機関車トーマスと秘境駅の絶景スポット - 川根・奥大井観光

奥大井湖上駅
今回の寸又峡への旅はただ温泉のためだけではない。過去に行ったことがなく、たぶん近寄ったこともないから、どんなところなのか全然わかってなくて、どうしても体験してみたかったことが大きい。南アルプスの山深くに分け入った、ものすごい秘境なのではないかというイメージを勝手に膨らませていた。さあどうなんだ。

しかし一人で行くにはちょっと心細い。車なしだと行動範囲が制限されそうだし(おそらく温泉宿に泊まって帰ってくるだけになってしまう)、車があっても自分の運転技量じゃ秘境の山道は無理くさい。今回は幸いにもグループ旅行として実行されることになり、ベテランドライバーが車を出してくれた。おかげさまであちこちをまわることができた。

大井川鉄道を走る機関車トーマス

SL見学スポットになっている道の駅・川根温泉

東京方面から寸又峡へアクセスする者にとっては新東名様々である。島田金谷ICを出たらもうそれっぽいエリアになっている。思ったよりスムーズに着いた。IC近くの交流拠点「KADODE OOIGAWA」については別記事に書くので割愛します。機関車の展示を見たい方はどうぞ。

もちろん寸又峡そのものまではまだ50km以上ある。さすがにそんなに甘くない。まずは川根本町の「道の駅 川根温泉」を目指した。ここは大井川鉄道が運行するSLの有名見学スポット=大井川第一橋梁がすぐそばにあり、SLの勇姿を見るために立ち寄る人も多い。
大井川第一橋梁
道の駅としては売店なんかは小規模かな。名前の通り温泉が売りなんでしょう。どんな温泉かは入ってないからわかりません。ただ、風呂場にいながらSLを眺望できる気がする。だって塀越しに仁王立ちするおじさまが見えたもの。

さてSLの通過時刻を待つこと20分。ついにその時が来た。今まさに鉄橋の上をSLが…いや機関車トーマスが…さしかかった。撮り鉄チャーンス!!
橋を渡る機関車トーマス
客車はお子様を中心に乗客でいっぱい。トーマスに乗って、いい思い出づくりができたことだろう。こちらに向かって手を振ってくるからこちらも振り返す。では我らも出発しよう。

千頭駅のトーマスフェア

ちょうどトーマスと追いかけっこをするくらいのペースで、トーマスとほぼ同時に終点の千頭駅に着いた。どうやらこの日は駅でトーマスフェアという催しをやっているみたい。駅前の駐車場は残念ながら満車で、徒歩10分くらい先にある臨時駐車場へ入れる羽目になった。

千頭駅でトーマスフェアの入場券(駅の通常の入場券と合わせて600円)を買って駅のホームへ。ちょうど機関車が単体でホームに入線してくるところだった。
千頭駅のトーマス
そして客車とお見合い型の連結作業が始まった。ガッチャーン。
機関車と客車の連結作業
引いて&押して客車を隣のホームへ移してから、機関車だけがまた切り離されて転車台へ移動していった。向きを変えるわけだね。もちろん撮影必須のスポットなのだが、すでに黒山の人だかりができていて人間の頭しか写らない状況。どうにかアングルを工夫してもこれが限界。焦って指が写り込んじゃってるし。
転車台で向きを変えるトーマス
転車台は機械で駆動するのでなく人間が押して回す。なんだか北斗の拳の「まわせまわせ~心をこめてまわすのだ~」を連想しちゃったよ。ちなみにどの位置にいる見学者にも1回はトーマスの正面顔が見えるよう、わざわざ1回転半してくれた。


有名絶景スポット・奥大井湖上駅の展望所

想像以上の急な登りが待ち受ける

千頭駅周辺はそこそこ開けた集落であるうえに駅がファミリー客でごった返しており秘境感はゼロ。一方、大井川鉄道の千頭駅から先は小さなアプト式列車が走る井川線という別路線になり、観光客の密度も減ってくる。お次はその井川線・奥大井湖上駅へ。知る人ぞ知る絶景スポットらしい。

公式らしき駐車場へ止めてからが大変だった。短距離とはいえ、ちょっとした山登りだ。高低差があるから距離に比して時間はかかるし疲れが半端ない。本当に大変なのでお覚悟を。

登った先で道が二手に分かれ、左へ行ったら「有名絶景スポットではない方の展望台」へ出た。たしかにネットなんかに出回っている画像の逆アングルだな。かわりに鉄橋上に作られた駅のプラットホームが近く見える。
奥大井湖上駅

有名になるだけのことはある、良き眺め

いったん分岐点へ引き返して今度は右へ。またきつい登りがあって、いよいよ有名絶景スポットに着いた。あー疲れた。頑張った甲斐あって冒頭写真のような景色を見られた。スカッと晴れていればもっと青さが映えたんだろうけど贅沢は言うまい。

ここでも列車の通過時刻を調べてあった。しばし時を待ち、小ぶりの列車がかなりゆっくりとしたスピードで入線してくるところを見学。おーなるほど、いい眺めだ。なお、駅の前にはレイクコテージ奥大井という施設がある。
奥大井湖上駅とアプト式列車
奥大井湖上駅へは列車に乗るか、我々と同じくプチ登山をするかでしかたどり着けない。ある意味で秘境。しかし苦労してたどり着いた絶景スポットは県道388号からすぐのロケーションだということが判明した。車は進入できないものの、県道を外れたら高低差ほぼなしのアスファルト舗装の道を徒歩1分。なんてこったい。近くに駐車場さえあればアクセス容易だったのにね…平地の余裕がないからこうなっちゃったんだろう。


しぶきが上がる長島ダム

寸又峡温泉へ向かう途中で長島ダムへ寄ってみた。わりとフレンドリーというか、「関係者以外は入ってくんな」感がなく、ダムの結構そばまで近寄らせてくれる。
長島ダム
そして隣接公園エリアへ通ずる怪しいトンネルを発見。井川線の旧トンネル跡とのことだ。鉄道に詳しいメンバーによれば、旧路線はダムに沈み、井川線は現路線に付け替えられた。その関係でどうしても無茶な急勾配になってしまうためアプト式列車になったそうだ。
井川線の旧トンネル跡
ダムに関連して「しぶき橋」も見どころだ。橋の上からダムの放流を見られる。なかなかの迫力。
しぶき橋
風向きによってはしぶきがこちらへ襲いかかってくる。いや、しぶきなんてレベルじゃない。下手するとびしょ濡れになるぞ。スプラッシュマウンテンかよ。
しぶき橋に迫るダムの放流
観光設備が充実しているというよりは「好きに見てくれ」的な放置感が心地よいダムであった。これで初日のツアーは完了。あとは温泉でゆっくりしよう。