足

浴槽は六角形を真ん中で仕切って2つの浴槽に分けた感。ようするに内湯浴槽が2つあるってこと。各々が4名サイズである。お湯の外見はどちらも一緒で、手を突っ込んでみたら片方が熱くて他方がぬるかった。ぬるいのを好むおじさんは迷わずぬるい方へ入湯。

完全なる無色透明のお湯の中でたまに白いふわふわの湯の花が漂うのを見かける。泡付きなし。匂いには甘い感じの微硫黄香があった。さすがだぜ。ぬる湯に分類されるほどではないものの40℃前後の温度だと思われ、ゆっくり浸かってリラックスできる。

湯口は厳密に左右対称じゃなかった。四角柱を横倒しにしたような湯口は熱い側の幅が狭くてぬるい側の幅が広い。見てると熱い側の方は湯船に向かってお湯が勢いよく流れ込んでおり、ぬるい側はゆったりと流れ込んでいるようだ。川幅が広くなると流れが緩やかになるのと似ている。幅のせいだけじゃなく元の投入量から違うんだろうけど。

一人旅向きの雰囲気が良い

試しに熱い側に浸かってみたら結構なアチチだった。こりゃいかん(個人の感想)。1分ともたなかった。とはいえ両者を行き来して冷温交互浴風に楽しむのはいいと思う。

当時は夕方・夜・朝の3回入りにいってすべて独占状態だった。その中でも朝の雰囲気が良かったな。窓から差してくる日の光、窓の向こうに見える木、その木の幹には穴が開いていて鳥の巣があるらしく、ときどき何かが顔を出す(確認しようと窓に近づくと引っ込んでしまうから正体わからず)。

特別にぬるぬるする温泉ではないのだが、湯あがり後は肌が妙にすべすべになった。さすがだぜ。そして妙に喉が渇く。部屋へ戻ってゴクゴク飲む水がうまい。


糠平湖の美しい風景像に囲まれて食事する

山菜多めの夕食メニュー

食事は2階のレストラン風の谷、じゃなくて「ナウシカ」で。廊下には主に冬の糠平湖の写真が飾ってあった。氷の芸術的な。
食堂への廊下に飾られた写真
部屋ごとに決まったテーブル席に通され、夕食時に並んでいたスターティングメンバー+しばらく後に運ばれた天ぷらがこちら。山菜を少し食べ始めてしまった。
糠平温泉ホテルの夕食
典型的な旅館飯のように見えて山菜が結構含まれている。特にフキはこの旅で道路脇に鬼のように生えているのを見ているから旅のイメージと重なりやすい。天ぷらの中には糠平湖名物ワカサギあり。蓋をしてあるのは煮物です。

魚はカレイを揚げたもの? あとは十勝らしく豚肉と野菜をジュージュー焼いてビールと一緒にどうぞ。思ったより土地のものが使われたメニューで良かった。ボリュームは十分で、例によってお腹いっぱいになって締めのご飯は軽く一膳。

朝食はちょうどいい具合の内容

朝はオーソドックスな和定食。ただし焼魚・納豆のみならずイカの塩辛や山菜に味付けしたやつなど、ご飯のお供が多彩である。
糠平温泉ホテルの朝食
ご飯は普通に一膳お願いしたら、北海道スケールで結構多めだった。大丈夫かなあ、と思いつつ多彩なおかずのおかげで完食できた。もう昼ご飯は要らんな。で、最後においしいコーヒーをいただける。

ところでテーブル席の壁にも糠平湖の写真が飾ってあり、いずれも幻想的で映える冬の風景ばかりだ。
食堂に飾られた写真
うーん、ここは冬こそベストなのかな…しかし冬に自力で来られる気がしない…ツアー会社のプランに参加するくらいしか思いつかないな。

 * * *

源泉かけ流し宣言をしているだけあって温泉のクオリティはなかなかのものだった。ぬるいのと熱いのが提供されているのはありがたい。ただし女湯の方が同じようになっているかは確証ないので注意されたい。

贅沢感やテンション上がることを求めるよりも、周囲の自然や落ち着いた風情をしみじみ味わうタイプの宿。滞在時は自分以外にも一人客の姿があったし、一人旅向きでもあるだろう。


おまけ:ご近所をちょっとだけ観光

チェックアウト後、ぬかびら源泉郷内の温泉公園へ。
ぬかびら源泉郷 温泉公園
中には足湯コーナーがあった。聞いた話だと、公園には鹿がよくやって来るという。足湯コーナーは夜間閉じておかないと鹿のたまり場になっちゃうとか何とか言ってた気がする。
足湯コーナー
近くの「ひがし大雪自然館」なる資料館では、この地域の自然環境や生き物に関する各種展示を無料で公開している。
ひがし大雪自然館
パスしてしまったけど「上士幌町鉄道資料館」は面白そう。また車で5分くらい走っていくと糠平ダムがある。糠平湖展望台の看板のところで国道を外れて旧道を少し進むとダムの天端前まで行ける。
糠平ダム
道路は天端を渡ってずっと先まで続いている様子だが、当時は工事中で天端の手前で行き止まりだった。ダム湖である糠平湖の方角はこのようになっている。
糠平湖
見学を終えて国道へ戻るべく旧道を走っていたらいきなりエゾシカが飛び出してきた。びびったー。