幸運を呼ぶ自家源泉。万人を満足させる宿 - 門前温泉 光雲荘

塩原温泉郷 門前温泉 光雲荘
塩原温泉郷には過去2回行ったことがある。要望を受けて真夏の旅行を企画することになった時、車で行ける範囲・東京近郊と比べて避暑的な気候・メンバー構成を考慮して癖が強すぎない温泉(宿)・温泉以外の観光スポットに困らないこと、を条件に検討して、そこそこ様子のわかっている塩原に決めた。

那須・塩原というくくりでみれば避暑面と観光面は十分にクリア。宿泊先の光雲荘は塩原温泉郷の中の門前温泉に属し、無色透明系の美肌の湯で万人向き、足湯や無料貸切風呂もある。ふだん温泉に縁のないメンバー各位にも気軽に楽しんでもらえるはず。

なおかつ源泉かけ流しだから温泉目当ての自分にとっても満足できる。しかも予想外にぬるいお湯だったのがうれしい誤算。

門前温泉「光雲荘」への道

那須どうぶつ王国へ寄り道する

箒川沿いを中心に11もの温泉地からなる広大な塩原温泉郷。東京方面からアクセスする場合、今回の門前温泉であれば東北道・西那須野塩原IC~国道400号が一般的と思われる。新宿から出ている高速バスもこのルートだ。鉄道を利用した場合も東北本線西那須野(または那須塩原)駅から乗り換える路線バスがこのルートに合流する。

今回は自分が運転する車で東北道を走る。途中、佐野SAで休憩したところ、なんか今まで見てきた佐野SAじゃない違和感があった。カッコよくリニューアルされたみたい。ってことで記念に(?)フードコートで佐野ラーメンを食す。この後の夕食を考えたらラーメンでお腹を膨らせてる場合じゃなかったのだが…。

それから西那須野塩原ICまで来たものの、スルーしてもっと先の那須高原スマートICで高速を出た。最初に那須どうぶつ王国へ行くことになっていたため。

どうぶつ王国は高台にあって駐車場からの景色が展望台的でなかなか良い。園内はいくつかのゾーンに分かれており、順路は特にないから好きなところから見ていけばOK。ちびっ子連れファミリーやカップルが想定客層と思われるが、生き物好きなら誰でも楽しめるだろう。個人的にはトラとかオオカミの迫力が印象に残ったね。しかし撮った写真はなぜかハシビロコウのみ。
那須どうぶつ王国のハシビロコウ

那須・塩原の広さをなめてはいけない

さて16時近くなったし、そろそろ光雲荘へ向かうとするか。ここで誤算発生。那須高原と塩原温泉の距離を「隣接エリアだから」と過小評価していた。カーナビによれば40km・50分かかるって。やっべー、温泉に入ってゆっくりする時間ないかも…。

実際、もみじ谷大吊橋を通りかかって「せっかくだから見ていこう」と寄り道したこともあって、宿に着いたのは17時半頃だった。チェックインをすませて部屋に入って「ふぅ~」と息をついたらもう夕食時間が近い。で、風呂は夕食後になった。


早めにチェックインしてゆっくりすべき宿

冒頭写真の正面顔だと平屋のようにも見える光雲荘だけど実際は4階建てである。1階のロビーはこのような感じ。朝食時にはこのロビーでセルフサービスのコーヒーが提供される。
光雲荘のロビー
すぐそばにはお土産コーナーあり。右の方の棚に飾ってあるイラストは温泉むすめ・塩原八弥ちゃんだろうか(自信はない)。
お土産コーナー
案内されたのは4階の10畳+α+広縁の和室。液晶テレビは壁掛けじゃなかったかなあ。部屋の管理状態は良好で、ちょっといい雰囲気もあり、今回お連れしたメンバーには不安なく快適に過ごしてもらえたものと確信する。布団は夕食中に敷いてくれる方式。
光雲荘の客室
シャワートイレ・洗面台あり、金庫あり、空の冷蔵庫あり。もちろんエアコン完備。携帯の電波は普通に入るしWiFiもあり。いいじゃないですか。もっと早く宿入りして部屋でゆっくりすべきだったなあ~。
窓から見える景色
窓の外に展開するのは上のような温泉街と遠くの山。もっと右に目をやると、道路を挟んで立つホテルニュー塩原が見える。2年前に泊まった同じ門前温泉の常盤ホテルでも窓からニュー塩原が見えたことを思い出すのであった。


幸運を呼ぶ光雲荘の湯

自家源泉を含む2つの源泉をかけ流し

光雲荘の大浴場「幸運の湯」は宿名に引っかけたのだろう。場所は1階、左から女湯・貸切風呂・男湯と並んでおり、男女の入れ替えはない。貸切風呂は無料かつ予約不要で、空いていればいつでも利用可能。

前述の通りチェックイン直後に入浴する余裕はなく、夕食後に男湯へ行ってみた。大浴場の外に貴重品ロッカーと分析書あり。「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉、中性、低張性、高温泉」とのこと。源泉名は光雲荘源泉だって。自家源泉ってことか。

脱衣所の中にも分析書が貼ってあって「ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉、中性、低張性、温泉」とあった。こちらの源泉名は門前1号泉。外に貼ってあった説明文によれば、2つの源泉を(混合して?)提供しているっぽい。また、沸かし・循環等は一切していない旨も書かれていた。

予想外にぬるくて驚いた

内湯の方にはカランが5台。あとはL字型をした10名は入れそうなタイル浴槽がひとつ。一方の端が打たせ湯跡みたいになっている。湯口から注ぎ込まれる量はなかなか豊富。新鮮な温泉を堪能できそうだ。

浴槽の底が滑りやすいから注意されたい。恥ずかしながらコケてしまいました。うまく受け身を取ったのでダメージなし。で、…ん?…あれれ?…アツクナーイ!

1年前に訪れた赤沢温泉旅館は例外として、塩原の湯は基本的に熱いものだというイメージを持っていた。ところが浸かってみたら拍子抜けするほどぬるい。個人的には大歓迎ですがね。いわゆる「ぬる湯」かといえば違うけど、相当程度の長湯が可能な温度ではあった。

お湯は無色透明で湯の花や泡付きは見られず。なんとなくしっとり感がある。両手でお湯をすくって匂いを嗅ぐと一発目には金気臭があって、若干間をおいて二発目・三発目では金気臭が消えて塩化物泉相当の匂いに変わる。なんだろう。浴室の扉がドアノブ式だから、ドアノブを握ったときに金属臭が手のひらに移ったのか? でも他所でそんな現象あったか? しかも入湯前に洗身洗髪しているのに匂いが残るか?

さらにぬるくて最高だった露天風呂

謎を残したまま露天風呂へ。15名は余裕でいけそうな岩風呂で、配されている岩がなかなか大きくて立派である。ずっと上の方に2つの湯口があるように見え、それぞれから放たれたお湯が高い位置で合流してから湯船へ落下してくる。

露天風呂は内湯以上にぬるくていくらでも入っていられそうな感じで夏にぴったり。囲いのために眺望はないが岩とか植え込みとかで風情は感じられる。夜の空を見上げてみたら、自分の低い視力でも明るい星が2~3個は確認できた。

あと露天風呂の脇に「裏側は混浴エリアです」のような札のある一角があった。歴史的に元々は混浴だったのが、いったん別浴となった後、形を変えて復活したらしい。混浴といっても男女の間には格子の仕切りがある模様。擬似的な混浴ってところですかね。自分はもちろん行かず。

翌朝もこちらの男湯を利用したが、やはりぬるめの湯だった。ぬる湯派としては冬もこれくらいの温度でお願いしたい。

貸切風呂・足湯・飲み湯

寝る前に貸切風呂へ行ってみたところ、幸いにも空いていた。扉の前の札を「空いてます」から「入浴中」へひっくり返して中へ入ったら鍵をかける。内部はカラン1台と2名サイズの内湯浴槽と2名サイズの露天風呂。

先に露天風呂へ入ってみたら当館で体験した中では最もぬるかった。もはや不感温度に近い。こいつはありがてえ、最高ですな。1時間居座れるレベルだったけど他のお客さんに機会を回すため(旅館側は「利用は30~40分を目安にお願いします」と注意喚起している)10分くらいで出た。まあお試し体験ってことで。

なお内湯の方はぬるくない適温。ぬるいのが苦手な方や上がり湯的に使うのに適している。

また、大浴場とは別の場所に足湯&飲み湯処というのもあった。朝の入浴後に飲み湯目当てで寄ってみたら、足湯に女子ーズの一団が。あそこを通り抜けなくては飲み湯にたどり着けない。思わず逃げるように引き返してしまった…これじゃむしろ怪しいおじさん案件か。


お腹をすかせて臨みたいお食事

名物「石焼き樽」が出てくる夕食

光雲荘の食事は1階の大広間で。個室ではないものの各テーブルは十分すぎるくらいの間隔を空けてあり、他グループの存在はまったく気にならない。夕食のスターティングメンバーがこちら。
光雲荘の夕食
お造りはマグロと那須塩原産イワナとプレミアムヤシオマス、加えてやはり日光ゆばが来たか。前菜は鰻を使っていたり、塩気がビールに合う鮎磯辺揚げだったり。

その後も鮎塩焼き・合鴨治部煮・こんにゃくそうめん・真鯛蕪蒸しが追加されたほか、主役級で出てきたのが光雲荘名物「石焼き樽」だ。小さな樽に焼け石を入れて温める。昔の伝説のマタギ料理を再現したものだとか。
光雲荘名物 石焼き樽
質とともに品数豊富でかなりお腹いっぱい。いつものごとく締めのご飯は少ししか入らなかった。昼のラーメンを自重すべきだったかしらね。

朝食もボリュームたっぷり

朝も結構たっぷりありますよ。那須産牛乳付きでこのような面々。
光雲荘の朝食
茶碗蒸しは夕食に出るパターンが多く、朝に出されるのは珍しいかも。胃にやさしい感じでちょうどいいね。鮭の切身は小さめだがネギトロがあるからおあいこ(?)だ。

食後はロビーにてセルフのコーヒーをいただいて、よし、じゃあ最後にひとっ風呂浴びてから出発…とはならなかった。理由はこの後すぐ。

 * * *

一人旅や温泉に振り切った旅ならともかく、今回のような下手を打てないメンバーをお連れする宿として、光雲荘はぴったりはまってくれた。一方で温泉目当ての自分としても源泉かけ流しのぬるめの湯には大満足。幸運の湯だからこの先いいことあるかもなと期待。


おまけ:帰りの観光イベント

朝食後には速攻でチェックアウトした。湯西川~鬼怒川~今市ルートで帰ることにし、湯西川ダックツアー=ダム見学ツアーの第1便に間に合わせたかったため。自分が過去に体験したのは川治ダムコースで、今回のは湯西川ダムコース。

幸運の湯のご利益で間に合ったうえ、予約なしの飛び入りでも空席があった。まず湯西川ダムまで行き、エレベータでダムの下へ出る。一般人はツアー客しか入れない、ダムを間近に見上げるロケーションだ。それから水陸両用バスに乗り換えて湯西川ダム湖をクルージング。うん、やっぱりダックツアーは面白いね。
湯西川ダックツアー 水陸両用バス
続いて川治ダムに立ち寄りつつ、龍王峡へ。時間と体力の都合により虹見滝と虹見橋で引き返す簡単ショートコースにしておいた。
龍王峡 虹見滝
相変わらずの絶景ですな。
龍王峡の絶景
温泉ついでに各所を観光してきた経験の引き出しがこの旅で生きた。いろいろやっておくもんだね。