私事でいろいろ忙しくしている間に梅雨に突入してしまった。次はどこへ行こうと考えたときに、どうせ雨なんだよなと思うと、なぜか遠方は候補にしづらい。※過去には梅雨時に北海道へ行ったりもしたけど、一人旅じゃなかったので。
とりあえず今回は近県にしておこうと考えて千葉の房総半島に決めた。まあこれには別の動機もあったが。房総にはいくつか気になっている温泉があり、そのひとつが「勝浦つるんつるん温泉」だ。まず名前にインパクトがある。いったいどれだけつるんつるんになるというのか。行ってみよう。
…実際つるんつるんだった。鉱物臭のする黒湯系でなかなかの個性派温泉。風呂を出た後は有名な勝浦タンタンメンを初めて食べてみたが、すげー辛い。
勝浦つるんつるん温泉へのアクセス
勝浦といっても海のそばではない
勝浦つるんつるん温泉、ようは勝浦へ行けばOKといっても、外房の海のイメージがそのままあてはまらない。勝浦の海岸から10kmほど内陸にあるのだ。だから鉄道を利用する場合は勝浦駅から大多喜車庫行きのバスに20分くらい乗って勝浦温泉入口で下車、そこから徒歩10分となる。バスの本数注意。
今回は天気と行程の柔軟対応性を重視してレンタカーにした。過去に房総半島をドライブした時の経験から、狭い道を走るのに向く軽自動車を借りてレンタカー店を出発。しかしつるんつるんには直行しない。
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が好評だ。ドラマの重要な役どころでファンも多かったのが上総広常。双六の最中に襲われ、複雑な表情を見せながら果てた上総殿の最期は屈指の名シーンといえるだろう。そこへ至るまでの存在感が大きかったこともあるし。
上総殿ゆかりの玉前神社へお参りしてから
というわけで、まずは上総広常ゆかりの上総国一之宮・玉前神社へ聖地巡礼的なやつ。方角的には九十九里浜へ向かう感じになるかな。途中迷うことはないけどカーナビの誘導がないと駐車場がわかりにくいかもしれない。さあ着きました。
こちらが社殿になります。
近くには上総広常に関する解説と碑があった。頼朝の大願成就を祈願する文と甲冑を当社へ奉納するほどの志を持っていたにもかかわらず謀殺されてしまった上総殿の無念はいかばかりか…ぜんぶ鎌倉殿のせいです。あと大江広元。
なお境内には裸足で3周するとご利益ありそうな「はだしの道」なる玉砂利周回路がある。当時は試す人がおらず、自分もパス。気を満たしたい方はどうぞ。
よし、これでこの旅における上総広常テーマの最大イベントを完了した。あとは勝浦でつるんつるんになるだけだ。玉前神社から当湯までは車で30分くらい。海側へ出なくても、内陸部を南下する整備された県道が最短ルートになる。県道を外れて施設の駐車場へ至る数百メートルだけはすれ違いにくい狭い道だから注意。
これが勝浦つるんつるん温泉だ
さっそく鉱物臭がお出迎え
入館して受付で料金を支払う。800円。カウンターには食事類のメニューが置いてあり、休憩広間でいただけるようだ。勝浦タンタンメンもあるじゃないか。ここで食べるのはありかもね。しかし広間では老老男女の集団がカラオケ大会に興じていた。この中には入っていけないなあ、広間を貸し切ってるのかもしれんし、ちょっと今日はだめかな。
入浴に専念すべく廊下の奥の男湯へ向かう。途中には無料の貴重品ロッカーあり。また待合コーナーのような一角には有名人の色紙がいっぱい。
脱衣所へ入った瞬間に温泉の鉱物臭が鼻をついた。結構はっきりとした強い匂いだ。おお、こいつはなかなかやるな。いったいどんな温泉成分なのか…分析書をチェックすると「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉、低張性、アルカリ性、冷鉱泉」とあった。13.5℃の源泉を加温して提供、循環・消毒あり、加水なし。
ツルツル感はもちろんのこと、妙に体が温まる温泉
期待を込めて浴室へ。洗い場は9名分。浴槽はひとつ。全員が窓側を向いて、ある程度余裕を持って入れるのは4名までかな。互い違いに向かい合わせで詰めれば7名いけるかもしれない。
湯口の上には花が飾られており、ちょっと華やかになっている。そんな湯口から注がれるお湯がたくさん集まると濃い紅茶色を呈するため、浴槽の底はギリギリ見えるくらい。
浸かってみると熱すぎない適温だった。むしろ第一印象はぬる湯かと勘違いしたくらいに不思議と熱さを感じない。ずっと入っていられるんじゃないのこれ、との感想を抱いてしまったほど。ただしいったん湯船の外へ出ると、2度目の入湯からは適温なりの熱さを感じるようになった。これには温泉の特徴も関係していそうだ。なんだか妙に体が温まるお湯なのだ。前に房総の養老渓谷温泉に入ったときも温まりが良いと感じたな。
匂いを嗅いでみるとやはり鉱物系のアブラ臭がする。好きな人にはたまらんでしょうな。そして名前にもなっている「つるんつるん」だが、たしかにツルツル・ヌルヌルした感触がある。こういうツルツル系の温泉に入ると、自分はついお湯の中で両手をこすり合わせたり、肩から手首にかけてお湯を塗り付けるような動作をして感触を楽しんでしまう。薬用クリームのような効能を想像しちゃうし。実際、お肌のトラブルが治ったとの喜びの声を紹介する張り紙が脱衣所などにあったりする。
途中の清掃時間に注意
決して大規模ではない浴槽でも客は全部で3名だったからゆっくり浸かることができた。大きく取られた窓の外は低めの塀とおそらくアジサイの花(植物のことはよく知らないんで違うかも)。それらを眺めながらの鉱物臭+ツルツルの熱すぎない黒湯はなかなかの癒やし体験だ。
やがて13時30分が近づいてきた。13時30分から14時30分までは清掃のため入浴できない。第一部終了ってところか。すでに50分ほど滞在してすっかり満足したので終了前にあがることにした。ちなみに食事はたしか11時からで13時20分がラストオーダー。清掃時間中に食事する作戦はできないから注意しよう。
* * *
その名に違わぬ勝浦つるんつるん温泉。感触・匂い・見た目の色に加えて、出た後のぽかぽか温まり具合も印象深い。この個性と熱量は上総殿を思わせるな。と、無理やり結びつけてみる。
おまけ:辛さ際立つ勝浦タンタンメン
当湯での食事はあきらめたが、やっぱり勝浦タンタンメンが食べたくなってきた。そこでスマホで付近を検索して見つけたのが「元祖勝浦式担々麺 江ざわ」。わりと近くに有名店があるとはラッキー…じゃなかった。もう14時近いのに1時間待ち…だと…? あきらめました。すごい人気ですな。
次に向かったのは「ラーメン松野屋」。こちらもすごい人気。駐車場は他県ナンバーがずらり。しかしさすがに1時間待ちってことはなさそうだったので覚悟を決めた。シートに名前と車のナンバーを記入したら、行列を作らないように車内で待つルール。
20分くらい待って入店。普通のラーメンや他のメニューもある中で初志貫徹のタンタンメンを注文。初めてで何もわからんので中辛・大辛といったオプションやトッピングなしで挑む。よくかきまぜて、スープは底の方からどうぞ、とのこと。
一般の担々麺と違って肉味噌がない(トッピング注文すればある)。メインの具材は玉ねぎだ。強烈なのはラー油そのまんまに見えるスープ。真っ赤なラー油の中を麺が泳いでいる。食べたら二口目からどえらい辛味の刺激が襲ってきた。口の中がヒリヒリするぅ。一口放り込むごとにむせそうな勢い。すげーな。
個人的にはオプションなしで十分。中辛とかにしてたらやばかった。しかし最後はスープをだらだらと飲んでしまったりする不思議。食べ終わったら体が熱いのは、まるでつるんつるん温泉のごとし。