内湯だけど景色が良い、赤い湯のお風呂 - 関温泉 旅館登美屋

関温泉 旅館登美屋
妙高山を燕温泉の方へ登っていく途中に関温泉がある。硫黄成分を感じさせる白く濁った燕温泉に対して、関温泉は鉄成分が前面に出た赤い濁り湯。こうまで特徴が違うと両方に入ってみたくなるのが人情というもの。

しかも関温泉は全旅館を科学的に調査したうえで「源泉100%かけ流し」を宣言したとのこと。相当な自信ありってことだな。じゃあ行ってみなければなるまい、と燕温泉帰りの立ち寄りではあるが入浴体験することにした。

トライしたのは車を止めた場所に近かった登美屋さん。内湯ひとつだけのシンプルな浴室だが、窓からの景色がすばらしくてほとんど露天風呂みたいなもんだ。赤っぽくて金気臭のするお湯は関温泉についての事前知識通り。いい湯でした。

関温泉「旅館登美屋」へのアクセス

遠回りでも走りやすい道路へ

関温泉は妙高山の中腹にあって鉄道駅からは離れている。公共交通機関で可能な手段は妙高はねうまライン関山駅から妙高市市営バスで約25分、関温泉停留所下車。旅行者目線だと関山駅発10時台・13時台・15時台・17時台が使えそう。

車だと東京方面からなら上信越道・妙高高原ICを出て15~20分。運転しやすさを重視するなら国道18号→県道39号で妙高カントリークラブを経由するルートをおすすめする。十分に広い道幅で直線主体だ。

一方で最短経路とされる県道399号→赤倉温泉→県道396号はせいぜい1.5車線幅のくねくね道だ(冬季は閉鎖)。どちらも所要時間に大差はない。自分は関温泉の後に赤倉へ抜ける際、安心感のある前者のアレンジ版を採用した。

一般向けの駐車場から近い

当時はまず前泊地の燕温泉ホテル花文をチェックアウトした後に近くの野天風呂=黄金の湯に入浴し、それから車で山を下っていくと、5分ほどで関温泉に着いた。

道の両側に旅館が立ち並ぶ中をゆっくり偵察しつつ走っていく。源泉かけ流し宣言があるからどの宿に入っても良好な温泉なんだろうな。うーん、どこにしよう…と迷ううちに温泉街の終わりまで来てしまった。あらら。ちょうど特定の利用客専用でない公共的な駐車場があったからそこに止めた。無料。
関温泉街
正直なところ、なにかこだわりがあったというよりは、駐車場から近かったこと・日帰り入浴やってますの看板が出ていて心理的なハードルが低かったことから、登美屋旅館の玄関に足を踏み入れたのであった。


鉄の匂いがする赤茶色の温泉

たしかに源泉100%かけ流し

フロントは不在だったがすぐに気づいてもらえ、日帰り入浴の旨を告げると快く受け入れてくれたので、ああよかった。入浴料600円。廊下をつきあたりまで行って左に大浴場があるとのこと。

廊下の左右窓際には鉢が飾られ、白・赤白・紫といった色名のラベルが貼ってあった。なんの植物かはわかりません。
廊下に飾ってある鉢植え
つきあたりにビール含む自販機があって、左に曲がると女湯・男湯の順に大浴場の入口が並んでいた。脱衣所の気配から男湯は無人確定。まあまだ10時前だしな。掲示されている分析書には「ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩温泉、低張性、中性、高温泉」とあった。源泉100%かけ流しのアピールあり。

イメージ通りの色と匂い

浴室の手前部分にカランが6台。奥に真四角な4~5名規模の浴槽がひとつ。湯口からはザバザバではないがチョロチョロよりはるかに多くの湯量が投入される一方、浴槽コーナーの一角に切り込まれた溝から同じくらい多くの量が流れ出ていた。

お湯の見た目は茶色い微濁りで浴槽の底は見える。赤い温泉を意識させるのは浴槽の縁や浴室の床面で、建材の元々の色じゃなくてお湯が触れているうちに赤っぽく着色してしまったと思われる。とくに浴槽に近い部分の床面は赤い析出物の層ですっかりコーティングされてしまい、千枚田へ成長しそうな予感も漂わせていた。

なんだかすげーなと感心しながら浸かってみると適温だった。夏にはちょっと熱いかな。お湯の濁り度は低めで透明に近いんだけれども、赤サビ状の湯の花が舞っていて、こりゃたしかに赤い温泉だ。匂いを嗅ぐと金気臭を感知した。うむ、イメージ通り。

すぐにぽかぽかと温まってくるから長く粘ることは難しい。いったん縁に腰掛ける体勢でクールダウンしようか。窓を開けて網戸にしてあるところから入ってくる涼風が気持ちいい。こりゃーええわ。燕温泉でもやったパターン=入湯→涼風に当たる→入湯→涼風…の繰り返しがたまらんですな。

内湯からパノラマ的な景色を望む

涼風以外に爽快感を与える要素として、窓からの景色があげられる。まずガラス窓が広めで2面に付いている。外の景色は、旅館の裏庭(?)の先がすぐ太田切川へ落ち込む崖になっている感じで、崖下に生えている木よりも風呂の位置が高いから視界を遮るものがほとんどない。

おかげで遠くの山の稜線が見える。斑尾かなにかわからぬが南東の方角だと思う。このレベルの景色を内湯から見ることができるなんてなあ。やりますな。※下の写真は駐車場で撮ったもので、内湯の景色はもっと木が邪魔してなかったと思う。
関温泉から望む山々
お湯への出入りを繰り返すうちに肌がなじんできたのか、入湯時に泡付きするようになった。なかなか侮れない量の泡である。炭酸水素塩泉の成分が本気を出してきたのであろうか。お湯が新鮮であることの証拠には違いないから、うれしくなってくるね。

金気臭+赤サビ湯の花+泡+涼風+景色+独占…もう何も言うことはない。いい時間だった。すっかり堪能したところでミッションコンプリート。

 * * *

服を着て、さあ退出しようかとなったところで、やたら喉が渇いているのに気づいた。旅館の朝食からそんなに時間経ってないけどな。これも温泉効果か? 思わず廊下の自販機でコーラを買ってがぶ飲みしてしまった。さすが源泉100%かけ流し宣言はダテじゃないぜ。

印象でいうと小ぢんまりしたアットホームな旅館という風情の登美屋旅館。スキーシーズンはなんともわからないけど、少人数でのんびりしたい方向けではないだろうか。一人泊もNGではなく追加料金でやろうと思えばできるみたい。いいお湯よ。


おまけ:苗名滝と野尻湖

あんまりなめちゃいけない苗名滝への道

時系列的には直接つながらないが、関温泉の前日に訪れた観光スポットについて。

苗名滝は日本の滝百選に選ばれている名瀑だ。関温泉から車で25分、赤倉温泉からだと15分。無料駐車場あり。駐車場から滝まで徒歩15分とされているが、傾斜と路面状態は決して歩きやすいものではなく、なめちゃいけない。最初に砂防堰堤前の吊り橋を渡る。
苗名滝への遊歩道の最初にある砂防堰堤
それから堰堤の高さに追いつくまでらせん状的な階段をぐるぐる上ると、いきなり未舗装・石ゴロゴロ・ぬかるみ多めの狭い遊歩道が始まる。このあたりのギミックはオープンワールドRPGのスカイリムを思わせる…山賊の砦から山奥のほこらへ続く道みたいな…奥にドゥーマーの遺跡とかあるんじゃね。

頑張って歩くと第2の吊り橋が表れて、対岸が撮影スポットになっている。あれが苗名滝か。
苗名滝
道はまだ先へ続いているものの、さらに悪路の急傾斜になる。どこまで行っても展望所など設けられてなく、軽装備では太刀打ちできなくなってきたので、下の写真を撮った地点で引き返した。普通は第2の吊り橋までで十分です。それ以上は危険なだけ。
苗名滝 その2
駐車場に戻ったらへろへろになって変な気分に陥っていた(だう~ん現象)。無理して疲れちゃったか、それとも温泉に入りすぎたせいか。

とりあえず見るだけは見た野尻湖

ここまで来たら、一生に一度のチャンスかもしれないし、野尻湖へ行ってみよう。湖畔のナウマンゾウ博物館という施設まで苗名滝から車で15分。

時間の都合で博物館はパス。隣の町営駐車場に止めて野尻湖を見るだけにした。湖岸は私有地が多くて部外者が湖のそばまで行ける場所は限られるようだ。
野尻湖
よし、野尻湖を見たぞ。前回の群馬旅行で野反湖を見たから、これで野○湖ダブルクリアだ(意味不明)。