2022年の早春、すでに茨城と伊豆の温泉へ行っておきながら、調子こいてさらにもう一発の花火を打ち上げるべく行動に移した。諸般の事情からこの先ちょっと遠征が停滞する可能性もあったので。やれるうちにやっておこうと。
行き先はしばらくご無沙汰していた群馬県。時期的にそろそろ雪の心配はないかなと思い、群馬北部へ(結果的には甘い想定だった)。鉄道+バスで行ける範囲から行き先を検討し、温泉宿に入る前の立ち寄り湯として敷島温泉「ユートピア赤城」をピックアップ。駅から徒歩圏内だったものでね。
ここは福祉センターの側面もあるみたいで、立派な建物の割にはお高くない利用料で入浴できた。湯量豊富な内湯と露天風呂を備え、尖った個性はないものの浴感はなかなか。
敷島温泉「ユートピア赤城」へのアクセス
今回は久しぶりに鉄道旅。経費節減のため新幹線には乗らず各駅停車でゴリ押しする。東京近郊からだと高崎線(湘南新宿ラインや上野東京ライン)を乗り通して、まずは高崎を目指す。
高崎に着いたら構内のおそば屋さんで朝兼昼食を。駅ホームの立ち食いそばと新幹線改札付近の腰掛け食い(?)そばから後者を選択。若い頃に利用した思い出があってね。当時は旅のワクワク感とともに本格的な田舎そばだと思って食べた記憶あり。いま食べたら万人向き安定のファストそばでした。運営業者は代わっているかもしれんが。お手頃なのは確かです。
高崎から水上行きの上越線へ乗り継いで約30分、伊香保の玄関口・渋川駅の次が敷島だ。駅を出たら右手・渋川へ戻る方向へ数分歩き、踏切を渡る。渡った先にぼけ除地蔵尊を発見。かぼちゃはぼけ防止の特効薬だって。
地蔵尊の付近では利根川沿いに一段低地となったエリアを見下ろせる。視界の真ん中らへんに映る大きい施設がきっとユートピア赤城じゃないか(てきとう)。
…違った。左のレンガ色っぽい壁の建物だった。この施設の入場口に近づいて最初に目に入るのが「だれでも広場→」という看板。これには惑わされず入場口からまっすぐ中へ進もう。そこがユートピア赤城の駐車場だ。建物を見上げると2階に露天風呂の目隠しらしき囲いが見えて「ははーん、あそこだな」と合点がいく。
なお、東京方面から車利用の場合は関越道・赤城ICで下りて10分程度で着く。
しっかりしたつくりで規模感もある施設
館内に飲泉所があった(休止中)
入館したら100円リターン式の下足箱に靴を入れてフロントへ。利用料は500円。ここは埼玉・群馬で温泉施設を展開する花湯の森が運営しているようだが、民間経営の日帰り温泉にしては料金控えめなのは、もともと渋川市が運営していたという公共的な経緯によるのかな。
フロントで受け取ったレシートは出場時にフロントへ提示することになるから、すぐにクシャッと捨てるのはご法度。要注意。付近のお土産コーナーはこんな感じ。
2階へ上がるとレストラン・休憩広間・大浴場がある。大浴場の前にはこの手の施設には珍しく飲泉所があったけど、たぶんコロちゃん対策のため無効化されていた。※民営化の時点で飲泉サービス廃止するんだったら撤去しているはずだからね。あー飲んでみたかったな。
なかなかのご盛況だった大浴場
大浴場は「リョウの岩」「とねがわ」と名付けられた2箇所があり、この日はとねがわが男湯だった。おそらく定期的に男女入れ替えあり。
脱衣所には100円リターン式のロッカーが並ぶ。2階へ上がってすぐのところに両替機があったから問題ないでしょう。掲示された分析書には「単純温泉、弱アルカリ性、低張性、高温泉」とあった。加水なし、加温・循環・消毒あり。
浴室はわりと広い。かけ湯は複数人さばける大きさだし洗い場は13名分。それでも洗い場の6割くらいが埋まっている感じで、男湯全体の客数はお年寄りを中心にそこそこ多め。平日の昼にしては盛況ですな。
まずサブの湯船から紹介すると、小さな水風呂と2名サイズのバイブラバスがある。それからお湯を張ってない1名サイズの空の湯船。なんだこれ? 湯気を浴びるミストサウナ的なやつかなと思って、中央の出っ張りにしばらく腰掛けていたら、正解は「当面休止します」と書かれた打たせ湯だった。恥ずかしー。
広さと湯量たっぷりのメイン浴槽
主役となる内湯のメイン浴槽は相当に広い。縁に沿って並ばせるだけで20名はいける。中央の空間も含めれば30名でも入れそう。ここに無色透明のお湯が湯口からザバザバと豊富に注がれている。設置された温度計は41℃を指していた。
浸かってみると温度計の数字ほどは熱くない。ほんのり温まる感じで当日の気象条件にはちょうどいいんじゃないですか。お湯に関して目立った特徴はなく、強いていえば若干ぬるっとした感触がなくもない。しかし普通の沸かし湯とは明らかに違う、温泉効果がじわっと押し寄せてくる感覚はあった。
広いおかげで他の客が5~6名入っていたところで全然窮屈じゃない。余裕でパーソナルスペースを確保できるのがいいね。このご時世においては安心感にもつながる。熱すぎないためわりとゆっくり浸かれるので、逆にのぼせに注意。立ち上がった際にクラっとめまいが。
全天候対応の露天風呂もあります
露天風呂もある。三角おむすびをガチャガチャいじくったような形容し難い形をした浴槽は8名サイズ。湯口からはやはり豊富な量の投入が見られる。こちらも温度計は41℃を指していた。
お湯の特徴は内湯と一緒。よくよく見ると微妙に湯の花状のものが漂っていることに気づく。匂いにはっきりした主張はなかったものの塩素臭はしない。露天である分だけのぼせにくいから内湯以上にじっくり入っていられる。
なお、頭上を建物の天井が覆っているから全天候型露天といえる。目隠しの囲いにより湯船の中から外は見えないが(囲いがなかったら駐車場からこっちが見えちゃうし)、立ち上がれば首から上が囲いの高さを超えて外が見えるようになる。視界は駐車場メインの敷地内であり利根川とかは見えないけどね。
事前に予想していたよりは長い時間を過ごしてユートピア赤城を後にした。おかげで敷島駅へ向かう時刻が想定より遅くなったため、電車の時間が気になって急坂を走って登る羽目になり、心臓バクバクの息ゼエゼエ。せっかく温泉に入ってこれかい。
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地元のお年寄りに人気の施設という雰囲気だったユートピア赤城。でも余裕ある広さと湯量で窮屈さはまったくない。利根川のような懐の広さ。
ちなみに当館の近くには「ふれあいの家」という入浴施設もあったようだが、残念ながら閉館してしまった。他には「ヘルシーパル赤城」という温泉付き宿泊施設があり、こちらでも日帰り入浴が可能だ。お好みでどうぞ。