星空ナイトツアー付きで“夜も神” - 昼神温泉 湯多利の里 伊那華

昼神温泉 伊那華
日本一の星空とも称される長野県阿智村にあるのが昼神温泉郷。満天の星空を見たいし温泉も楽しみたいという今回のグループ旅行の目的にはぴったりだ。しかも多くの旅館が「富士見台高原ヘブンスそのはら」で開催される星空ナイトツアーへの送迎を行ってくれる。

星を見るのが目的の旅は初めてだし、勝手がわからないから、こういうイベントやサービスに乗っかって気楽に臨めるのは助かるね。

ということで昼神温泉に決定。いろいろ探して「湯多利の里 伊那華」のナイトツアー付きプランに泊まれることになった。広めの大浴場でゆったり、田舎らしさのある地元料理がうれしいバイキング、なかなか結構ではないですか。

昼神温泉「伊那華」へのアクセス

東京方面から昼神温泉はちょっと遠いけどアクセスは簡単だ。ほとんど中央道をひたすら走るだけ。飯田山本ICを出て国道153号に入ったら、道が混んでなければ10分くらいで着いてしまう。※園原ICは名古屋方面のみのハーフICだから注意。

我ら一行は前泊地のヒュッテ霧ヶ峰をチェックアウトし、ビーナスライン沿いにいくつかの景勝地をまわった後、岡谷ICから中央道に乗った。しかしこのままだと早く着きすぎるからということで、元善光寺を見学するために寄り道した。

元善光寺へは座光寺スマートICで下りれば最短なのだが、ETCカードがトラブルで使えず、現金払いに対応している手前の松川ICからアプローチした。ETC慣れしているとこういう時にものすごく不便を感じる。ETC大事。
元善光寺の入口
長野市の有名な善光寺は西暦642年に移転するまでこの地にあったそうだ。つまり元善光寺は善光寺の前身だったお寺ということになる。善光寺へお参りするだけだと片参りと言われ、ここ元善光寺へもお参りしてコンプリートってわけだ。自分は過去に両参りずみですがね。
元善光寺 本堂
なお、元善光寺にも善光寺と同様のお戒壇めぐりがあるから、可能ならやっておこう。暗闇の中を手探りで進むアレだ。開運の錠前にも触れたからご利益で今夜晴れてくれないかな。ゆうべは雨で星を見られなかったので。


大規模旅館ならではの充実ぶり

意表を突くさまざまな設備・展示あり

こうした寄り道を経て阿智村に到着。昼神温泉街は思ったより規模があり、朝市なんかもやっているようだ。大型旅館がいくつも立っており、当館も結構ビッグサイズ。冒頭写真は正面顔であって氷山の一角にすぎない。中に入ってから奥へ奥へと長ーく続く建物なのだ。

敷地の隅には天文台のようなものはないが天文台があったぞ(源頼家構文)。
伊那華にあった天文台
ロビーには当時の天皇皇后両陛下ご宿泊の記録…もあるけど、むしろお子様向けボルダリング場が目につく。あと懐かしの昭和コーナーなんてのもある。
ロビーのボルダリング場
もっと目立つのが中日ドラゴンズ関連の展示だ。山本昌200勝達成記念グローブと立浪2000本安打記念バット。
山本昌投手と立浪選手の記念品展示
1階の長い通路の途中にもドラゴンズ関連の写真や色紙が。球団の納会・祝勝会・イベント会場とかに使われてたのかね。
廊下に並ぶ写真や色紙

阿知川の見える結構なお部屋

今宵の部屋は3階の10畳和室+4畳の広縁。別途玄関付近のスペースも広く取ってあって余裕十分。ちょっといい宿的な内装もなかなかではござらぬか。布団は夕食中に敷いてくれる方式。
伊那華 10畳客室
シャワートイレ・洗面台あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり。WiFiあり。エアコンの効き目はばっちりで酷暑の日でも快適。ウェルカムお菓子はなかったな。部屋に置いてある浴衣は中サイズ。別のサイズを求める方は廊下に「浴衣バー」があるから、そこで自分にあったサイズを探しましょう。窓から外を眺めると阿知川が広がっている。
阿知川を眺められる
水深が浅くて水が澄んでるから写真だと川の感じがわかりづらいか。肉眼だと「川の石がやけに白いな~、まぶしいくらい白いぞ」との感想を持った。


広さと湯船の種類十分でゆっくり入れるお風呂

かすかにヌメリのあるアルカリ性単純温泉

大浴場は1階の一番奥にある。男湯と女湯は翌朝になったら入れ替わってた。ひとまずチェックイン後に行ってみると、男湯の脱衣所に分析書を発見。「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、温泉」だって。昼神は単純硫黄泉かと思ってたんだが硫黄が付かないアル単もあるのね。明記した文書を見つけられなかったものの、たぶん加水なしの加温・循環・消毒ありではないかと思われる。

旅館の規模を反映して浴室はそこそこ広い。向かって右手に15名分の洗い場。左手に8~10名ほど並んで入れそうな細長い内湯浴槽。お湯は透明のようでもあり微濁りのようでもあり。浸かってみると熱すぎない適温だった。平均的客層のどストライクですな。

湯の花や泡付きは見られず。若干ヌメッとした感触あり。匂いに露骨な塩素臭を感知しなかったからまあいいのでは。外の景色を見晴らすものではないにせよ広いガラス窓のおかげで窮屈さはない。

さらに奥にはそれぞれ3名サイズの寝湯・バイブラ湯・電気風呂が並んでいた。これらのお湯は温泉ではなく白湯とのことでパス。

打たせ湯コーナーを備えた露天風呂

露天風呂もある。説明図によると岩風呂~足湯~打たせ湯の並びになっているはずのところ、実際は足湯がなくて岩風呂+打たせ湯だった。足湯は独立して別の場所にあったような気がしなくもないが、実際行ってみたわけじゃないし記憶があやふやだし、自信はない。

岩風呂はくびれがある複雑な形で、無理やり見積もると15名か、もしかしたら20名いけちゃうかもしれない大きさ。床のタイルのせいなのか、お湯が薄緑色に見えるおかげで硫黄泉ぽく感じられて温泉気分は盛り上がる。

岩風呂に昼神温泉についての説明板が立っていて、鉄道のトンネルを掘ってたら湧き出したとか、いろいろ書いてある。なお打たせ湯は一人用だった。

伊那華の本気が見えた、もうひとつの大浴場

翌朝起床後に入れ替わった男湯の方へ行くと、こちらの方が伊那華の本気というか、広さにも湯船にも力が入っていた。まず入って右手に洗い場が16名分。左手に電気風呂・バイブラ湯・寝湯の並び(非温泉)。奥に10名サイズの内湯メイン浴槽。

内湯メインはまあ前日の男湯と基本一緒ですね。湯口がライオンさんだったことがやけに記憶に残っている。

露天エリアには温泉の湯船が3つ。まず2~3名サイズの檜風呂。なんとなくの感想でいえばここが一番温泉らしい浴感だった。檜風呂ってのも気分がいいし、少し高い位置に作ってあって視野は広がるし、独占できるタイミングなら狙いたくなる。人気ありそうだね。

それから立ち湯。立ち姿勢なら3名いける。底からポコポコ気泡が上がってくるのが楽しい。温泉らしさはあまり感じないが個人的にはユニークで好み。それから10名サイズの岩風呂。ここもまあ悪くない。

まわりきれないので非温泉はパス

あとは非温泉とのこと。岩風呂の隣りにあるのが4~5名サイズの薬草風呂で、当時はカモミールだったかな。ちょっと忘れました。その奥に足湯。一番奥に打たせ湯。これらはパスしました。

どちらの大浴場も、どの浴槽も、おそらく満室に近い状態と思われる割には客が集中することもなくて全然密にならず、のんびり入ることができてよかった。まさに湯っ多利。


食材のチョイスは好きですね(個人の感想)

どれもよさげで目移りする夕食バイキング

伊那華の食事は朝夕とも1階のバイキング会場で。ナイトツアー参加者の夕食は17時15分開始だった。ツアーの出発が18時30分にロビー集合(なるたけ20分には来てほしい由)だからあまり余裕はない。テーブル席は各部屋ごとにすでに確保されていて即着席できた。出遅れると空席ができるまで待たされて、ほとんど食べる間もなくツアー集合時間、なんてトホホな事態にはならないから安心だ。
伊那華の夕食バイキング
はい、こちらが取ってきた料理です。まずはビールのつまみを意識して選んだ。長野らしいと思って鯉のあらいを取ってみた。選択肢は肉・野菜・刺身・天ぷら・煮物など幅広く揃っており、いかようにも組み立てが可能かと。

ひとつひとつが結構いけますね。2巡目に取ってきた中ではアスパラの天ぷらがうまかったし、信州といえばの五平餅とおやきもいただいたし、手打ちそばと稲庭うどんをどちらも取りたかったが腹一杯のため苦渋の決断でそばを選ぶなどのドラマあり。

定番+信州の味+地元食材のラインナップに文句なしです。欲を言えば集合時間が気になっちゃってちょっとせわしなかったくらいか。

朝食のバイキングにも満足した

朝食も同じバイキング会場で席は自由。朝7時に行ったら余裕で空席が見つかった。もちろん夕食ほどではないが料理の選択肢は十分にある。
伊那華の朝食バイキング
自分にしては多めに取ってきたんじゃないかな。海の町じゃないとはいえ、さっぱりとしたイカがちょうどいいアクセントになってくれて頼もしい。

最後はコーヒーで締めて終了。早めに行動したおかげでまだ8時にもなってない。これはもう出発前のラスト温泉に出撃するしかないでしょう。

 * * *

館内には卓球場・カラオケ・フィットネスジムまであった。設備・サービスの充実ぶりと大浴場の広さは大規模旅館ならではのメリットといえよう。バイキングの内容もなかなか良かった。今回は星空ナイトツアーが主目的だったものの、純粋な温泉旅行だったとしても満足したと思う。


おまけ1:天空の楽園・日本一の星空ナイトツアー

ゴンドラで標高1400mへ

当館の予約時に星空ナイトツアー付きプランで申し込んだ。18時30分にロビーに集合。数台のバスに分乗して、10分ちょっとのヘブンスそのはらゴンドラ乗り場まで送ってくれる。帰りのバスは21時30分から順次。
ヘブンスそのはら ゴンドラ
ゴンドラには15分間乗ることになる。気がつけば富士見台高原の標高1400m地点に連れて行かれてた。帰りのゴンドラ待ち行列で出遅れないよう、乗り場からあまり離れない場所にレジャーシートを敷いた。まだ空は明るい。昼の下界の猛暑が嘘のように風は冷たい。着込むもの必須。

シートに寝転がって空を見上げつつ、照明が落とされて運営さんの解説が始まる20時半を待つ。70~80分くらい中だるみの時間ができてしまうのはしゃーない。天文に詳しい同行メンバーの解説を聞きながら待った。まあまあ晴れてくれたのは幸運だ。

夏の星座がはっきりと

いよいよ時は来た。目を閉じてくださいとアナウンスがあってからカウントダウン。10・9・8…2・1・さあ目を開けて!…うぉおおおおお! あちこちで歓声が上がった。星がいっぱいだあ。※どうせスマホで撮っても真っ黒なだけなんで写真はない。

夏の星座の解説が続く。北極星、北斗七星、こぐま座、おおぐま座、はくちょう座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイル、いるか座、矢座、さそり座、射手座。気象条件が良かったため天の川も見つけやすかった。

前日の霧ヶ峰は雨で星どころじゃなかったから、こっちで見られて良かったですわ。あと夜の高原は想像以上に肌寒かった。旅館に帰ってから入った温泉は格別であった。


おまけ2:川下りで有名な天龍峡

なかなかハードな遊歩道

翌朝チェックアウト後、帰京する前に天龍峡へ寄ってみた。自分は3年前の冬に来ているので再訪ってことになる。今回は駐車場~姑射橋~龍角峯~つつじ橋~駐車場の周回コースを歩いてみた。前半はアップダウンがきつくて龍角峯に着いたらもうへろへろ。峡谷の景色を見て疲れを癒やす。
龍角峯頂上から見た天龍峡
反対側の、つつじ橋と天龍峡大橋(高速道路)もいいですな。
つつじ橋と天龍峡大橋
龍角峯から急な下りを経てつつじ橋を渡り、
龍角峯
対岸から龍角峯を見上げる。さっきまであそこのてっぺんにいたわけか。

新たな絶景スポット・そらさんぽ天龍峡

続いて車で三遠南信道・天龍峡PAへ(一般道からも入ることができる)。ここには天龍峡大橋の直下に設けられた歩道「そらさんぽ天龍峡」があるのだ。
そらさんぽ天龍峡
途中に2箇所ほど展望コーナーがあって、JRに飯田線の橋と遠くかすかにつつじ橋を望める。
そらさんぽ展望コーナーで見る絶景
これだけでも十分すぎる絶景だが、通過列車がいたらさぞかし見栄えのする景色だろう。