モダンな足湯カフェ付き・熱め硫黄泉- 小野川温泉 宝寿の湯

小野川温泉 宝寿の湯
米沢遠征の最後に立ち寄り湯しようと思って調べてみたら評判の良さそうな温泉地があった。それが小野川温泉。大樽川沿いに温泉街が開けている、小野小町が発見したとも言われる美人の湯だそうだ。今回の旅で宿泊した白布温泉のそばを流れていたのと同じ川だよな。やるな大樽川。

米沢駅から現地まで路線バスが通っていて車がなくても行きやすいのもありがたい。よし決めた。ではどの施設にお邪魔するかだが、モダンスタイルにリニューアルした「宝寿の湯」がなんとなく気軽に入れそうな雰囲気に思えたから行ってみた。

硫黄らしさを感じる熱いお湯を源泉かけ流し。内湯のみの浴室だが大樽川とメインの温泉街を展望できるロケーションに利点あり。

小野川温泉「宝寿の湯」へのアクセス

上杉神社へ寄り道する

米沢駅から小野川温泉まで路線バスが出ているから、運行本数にさえ注意を払っておけば鉄道旅でも悩みは少ない。乗車時間30分弱で着いてしまう。

自分は前泊地の白布温泉・中屋別館不動閣をチェックアウトして米沢駅前行きのバスに乗った。時刻表の関係から、米沢駅付近で80分ほど時間を潰した後に小野川温泉行きのバスに乗り換えることになっていた。喫茶店で茶でもしばくか。

いや待て。やっぱり上杉神社を見学しよう。上杉神社前停留所で途中下車して文化ホールや土産店のある市民広場的なエリアへ。まず目についたのが上杉鷹山公の座像。「なせばなる」のお方ですな。
上杉鷹山公の座像
その近くにある社は松岬神社だった。ここを上杉神社だと勘違いして引き返してはいけません。ゴールはまだ先。
松岬神社

宝寿の湯は甲子大黒天本山の近く

お堀を越えて松が岬公園に入ってからが本番。米沢城跡が公園になってるようだね。ここにも各種偉人の像あり。まず上杉謙信公の像。
上杉謙信公の像
続いて大河ドラマに絡めたっぽい上杉景勝公・直江兼続公の主従像。大河の直江兼続といえば子供時代の与六が「わしはこんなとこ来とうはなかった」と泣きを入れた雲洞庵を思い出すな。
上杉景勝公・直江兼続公の主従像
その向かいには上杉鷹山公の立像もあり、さらに奥へ進むと上杉神社。今回の旅行の前に上越市の春日山城址の麓にある春日山神社へ行っていたので、意図して狙ったわけでもない上杉つながりに奇妙な縁を感じつつ、二礼二拍手一礼。
上杉神社
像はなかったけど天下一の傾奇者・前田慶次もフィーチャーされてます。適度に時間が過ぎた頃合いに公園を北西に抜けて県道沿いの郵便局の前まで歩くと松が岬停留所があった。小野川温泉行きのバスはここに止まる(※先ほどの上杉神社前停留所は通らない)。上杉神社前バス停から松が岬バス停まで徒歩10分くらいだ。

バスの終点は小野川温泉街の中心部だった。バスが走って来た道をほんの少し戻って左折すると滝の湯という共同浴場があり、大樽川にかかる橋がある。橋を渡るとすぐに宝寿の湯の看板が出ているのがわかるはず。甲子大黒天本山へのアプローチ道にもなってる坂をちょっと登ると当館が現れた。


ふんわりと硫黄が香る小野小町の湯

湯質を期待させる源泉かけ流し

では入館。宝寿の湯のホームページにもあるようなモダンな風情のカフェが目に飛び込んでくる。すでに何名かのお客さんが利用中だった。モバイルPCを覗き込むワーケーション/ノマドワーカーではなくて地元の方々の集いであったが、前者の人種がいてもおかしくはない雰囲気がある。
宝寿の湯のカフェ
フロントで立ち寄り入浴の旨を告げて600円を支払おうとした刹那に考えを変えた。ビール付き1000円の方にしようっと。車じゃないからこのへんは気楽でいいね。温泉むすめ・小野川小町ちゃんも“ユー飲んじゃいなよ”って言ってるし。
温泉むすめ 小野川小町
案内された通りに1階の通路を奥まで進むと内湯浴場があった。他に家族風呂と貸し切り制の露天風呂があるけど、今回は内湯のみの体験とする。通路には無料の貴重品ロッカーがあったと思う。

掲示されている分析書によれば「含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、低張性、中性、高温泉」とのこと。78.6℃の協組4号源泉と35.6℃の5号源泉を混合することにより加水なしで温度を下げているようだ。さらに加温・循環・消毒なしの源泉かけ流し。すばらしい。

かなり熱め、パンチの効いたお湯

浴室に入るなりふわーっと硫黄の匂いがしてきた。ほほう、楽しくなってきた。洗い場は6名分。カランのいくつかは真っ黒に変色していた。脱衣所の洗面台の蛇口もそうだったな。硫黄成分のガスにすぐやられてしまうのだろう。

浴槽は長方形の5名規模のやつがひとつ。湯口からはまあまあ多めの投入量。湯口付近は白い析出物がうっすらこびりついていたような。お湯は無色透明。

浸かってみると、熱っつーーー!! なにこれ熱い。入れないわけじゃないが適温の域ではないな。何分もじっとしていられる温度じゃない。源泉100%でこの熱さだからかなりパンチが効いている。

内湯ながら外の景色も楽しめる

冷静さを取り戻してからあらためてお湯の中を見つめると、小さな湯の花らしき粒が漂っているのがわかった。そして匂いをチェックしたところ、ふんわりと硫黄香があったけどそれほど強烈なものではない。あんまりどぎついと小野小町のイメージから離れてしまうから、これくらいがちょうどいいかも。ヌルヌルとかキシキシというのはとくに意識されず。

少し立ち上がる姿勢になると、大きな窓を通して大樽川や温泉街が視界に入ってくる。下の写真は館内の別の場所で撮ったものだが、だいたいこんな感じの景色。
温泉街と大樽川
まあとにかく熱いので、湯船に入る→出てクールダウンする、を繰り返してミッションコンプリート。風呂あがりもしばらく汗がダラダラ止まらなかった。

カフェで風呂あがりの一杯を

さてと、お楽しみのビールをいただこうか。カフェのカウンター席についてビールを待つ。お? すぐそばの扉から外へ出られるようになってるぞ。足湯って書いてあるぞ。
足湯コーナー
足湯カフェと称しているから、足湯を使いながら景色を眺めつつコーヒーを飲んじゃったりしていいのかもしれない(未確認)。カフェでは飲み物以外にスイーツ・カレー・ピザを提供するようだし、その場で食べられるラジウム玉子の販売コーナーもある。

やがてビールがやって来た。プハー。五臓六腑に染み渡るぜ。これだから温泉めぐりはやめられない。酔いが回って調子づいたか、帰りのバスの中で「あーもう面倒くせえ、新幹線で昼兼夕食の駅弁を食べてしまおう。米沢へ来たからには…」と思いつき、駅で「牛肉どまん中」と缶ビールを買い込んだのであった。


おまけ:小野川温泉街をぶら散歩

実は宝寿の湯へ直行する前に温泉街を少しだけ見学していた。宝寿の湯と反対方向に歩き出してまず目に留まったのが滝の清水。温泉ではなくて湧き水だ。知る人ぞ知る名水だそうな。
滝の清水
こちらはラジウム玉子を作る場所。もとになる玉子は近くの商店で売っている。
ラジウム玉子
温泉街の中心のような場所にどっしり構えているのは唐破風が印象的な共同浴場・尼湯。
尼湯
宝寿の湯へ向きを変えて歩いていくと、飲泉所&足湯コーナーがあった。なんとなくスルーしちゃったけど飲んでみれば良かったかなあ。
飲泉所と足湯
最後はいくつもの看板でアピールしていた田んぼアート。行ってみたらもう終わってました。元絵がなんだったかもわからない。
田んぼアートの跡
どうやら元絵は上杉鷹山だったらしい。米沢では鷹山公を大河ドラマ化しようという運動があるみたいね。実現した暁には「なせばなる」と言われるのだろう。