年が明けて2023年、最初の温泉ツアーは近場にしておこうと決めた。東京近郊からの視点で雪・凍結を避けようとすると候補になる地域は限られ、しかしある程度は移動距離もないと旅行気分が盛り上がらない。
やっぱり冬は海沿いが無難だろうなあ。でも静岡・千葉は年末に行ってるしなあ、ちょっと目先を変えたいなあ。じゃあ湯河原とか茨城の太平洋側とか? うーーん…。と悩んで結局甲府にした。天気予報をチェックしたらカラリと晴れそうだったので。
となると、旅館入りする前に立ち寄るべき温泉施設はもう決まったようなもの。前々から機会を狙っていたフカサワ温泉をおいてほかにあるまい。
(2024.6追記)老朽化のため2024年5月いっぱいで閉館した模様。うわー残念。一度でも行けて良かったと思うべきか。
フカサワ温泉へのアクセス
フカサワ温泉は過去に二度、訪問しようとしてあきらめた経緯がある。一度目は年末の時期で、乗ろうと思ってた路線バスが年末ダイヤで減便されてしまい、次のバスが数時間後だったからあきらめてトータス温泉へ行った。二度目はコロちゃん対策のため地元客限定だったから国母温泉に切り替えた。今回で三度目の正直なるか?!
また、この遠征には「温泉に入りたい」といういつもの欲求に加えてもうひとつ、別の目的があった。新しく手に入れた飛び道具=マイカーの慣らし運転である。行き先が甲府ならほとんど中央道+市街地の道路を運転するだけだから、デビュー戦としては難易度ほどほどでちょうどいい。
実際に大きな困難もなく甲府昭和ICで高速を下りた。あとはカーナビに従って下道を5分も走れば着いてしまう。本来曲がるべき交差点を間違って通り過ぎてしまったりしたものの、まあ大差ないくらいの時間で現地に着いた。カラッと晴れた冬の日、駐車場から南アルプスの雪山がくっきり見える。山の名前はわかりません。
フカサワ温泉についていえば車があってだいぶ助かった。もしなかったら、JRで甲府駅まで行って、そこからバス。昭和通りを走る路線にうまくタイミングが合えば五本杉という停留所から徒歩7~8分。しかし叶わなければJR身延線・国母駅から20分以上歩くとか、イオンモール甲府昭和までシャトルバスで行ってから30分歩くとかになってしまう。甲府駅から歩けば1時間以上。キビシー。
これが噂のフカサワ温泉だ
湯使い一流を予感させる
では入館。下足箱は100円リターン式のロッカー。玄関正面には熊さんの剥製あり。撮影してみたが、なぜかピンボケがひどい。
受付で入浴料470円を払って男湯へ。このあたりのつくりは非常にコンパクトにまとまっており、最小限の歩数で脱衣所へ到達できる。分析書があったので確認すると「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」だった。
湧出温度は45℃台だったかな。湯船の提供温度はもっと低いだろう。加水・加温・循環・入浴剤いずれもなしの本格温泉だ。
泡付き強めの褐色湯はぬるめと熱め両方あり
浴室に入ってすぐ、公園の水飲み場のような蛇口が設置されている。そして4名分の洗い場が続く。カランの前には石鹸のみが置かれ、シャンプー・リンスは置いてない。カランから出てくるお湯はうっすら色づいていて温泉だと思われる。
内湯浴槽は2つ。メインの方はゆったり入るなら3~4名サイズってとこだが、向かい合わせを許容すれば3名×2の形で6名いける。お湯はべっこう飴のような褐色で、甲府盆地ではよく見られるタイプのやつだ。温度はぬるめで長く楽しめる。匂いは薄め。モール臭や硫黄臭や金気臭を意識することはなかった。
しばらくすると腕に細かい泡が付着し始めた。人工炭酸泉というわけではなく源泉の個性による泡付きだから、実に頼もしい本格温泉ではないか。さすがフカサワパイセン。
もう片方の浴槽は2名サイズ。もっとぬるいのかと思ってチャレンジしたら熱かった。交互に入って温度差からくる快感を味わうにはいいが、熱いのが苦手なぬる湯派にはいささか厳しいかも。ぬる湯派を自認するワタクシも早々に退散しました。
適温の露天風呂も大変結構なり
窓の向こうに露天風呂が見える。窓越しに観察すると2名サイズの湯船に先客が1名。まあいいでしょう、交ぜてもらいましょう、と露天風呂へゴー。
基本はタイル風呂だったように思う。縁に沿って石を配置して岩風呂風にしている。お湯の温度は内湯ふたつの中間くらいの適温だ。ここでも泡付きありの褐色温泉を楽しめる。
脇にはクールダウン用の椅子だかベンチだったかが置かれていた。露天エリアはさほど広いものではなく、塀に囲まれていて眺望はない。おそらく塀の向こうは駐車場ではないか。
あー、しかし温泉はやっぱり気持ちいいな。年末の温泉旅行から早くも1ヶ月経ってるからな。久しぶりに体の芯まで温まる体験ができてる気がするぞ。生き返るわー。ふだんの生活環境がいかに冷え冷えとしていたか、ってことだな(エアコンケチりマンだから)。もう骨の髄まで冷え切ってましたわ。フカサワさんの力で大復活。
内湯メインと露天風呂を行き来しつつ、ぬくぬくしているうちに1時間経過していた。じゃあそろそろあがるとしましょうか。出てからしばらくすると手の平が妙にテカテカになっていた。なにかでコーティングしたみたい。冬の乾燥から守ってくれる感じで結構ですな。
* * *
お湯がいいとの評判を見かけてから、ずっと行く機会をうかがっていたフカサワ温泉。ついに今回体験することができた。甲府周辺にはすばらしい温泉がいくつもあるが、ここもそのひとつに数えられる。冬の時期だったのもちょうどうまい具合にはまったかもしれない。
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