梅雨の最中に帯広へ行った。北海道なら梅雨の影響を気にしなくて良さそうだったのと、某航空会社による春の大特価キャンペーン発表からのシステム障害→キャンペーン中止に振り回された結果、半ばヤケクソ気味に決めた(競合陣営の航空券を買うたった)。ついカッとなってやった、後悔はしていない。
しかし帯広といえばモール泉天国と聞いている。ヤケクソドリブンとはいえ何も考えていないわけではない。宿の大浴場以外にもモール泉めぐりをしてみようと思って、口コミを調べて「これは」と思ったのが、温泉銭湯「アサヒ湯」だった。
モール泉らしい濃い茶色のお湯は熱く、とにかく泡の付き方がすごい。確かにこれは評判になるな。
駅から徒歩圏、市街地にあるアサヒ湯
梅雨の真っ最中でも北海道だから大丈夫、と天気の心配をしないでいたら狙い通り、あるいは単に運が良かったのか、旅行中はそこそこいい天気だった。むしろ気にしていたのは服装で、南関東と同じく半袖でいいのか・涼しいかもしれないから長袖にすべきか、迷ってしまった。
基本は半袖のままで念のため長袖を用意していったところ、結果的に半袖オンリーで十分だった。日が差すとやっぱり暑い。空気がカラッと乾燥しているのでずいぶん過ごしやすいが。
さて、乗った便の関係で帯広空港に着いたら午後のいい時間になっていた。今からレンタカーを借りると初日分が活用しきれなくてもったいない。空港連絡バスで帯広市街へ向かうことにし、まずは宿泊先の「ふく井ホテル」にチェックインした。
部屋に荷物を置いてからタオルと小銭だけを持って外出。駅近のふく井ホテルをJR帯広駅と同一視するなら、駅からアサヒ湯までは徒歩10分ってところだ。道に迷うような場所ではない、町の一角にある。駅から南東の方角へ、碁盤目状にのびる道路のどこを通っても所要時間に大差なし。
噂のアサヒ湯を体験する!
コンパクトなつくりの銭湯
暖簾をくぐって入ると右手に靴箱あり。鍵付きも用意されてたような。左側に設置されてる自販機で入浴券を買う。480円。右側に女湯、左側に男湯。もっと左に休憩コーナー。
脱衣所には普通の棚みたいなやつのほかに100円リターン式のロッカーが6基あって旅行者にはありがたい。壁の分析書をチェックしたら「アルカリ性単純温泉、アルカリ性、低張性、高温泉」だった。湯使いについての記述はなかったけど、加水・加温・循環なしの源泉かけ流しであろうと思われる。
浴室の左手に6名分の洗い場。シャンプーや石鹸は置いていないから持参したり買ったりで対応。右手にはまず4名規模のメイン浴槽があり、その奥に2名規模の水風呂がある。一番奥にはサウナ室。
源泉ザバザバの圧倒感
ここまでは小さめの銭湯って感じの描写だが、アサヒ湯がすごいのはここからだ。メイン浴槽のお湯が真っ黒です。真っ黒は言い過ぎにしても、ウーロン茶もしくは濃いめの紅茶ほどのダークな茶色を呈しており、浴槽の底はまったく見えない。
そして浴槽の縁からあふれたお湯が床面をザーザーと流れていく、その量がとんでもない。床の一部が川のようになっちゃってるよ。その様子に圧倒されてしばし立ち尽くしていると、ふわっとタマゴ臭が漂ってきたし、すげーな、おい。
満を持して浸かってみたら…熱い!…客観的には適温と言うべきだとしても、長湯するタイプのお湯ではない。効き目の強さとお客さんの多さを考えたら長湯は不要ですがね。
匂いを嗅いでみたら、自分が思っていたモール臭はほぼ感じられなかった(自分がモール臭を勘違いしている可能性もある。南関東の黒湯によくある木材っぽい匂いを想像していたので)。微タマゴ臭もごくまれにふわっと軽く感じる程度だから、実際は無臭に近いかな。
とんでもない量のアワアワと、おそろしいまでの効き目
見た目に負けない強烈な特徴が泡付きだ。あっという間に体中が気泡まみれになる。腕にも腹にも足にもびっしりと泡が付着するのである。炭酸の抜けないホットコーラというものがあるならば、きっとこのような状態なんだろうと思わせる。
ちょっと体を動かすだけで、振り払われた泡がシュワワーっとお湯の表面まで上ってきて、表面でパチパチと弾ける様子を目にすることができてしまう。やばいっす。
これが噂のアサヒ湯か。お客さんがどんどんやって来る中でだらだらと長居は無用だし、ホテルの温泉大浴場も体験しなきゃいけないし、と思ってやや早めの退出となったが、効き目はばっちりすぎるほどだった。なにしろアサヒ湯のパワーに当てられてすっかり仕上がってしまい、結局は夕食前にホテルの大浴場へ行く気になれなかったのだ。
温泉めぐりの旅なのに入浴を控えてしまう、そんな展開を呼ぶなんてなあ。アサヒ湯おそるべし。