数年前から「人生で一度は行きたいシリーズ」と称して一緒にいろんなところへ行っている面々と、今度は秩父旅行へ来ていた。個人的に秩父が人生初とは断言できず、小さい頃に来たことがあるかもしれない。でも記憶にはない。実質初めて。
なお、人生で一度は~と言っても、初めての場所にしか行っちゃいけないというルールはない。悪天候で途中引き返した観光スポットへ翌年リベンジ訪問したことはあるし、気に入った温泉宿に複数回行ったりもしている。以上余談。
初日は長瀞~秩父神社をまわり、小鹿野町の旅館に泊まった。2日目は秩父西部のもっと山深いところを周遊する。具体的には三峯神社とか滝沢ダムとか、それこそ雁坂トンネルの方とか。三峯神社が予想以上に山奥だった。
ひっそり金蔵落しの渓流
2日目の朝。国民宿舎両神荘をチェックアウトした我ら一行は、あるメンバーの愛車に同乗して三峯神社を目指す。天気は良さそうなので安心だ。前日の各地の様子から紅葉はもう終わっているのが確実で、期待すべきでない。
県道37号をずーっと南下していくと、途中くねくねした山道を下りつつ、秩父鉄道の終点・三峰口駅の対岸で国道140号に合流した。
そこから数kmで金蔵落しの渓流なるスポットに到着。誰でもはっきりわかるような看板が立っているわけではないから、場所を見落としがちで要注意。むしろ大血川溪流観光釣場の看板をあてにした方がいいかも。国道を外れてすぐのところに数台分の駐車場がある。長く続く坂を下る必要はない。
後日調べたら、金蔵落しの渓流の本来の展望所は駐車場から国道を少し歩かなければならなかったようだ。我々は駐車場の目の前から見るだけでおしまい。
うむ、写真じゃなんだかわかりませんな。渓流が写ってないし。川ははるか崖下を流れており、道路は無理やり崖から突き出しているようなつくりで、それなりにスリルはある。数分間佇んだ後に出発。
かなり山深いところだった三峯神社
秘境に通じるかのような道
金蔵落しの渓流から三峯神社まで20kmもあった。三峰口駅をすでに通過していたから、もうそんなに遠くはないだろうとたかをくくっていたら、とんでもねえ。R140が二手に分かれるところで旧道を進み、二瀬ダムの天端を渡る。その先がなかなかの山道であった。
1.5車線幅のくねくね道路がしばらく続く。自分がドライバーだったらかなり泣きが入りそう。こんなのがあと10kmも続くのかよ、と恐ろしくなった。途中から片側1車線が回復するものの楽な道ではない。マイクロじゃない普通サイズの路線バスが走っているのが信じられん。
心配性のおじさんをよそに、熟練ドライバーのさすがスムーズな運転で三峯神社へ到着。駐車場は結構混んでいた。帰りがけには駐車待ちの車列ができていたから早めの時間帯に着いたのは幸いだったな。車を降りて参道を歩き出したらいきなり鹿が登場。
冒頭写真の三ツ鳥居をくぐって中へ。よく知られる通り、狛犬のかわりに狼が見守っている。
絶景スポットになってる奥宮遥拝殿
鳥居から随身門というチェックポイントまでは軽い上り坂を数分。ここからいくつかの道が分岐していた。随身門から先はもう本殿だから、その前に奥宮遥拝殿へ行ってみよう。長くはないけど楽勝とも言えない石段を上ると…おお、すげー。
ここから雲海が見られることもあるそうだ。絶景スポットってやつですな。遥拝すべき肝心の奥宮は妙法ヶ岳の山頂にある。下の写真でピョコッと突き出てるところですね。
あそこまでの山登りはガチすぎるから遥拝する場所が設けられているのは正解だ。なお、遥拝殿の脇から登山道(当時の立場でいうと下山道)がのびていた。表参道とかロープウェイ云々とかの立て札があったように思う。どうやら昔の参拝客は大輪という地区から登山道を2時間以上かけて登って来てたようだな。その後ロープウェイができたが現在は廃止されている。
随身門をくぐり拝殿へ…
お次は当社を創建したと伝わる日本武尊の像。周辺には詩人の歌碑がたくさん立っているし、大山倍達顕彰碑まであった。
ではいよいよ随身門をくぐります。
その先はしばらく巨大並木の中を歩く。そんなに長い時間ではないしアップダウンもない。
ついに拝殿まで来た、と思ったら、すんごい行列ができていた。うわあ、これは待たされそう。メンバーの総意は「並ぶのはやめましょう」…スケジュールの都合もあるし仕方がない。
大河ドラマ勢が食いつく重忠杉
ただし拝殿両脇を固める御神木はしっかり見ておきたかった。重忠杉と呼ばれ、坂東武士の鑑と讃えられる畠山重忠が寄進したとのこと。「鎌倉殿の13人」視聴者として見逃すことはできなかった。ああ畠山殿…。
無念の最期はぜんぶ北条時政のせいです。いや、りくのせいかな。いやいや、平賀朝雅のせいでしょ。いやいやいや、焚き付けたのは、顔はいいのになんかむかつく源仲章だったよな。よし決まり、源仲章のせいだ。公暁の勘違い因果応報斬を食らうがいい。
いかん脱線した。行列に並ばなくても正規の参拝ができないだけで拝殿に近寄ることは可能。列の邪魔にならないように注意して拝殿をアップで撮ってみた。
べつに御朱印めぐりやパワースポット趣味はないんだが、なんだかんだで有名どころの神社には来てしまうな。「名前はよく聞くけど行ったことない」ポジションのまま終わると思われた三峯神社にもこうして来てしまった。
観光客にオープンな姿勢がみえる滝沢ダム
滝沢ダム、上から見るか?下から見るか?
三峯神社を後にして今度はR140の新道へ進み、ループ橋=雷電廿六木橋の先にある滝沢ダムまで来た。高さ130m級で規模は大きい。この形は重力式ですな。
天端から見たダム湖(奥秩父もみじ湖)側の景色がこちら。せき止めている川は荒川本流ではなくて中津川だ。
そして下流側にはループ橋を確認できる。
さらに天端の途中に設けられているエレベーターに乗ってダム下に出ることができた。ダムの上と下をつなげて見学させてくれるところは少ない。記憶にあるのだと八ッ場ダムくらいじゃないか。サービス精神旺盛なダムだな。下りた先には吊り橋あり。
吊り橋の途中から堤体を撮影する。130m級のスケール感が圧倒的だなあ。
エレベータで戻らず階段に挑戦するが…かなりきつい
当ダムのサービス精神はこれだけじゃない。ほとんどのダムで立入禁止になってる堤体の端っこの階段通路を上り下りさせてくれるのだ。ここまで開放的なのは初めてじゃないか。
せっかくだから上ってみるか、あるいは無難にエレベーターで戻るか…自分を含む一部メンバーは果敢に階段へ挑戦した。450段くらいで所要時間20分と書いてあった気がする。それくらいなら大したことないだろうと。
甘かった。息は切れるし足は痛む。思った以上に辛いぞ。ある程度の高さまで来てしまうと今さら引き返すわけにもいかず、頑張って上りきるしかない。だんだんペースが落ちながらもどうにかクリア。とっても疲れたけど、見て回る範囲が広くてスケールが大きい、見学しがいのあるダムだった。
県境の雁坂峠が近い「彩甲斐街道出会いの丘」
秩父観光の最後は彩甲斐街道出会いの丘。もうちょっとで山梨県になるくらいの場所にある。東京大学秩父演習林のワサビ沢展示室が一般公開されている。受付に申し出ると展示室へ通じる扉の鍵を開けてくれるっぽい。
しかしちょうどお昼時で受付は不在。やむを得ず豆焼橋を展望して立ち去った。説明板には雁坂大橋と一緒に写ってる写真があったけど、現地からだと雁坂大橋は見えない。別の場所から撮影したのだろう。
さあ秩父の計画は以上でコンプリート。今回は2泊3日の旅である。2泊目の宿へ向かうため、我々は雁坂トンネルを通って山梨県側へ出たのであった。