世間的には卒業式とか桜の開花とか、それくらいの頃に温泉おじさんは特急踊り子号に乗って伊豆下田へ向かっていた。河津桜はとっくに終わっていたし、踊り子号の乗車体験や伊豆急行の乗り鉄が目的ではもちろんない。観光メインではあるけれど温泉にもたっぷり時間を割く予定になってるグループ旅行だ。楽しみですな。
宿泊は下田市街のホテルだったが、チェックイン前に昭吉の湯へ立ち寄る計画になっていた。下田市内陸部の山の中にある予約貸し切り制の日帰り温泉だ。※素泊まり宿泊ありという情報も見つかるけど、今はどうなのか確信持てないため、とりあえず日帰り温泉施設に分類します。
トロトロ系の本格温泉で露天風呂からの景色も良好。
昭吉の湯へのアクセス
観音温泉へ行く道の途中にある
昭吉の湯へ公共交通機関だけで行くことは難しい。伊豆急下田駅または蓮台寺駅から西伊豆堂ヶ島方面のバスに乗って横川停留所で下車、そこから徒歩40分を覚悟すれば不可能ではないものの、一般には車を運転することが前提になると思う。
我々も下田で全員合流してからレンタカーを借りた。時刻はすでに正午過ぎ。雨だから屋外を観光する予定なし。昭吉の湯に全力投球の態勢だ。
県道414号を北上、稲梓のあたりで松崎方面への県道15号へ、そして横川バス停付近で名もなき細い道路に入る。観音温泉へと通じる道で見覚えがあるぞ。下の写真のような場所まで来たら左折すると、車2台ほどを止めておける空間がある。
おそるべき急坂
一般の方は運転ここまでにしておこう。車を止めたら当館に電話して迎えに来てもらいましょう。よほど腕に自信がない限り、その先へ進入するべきでない。おそろしいほどの急坂が待っているからだ。途中で怖くなっても戻れないし、もしも対向車がやって来たときにどう対処していいかわからずパニックになりそう。
我々は当然のごとく迎えに来てもらった。待ってる間、とあるホースから水が吹き出しているのが目についた。ただの水道水を流しっぱなしにするはずがない。源泉だったりして。
触ってみたら冷たかった。温泉ではない湧き水か、あるいは冷めた排湯か。まさか下水じゃないよなあ。まあいいや。
昭吉の湯の広い露天風呂を貸し切りで体験する
ノーアポはだめよ
昭吉の湯は予約制。なのでいきなり行ってもだめです。当時は着いたら先客がいたし、帰る際には次の客が着くところだったように、切れ目なく予約が入っている印象だった。休日や行楽シーズンに訪れるなら早めに予約を入れておくべき。
いくつかのプランが用意されているのかどうかなど細かい点は知らない(旅慣れしたメンバーに手配を完全におまかせしていた)。たしか1時間の露天風呂貸し切りで1000ナンボ円だったかと。
施設の外観も中身も素朴系で、やや雑然とした雰囲気。休憩室・談話室はこのような感じ。
脱衣所にはレトロ調の鍵付きロッカーあり。まあ貸し切りだから鍵とか気にすることはないでしょう。分析書によれば「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とのこと。加水・循環云々は不明ながら、入浴した感想としては、源泉かけ流しといえるクオリティではないかと思った。
ややトロみのあるお湯
脱衣所を出るともう露天風呂。カランは2台あるも、シャンプーなどは備え付けてなく、洗い場としてのスペースは狭い(人の通り道になってるので)。銭湯的な使い方にこだわってはいけない。
一方で浴槽は広々してる。2つの区画からなり、メインの手前側が8名、頑張れば10名いけそうなサイズ。お湯は最初「熱いな」と感じたけど、肩まで浸かったらすぐ慣れて、むしろややぬるめの心地よい温度に変化した。雨で肌寒さが戻ってきた日にはちょうどいい。
無色透明のトロトロしたお湯は近くの観音温泉に似ているな。匂いを嗅いでみると、なんと表現していいかわからない、なじみのある温泉臭を感知した。うん、いいお湯じゃないか。
露天風呂から見える景色が味わい深い
急坂を登ってきただけあって、そこそこの標高から周囲を見渡すような景色を楽しめる。パノラマ絶景がドーン! テンションUP! というよりは、しみじみと味わうタイプの景色。当時は雨に煙っててちょっと残念。目の前に植わってる桜の木はもう少し後だったら花が咲いて華やかさを増していただろう。桜が満開の時期に来た人は幸運だ。
奥側にある3~4名サイズの細長い区画にも入ってみた。熱い。ピリピリ刺激がくるほど熱い。たまに短時間だけ入ってからまたメインへ戻ると浴感に変化がつくからアクセントとしてのサブ利用にちょうどいい。
貸し切りということもあって、マイペースでのんびり入浴してリラックスできた。なんだかんだできっちり1時間近く滞在したと思う。お湯のクオリティは申し分なく、大変に満足した。
風呂あがりに温泉水を
帰り際、出入口付近のウォーターサーバーが目についた。風呂あがりに一杯いただくか。
女将さんによれば温泉水とのことだ。物腰柔らかな女将さんみたいにとても柔らかくてまろやかな軟水ですな。この温泉水は持ち帰り用に販売もしており、この水が目当てで来るお客さんもいるそうだ。
行きと同じく帰りも女将さんの運転する車で駐車スペースまで送り届けてもらった。この坂はやっぱり助けがないと厳しいっすわ。そして雨は一段と強くなっていたが、温泉のおかげか、心は逆に晴れやかになっていた。ようし調子出てきたぞ。