フォッサマグナの力! 強烈アブラ臭 - 糸魚川温泉 ひすいの湯

糸魚川温泉 ひすいの湯
広い新潟県の中で上越妙高~糸魚川にかけてのエリアはこれまでノーマークだったから行ってみることにした。まだまだ残暑厳しく、時には最盛期と同じくらい暑い日もあった頃の話。山の方に行けば涼しいんじゃないかとの思惑もあった。

そんな旅の1湯目は、山じゃなくてむしろ海だけど、糸魚川の日帰り温泉「ひすいの湯」。ホテル国富アネックスが同じ敷地内というかすぐ隣に立っている。※ホテル内にも専用の大浴場があるようなので、ひすいの湯をホテルの一部でなく独立した日帰り温泉の扱いにしました。

ここのお湯はアブラ臭がすごい。クラクラきますね。しばらく体に匂いが染み付いてしまった気がした。強烈な思い出になること間違いなし。

糸魚川温泉「ひすいの湯」へのアクセス

北陸新幹線のおかげで首都圏から糸魚川までのアクセスは便利になった。しかし糸魚川駅からひすいの湯まで歩くと小一時間かかってしまう距離。路線バスとかの事情はよくわからない。

幸いなことに大糸線・姫川駅が近い。駅から徒歩5~6分で行けそうに見える。ネックは大糸線の本数か。糸魚川駅10時31分の次は13時23分。旅行途中の立ち寄り前提だと、このどちらかの便を狙うしかなさそうだ。入浴後に糸魚川へ戻るなら姫川13時00分と15時39分が候補。

自分は新幹線で上越妙高まで行って、駅前でレンタカーを借りた。近くの上越高田ICから上信越道→北陸道を経由して糸魚川ICへ。北陸道の区間の大半はトンネルであった。もっと富山寄りには親不知っていう難所があるくらいだし、山が海のそばまで迫っていて平坦地がないんだろうな。たまにトンネルを抜けると右手に日本海がチラチラ見える気もするが、運転に精一杯で余裕なし。

糸魚川ICを出て国道148号を南下。ものの数分でひすいの湯に着き、最初に目についた駐車場(キャンプがどうのという標識あり)にいったん止めたところ、露天風呂にも見える池があった。ネット情報だと源泉の噴水的な演出があるそうだけど、当時の印象ではもう止めちゃってる感じがした。
源泉の噴水池?
この駐車場から当館の建物までは敷地内を少し歩く。実は建物の目の前にも駐車場があることに気づいて、あらためてそちらへ車を移動させた。移動の途中でホテル国富アネックスの前を通過することになる。
ホテル国富アネックス

お湯の個性がかなり強いお風呂

糸魚川といえばひすい

では入館。こんなご時世でも県外者を排除する様子はなく、定められた感染対策に従っていれば歓迎してくれる雰囲気でよかった。券売機で買った入浴券(900円)および下足箱の鍵と引き換えに受付で脱衣所ロッカーの鍵を受け取る。

玄関ロビーにひすい原石の展示あり。ワンちゃん(?)の右の脇下あたりが緑色になっている、あれがひすいか。糸魚川はひすいで有名だからなー、と今だから知った風に言える。
ひすい原石の展示
この展示のそばに100円戻らない式の貴重品ロッカーあり。脱衣所の鍵付きロッカーでも心配ならこちらをどうぞ。

脱衣所には長ズボンを吊るせるくらいの縦長ロッカーが並ぶ。受け取った鍵の番号に対応したロッカーに荷物や服をしまっていざ浴室へ。なお、掲示されている分析書によれば「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、弱アルカリ性、高張性、高温泉」とのこと。加温なし、加水・循環・消毒あり。

アブラ臭と熱さが強烈な内湯

浴室に入ったらいきなり「うっ…」アブラ臭え! この露骨な匂いはすごいな。世にアブラ好きは多いみたいだから、そういう人にとってはヨダレモノでしょうな。石油臭というよりは油性インク臭と表現したい。どっちも一緒かもしれぬが。

洗い場は9名分。普通に座るやつと寝る姿勢になるチェアが数台置かれていて、ほぼ常時埋まっている。お湯が強烈なのでゆっくり休憩を挟みながらのスタイルが主なんだろう。サウナはいつものごとく関心外。肝心の内湯浴槽は水風呂・あつ湯・全身浴・ジャグジー・寝湯と並ぶ。

あつ湯槽は4名サイズ。湯口からの投入が直接注がれるのはここ。入ってみたらやっぱり結構熱くて自分は3分もいられない。しかしお湯の強烈さを味わうには一番向いてると思う。お湯の見た目はささ濁りで、匂いを嗅ぐともうすでに鼻がバカになっちゃってて特徴がわからなくなっていた。まあアブラ臭がするんでしょう。少なくとも塩素臭を感じないのは確かだ。

隣にある4~5名サイズの全身浴槽も同じくらい熱い。あつ湯と全身浴で人気の差はなく、ていうか、だいたい誰もいない(客の大半は露天かジャグジーか浴槽外で休憩中)。3~4名サイズのジャグジーの利用度が一番高かった。一番端っこの寝湯は4名分に仕切られている。全般に真新しくはないけど古びてもいない。

※仕事休みを取って平日昼間に来ている状況。週末の午後だったりすると混み具合はまた違うだろう。

温泉の特徴はそのままに、入りやすい温度の露天風呂

じゃあ露天風呂へ行きますか。目の前に現れた岩風呂は10名以上が余裕で入れるサイズ。湯口付近の岩は完全に赤茶に変色しているし、他の部分の岩も湯面近くにブツブツ状の白っぽい析出物がこびりついている。いかにも濃ゆそう。明るい中でお湯を見ると微小な白い粒の湯の花が漂ってますね。

浸かってみたら内湯よりはぬるくて入りやすかった。ウンウン唸って熱さを我慢するというような温度ではない。こいつはありがてえ。たまにあつ湯槽にチャレンジして当湯の「本気」を体験する以外はずっと露天風呂ですごした。

目隠しの塀は途中で切れていて、奥の向きに眺望がある。たぶん姫川の方角じゃないかな。しかしこの時は茂った草木のため川が見えたり遠くに山を望めたりはしなかった。

休憩タイムを多めに挟みながら1時間近く滞在してミッションコンプリート。パワフルなお湯だったなあ。いつまでも汗がダラダラと引いてくれない。そして妙に喉が渇く。旅の一発目からえらいこっちゃ。

 * * *

鼻がバカになってもしばらくすると元の感覚が戻ってくる繰り返しの中で、ずっと強いアブラ臭に包まれていたような気分だった。あれは並大抵のレベルではない。個性的なお温泉を求める方にはおすすめしたい一湯。もちろん普通に温まる温泉としても良質だ。


おまけ:湯あがりにフォッサマグナミュージアム

ひすいの湯を出た後は、近くの丘の上にあるフォッサマグナミュージアムへ。フォッサマグナとか糸魚川静岡構造線と聞くと気になっちゃうもんでね。駐車場は無料。入館料500円。
フォッサマグナミュージアム
フォッサマグナや糸魚川の地形の特徴の説明があるのは予想通り。とはいえ初めて知る内容も多い、勉強になります。その他に岩石・鉱物の類の展示が半端ない。大きいのから小さいのから個人の寄贈から、量そのものよりも展示の列から漂う情熱がすごい。
石の展示例
後半になると化石の話も混じってきた。ナウマン象のナウマン博士のコーナーもあり。
化石コーナー
ひすいを導入部にして最終的には地質学方面のいろんな話題に誘われる。地球ロマン心をくすぐる施設だ。