2022年はめぐり合わせというか何というかで主に関東甲信越への旅に注力していたが、秋になっていよいよ遠方へ目を向け始めた。今回は温泉未湯県かつ一般的な意味でも未踏県だった香川へ。大昔に岡山から高知まで特急に乗った際に香川県を通過してるはずだけど、それはさすがにノーカウントで。
香川で行ってみたい場所・やりたいことは温泉以外に3つ。こんぴらさん、丸亀城、讃岐うどん。初日は温泉めぐりを省いてこの3つをクリアしてしまう計画を立てた。
その結果、こんぴらさん=すげー長い石段で疲れた/丸亀城=こんぴらさんの疲れを引きずって疲れた/讃岐うどん=おいしかった・量が多い(雑な感想)。
午前の部:こんぴらさんと讃岐うどん
讃岐で味わう本場の讃岐うどん
朝の羽田発の飛行機で高松空港に降り立ったおじさん。わりといい接続で出発する琴平行きのリムジンバスに乗り込んだ。車窓にため池やうどん店がちょいちょい現れるのが香川っぽい。バスは途中でレオマワールドに立ち寄った。レオマって何? 西武ライオンズ関連の何か? と思ったらリゾート施設だった。四国のTDL・四国のUSJ的な。
空港から50分くらいで「こんぴらさん入口」停留所を下車すると参道はすぐそこ。でも最初は腹ごしらえだ。朝から飲まず食わずだったし、噂の石段を登るには体力がいるしな。さっそく讃岐うどんカードを切ってしまおう。ぱっと目についた手打ちうどんの店「てんてこ舞」に入った。
自分は関東住みとはいえ、はなまるうどんや丸亀製麺でセルフ方式は多少なりともわかっているつもりだ。もちろんお店の方も説明書きや声かけでうまく誘導してくれる。1杯がどれくらいの量か想像もつかないから安全策で肉うどん小を頼んだ。
あとはセルフで天ぷら系を取る。まずはいも天。そしてじゃこ天は食べたことあるけどじゃこカツは初見で気になったのでじゃこカツを。
小でも普通の1杯分のボリュームがあった。中以上にしてたらお腹が苦しくなってやばかっただろう。コシ云々は正直わかりません。個人の感想としては讃岐うどんに抱くイメージより柔らかめの麺かな。出汁はとても良い。そばは関東系が好きだけど、うどんはやっぱり関西系だな。
長い長い石段が続く
エナジー充填したところで出発。すぐに敷島館という温泉旅館があり、無料の足湯コーナーが提供されていた。ほーぉ。しかし見るだけで利用せず、先を急ぐ。
さあ噂の石段が始まりました。本宮まで785段と言われる長い試練の始まりだ。
最初のうちは連続する段数が少なく、間をつなぐ平坦道の占める割合が多いんですがね…。
大門が見えてくるあたりから石段の傾斜と長さが本気を見せ始め、足が疲れてきた。でも起点からの段数でいえばまだ半分も来ていない。先は長いぞ。
大門を過ぎたところから神域になるそうだ。石段はいったん姿を消し、桜馬場なる平坦続きの道のおかげでいくらか足が休まった。近くに宝物館があるので時間に余裕があればどうぞ。
馬場というだけあってこのエリアの終わりには厩舎があった。当時は2頭の白い馬が入っていて、左側にいたのが道産子の神馬・月琴号。ちょうどご飯の時間でずっと頭を下げてもぐもぐしていたため、ご尊顔の一部しか拝めず。
お馬さんの少し先には御書院あり。こちらも時間があれば寄ってみたかったんだけどね。いろいろな展示が見られそう。
ついに姿を現した御本宮
やがて再び石段が本気を見せてきた。あかん、ちょっともう疲れてきちゃいました。秋晴れの日だからまだしも良かったが、暑い夏とか雨の日だったら心が折れるぞ。
さてお次はどっしり構えた旭社。ロープを張って近寄れなくしてあり、ロープの向こう側は帰りに通るようになっているから、復路で参拝するべき社殿だ。でも写真を撮るなら往路の方が適度に距離があって全景を収めやすい。
そうしていよいよ本宮に向けた最後の石段が現れた。あと少し。にしては長く果てしなく感じられる。頑張れ自分。いっけええええ!! よろしくお願いしまぁぁぁす!!
キターーー!!
ついにやったぜ。金刀比羅宮の御本宮がいま目の前に。ここに来たかったのは、有名な神社だからというシンプルな興味のほか、映画「男はつらいよ 寅次郎の縁談」(第46作)のロケ地でもあったからだ。瀬戸内の小島に居着いてしまった満男を迎えに来た寅さん、マドンナに一目惚れして自分も居着いてしまい、ある日マドンナと一緒にこんぴらさんへ来たんだったな。
ずいぶん登ってきただけあって、本宮脇の展望台からの景色は見事だ。平野の向こうに讃岐富士・飯野山によるきれいな三角形を拝める。肉眼だと彼方にうっすら瀬戸大橋の塔部も見えた。
21世紀型の狛犬登場
石段起点から本宮まで50分もかかった。あえてゆっくりゆっくり登ったから、寄り道せずさっさか歩けば30分くらいでカバーできると思う。さらに白峯神社・奥社へと道は続くが、ここまでと同じくらいの段数をまた登らなきゃいけないし、時間にも体力にも余裕がない。もう戻りましょう。
下り道の起点のそばに三穂津姫社がある。
しかし社殿よりも目を引いたのが両脇のSFチックな狛犬。なんじゃこりゃあ。現代アートとのコラボってことかな。口とか目からビームを放ちそう。
さああとは下っていくだけ。ひざが笑いかけてなかなか大変だったが、脇見なしで下りることに専念したので20分もかからず起点に戻ってきた。あー疲れた。今日の感じだと歳を取ってからじゃもう絶対に登れる気がしない。まだしも体の動くうちに来ておいてよかったわ。
午後の部:丸亀城
石垣が美しいお城
午前でこんぴらさんをクリアして午後は現存12天守のひとつ・丸亀城を見学するためJRで琴平から丸亀へ移動。疲れのため車内でウトウトしてしまった。うっかり寝過ごさなかったのはラッキーだった。
丸亀駅から丸亀城大手門までは通町というアーケード商店街を歩くルートで10分くらい。城に離接する市民公園から早くも石垣と天守が見える。結構高い位置にあるな。あそこまで登るの…。
こちらがお堀と大手門になります。
さっそく急勾配かつ長い「見返り坂」が出迎えてくれた。きっつー。出だしからへろへろ。
三の丸の高石垣を見て少し元気を取り戻す。角のこう、スッと曲がって伸びる感じがいいね。
生駒坂を登れば展望が開ける
しかし新たに立ちはだかる生駒坂はもっと厳しい勾配だった。取り戻した元気はあっという間に蒸発。もう勘弁してください…。
どうにか生駒坂をクリアすると三の丸。ここには北方向に突き出た展望台があって瀬戸内海方向を望むことができる。瀬戸大橋がはっきりわかりますな。おかげで再び元気を取り戻す。
持てる力を振り絞って登りきり、天守とのご対面へこぎ着けた。現存12天守なるものへのコンプリート欲だけで来ているから、歴史的背景や建造技術に関する知識はまったく持ち合わせていない。でもいいのだ。なんとなく美的なものを見たというふわっとした体験で十分。
天守前の広場では広い範囲の方角を展望できる。讃岐富士もよく見える。
シンプルな天守内部
ではいざ内部へ。入場料200円。靴からスリッパへ履き替えて1層→2層→3層まで上る。階段はお城にありがちな、はしごに近いくらいの急なやつ。天守はそれほど大きくない…はい、あっさり3層めに到着。
もうこれだけで満足だ。せっかく頑張って登ってきたからじっくり時間をかけて見学しよう、なんていうことは考えず、あっさりと出場。坂を下って、さらば丸亀城。
最後に大手門の反対側へ回り込んでみたら、崩落した石垣の復旧工事現場だった。クレーン車の向こうに石垣復旧PR館って書かれたプレハブ小屋があるな。ちょっともう足がきつい。残念ですがパスして丸亀駅へ戻る。
こんぴらさん+丸亀城のハシゴはきっついわ~。このあとJRで高松へ移動したが、案の定車内ではがっつり居眠りしてしまった。高松行きだから乗り過ごしなしですんだけども。