ぬるい本格派温泉と効き目抜群のラドン浴 - 竜王ラドン温泉

竜王ラドン温泉(ホテル湯ーとぴあ)
GW付近に決行した遠征の2日目に諏訪から甲府へと移動した。昼間はやっぱり温泉めぐり。ただし時間のある限りモーレツに温泉施設を回るなんて数を追うようなことはしない。お気楽に、スーダラ節でいきましょうや。1箇所で十分。

だからこそ強く興味を持ったところへ行ってみたい。甲府地域で駅から徒歩圏内という条件を加えて探してみると竜王ラドン温泉にビビビッときた。宿泊もやっており、そちらは「湯~とぴあ」なる名前のホテルで営業している。

行ってみるとセールスポイントのラドンのみならず、純粋に温泉としてみても結構なクオリティだった。しかもぬるめで長湯可能。これだから温泉めぐりは、わかっちゃいるけどやめられない。

竜王ラドン温泉へのアクセス

竜王ラドン温泉の最寄り駅はJR中央本線・竜王。甲府から一駅だけ松本寄りになる。松本方面から甲府へ移動してくる者にとってはちょうどいいロケーションだ。たとえば自分の場合、下諏訪・三代目おくむら旅館をチェックアウトした後に当館へ向かったのである。

下諏訪駅では列車待ちの間に観光案内所へ立ち寄ってみたら、鉄道マニアが喜びそうな展示がいっぱいあった。行先表示幕とか。

加えて御柱祭に関する展示も多い。全然意識してなかったけど2022年は御柱祭の年だったんだな。どのみちコロちゃん事情で観光客に公開するどころではないだろうから、見学するなら7年後だな。その未来でまだ第38波とかいってて17回目のワクチン接種が議論される世の中だったらどうしよう。役所で免罪符を買うとマスク不要とか県外へ出るのに通行手形が必要とか。

…いかん、話が脱線しすぎた。しかし自分が乗った上り列車はレールを外れることなく快調に走った。車窓の景色を楽しもうと思ってたらウトウト眠ってしまい、気づけばあっという間にもう韮崎あたりまで来ていて、ほどなくして竜王に到着。

駅から出るバスは本数も少ないし目的のラドン温泉を通ってくれるわけでもない。歩いてしまうのが手っ取り早い。1km・10~15分だ。迷うような道ではない。南口を出て素直に南下→大きな国道20号にぶつかったら歩道橋で向こう側へ→20号沿いに南東(中央道甲府昭和IC方面)へ。
この看板が目印
このような「驚異の秘泉」の看板が見えたらゴール。ちなみに20号沿いをさらに(ここまでと同じか、それ以上の距離)歩くと、アワアワぬる湯で知られる山口温泉がある。


温泉そのもののクオリティが高い

レトロフューチャーを連想させる雰囲気

玄関はたぶんホテルと共用。入館の際、靴をしまう場所が日帰り客と宿泊客で違うから注意。すぐに券売機があり、700円を投入。フロントから大浴場へ向かう通路には昭和チックというかレトロフューチャーな感じの機械が並んでいた。ラドン発生器ユニットですと。こういうのを見るとフォールアウト3(またはニューベガスまたは4)というゲームを思い出してしまうな。S.P.E.C.I.A.L.な機械だぜ。
ラドン発生器ユニット
大浴場の男女入れ替えとかの運用はよくわからない。少なくとも当時の男湯の脱衣所はやたらと広かった。縦長のロッカーが並び(コイン不要だったか100円リターン式だったか、とにかく無料だったはず)、コインランドリーのコーナーまであった。腰を据えてラドン浴療養しに来る客がいるってことだろうか。

分析書には「含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」とあった。加水・加温・循環・消毒なしの正真正銘の源泉かけ流しである模様。すげー。

浴室に入ると、右手に奥行きのある細長い一般浴槽、正面にラドン浴室、左手が別室風に区切られた洗い場と水風呂。洗い場は10名分。

この水風呂エリアには病院で見かけるストレッチャーっていうの?…患者を乗せてガラガラ運ぶ…に見えるやつが置いてあったため、その一角だけソリッド・シチュエーション・スリラー映画を想起させ、妙な緊迫感を醸し出していた。フォールアウトだったら絶対にフェラル・グールが潜んでる。

ぬるめ・泡付き・硫黄香は相当な実力

ラドン浴室は後のお楽しみに取っておいて、まずは右手にあった8名サイズの一般浴槽に入ってみた。ここの湯口は高い位置にあって打たせ湯のようになっているけど実際に打たせたら顰蹙だと思う。温泉を持ち帰ることについてのお約束が掲示されているところを見ると、飲泉可能なのかもしれない。そういうネット情報もあり。

浴槽の底がヌルっとしていて滑りやすいからご注意。お湯の見た目はクリアな黄褐色。浸かってみたらぬるめだった。40℃は下回っているはず。好みのゾーンだからうれしいね。しばらく湯の中にいると、うぶ毛などに微小な泡が付き始める。こいつは泡付きのする温泉といってもいいだろう。

お湯の匂いを嗅いでみたら軽く硫黄香がしたのもポイント高い。ラドンのことを抜きにして湯質だけに注目してもクオリティはかなりのものじゃないか。ちなみにお湯は硫黄香だったが浴室全般にはどことなくアンモニア臭を感知した。いずれにせよ本格温泉のなせる業であることは間違いない。

しかも他の客はみなラドン浴室へ吸い込まれていくため、一般浴槽には全然来ない。ほとんどの時間が独占タイムだった。この浴槽だけでも満足度はかなり高い。


これが噂のラドン浴室だ

まるでサウナ気分の熱気

では本丸というべきラドン浴室へ。サウナ室にも見える扉を開いて進むと内湯浴槽がひとつ。きっちり詰めれば横並びで7~8名いけそうなサイズ。壁にはラドン温泉の解説や「健康を取り戻すため我慢して10分は入ってください」と書いてある。承知いたした。

こちらのお湯は先ほどよりも熱めになっていて適温ど真ん中。ただし室内がサウナとは言わぬが妙に熱気がこもっていて、お湯の特徴としても不思議とじわじわ熱せられてる感がある。これがラドンの力か。「我慢して10分~」の言葉はダテじゃない。

温泉じたいの泡付きとは別に、浴槽のところどころにブクブク泡が出ているのは、ジャグジー要素を取り入れているのか。まあとにかく推奨された通り10分間お湯の中でじっとしていた。ご丁寧に時計もあります。ノリとしてはサウナっぽいな。

なんかすごい効いちゃった

10分後…いやあ、なんかすっかりできあがっちゃったよ。一種の満腹感を覚えてラドン浴室を出た。たいがいの客はこの後水風呂へ直行する。本当にサウナみたいだな。自分には水風呂は慣れない冷たさで入れなかった。

おそらくラドン→水風呂→ラドン→水風呂…を繰り返して整えていくんだろうが、この時はラドン浴室の効果に一発でアテられてしまったので、以降はぬるい一般浴槽でまったりと過ごした。湯あがり後は体が驚くほどぽかぽかする。ラドン温泉おそるべし。

 * * *

自分のようなぬる湯好きも一般浴槽で満足できるし、もちろん本来のアピール要素であるラドン浴・サウナ的な整い目当てでも満足できる実力派。とにかく良い温泉に入るということにフォーカスできる者にとって、ここはホテル名の通り、まさに湯~とぴあであろう。そう、ユートピア…よろしく~ねっ。