奥熊野の“川と共にある”温泉宿 - 川湯温泉 山水館 川湯みどりや

川湯温泉 山水館 川湯みどりや
秋の紀伊半島ツアーの2日目は最後が熊野本宮大社だったので近くの川湯温泉に宿を取った。川湯温泉といえば川の中に作られる巨大な仙人風呂が有名だし、2018年の台風被害のニュースも記憶に残っている。あと個人的には和歌山県の温泉宿泊フラグが立つことで野望に一歩近づく。

お世話になったのは「山水館 川湯みどりや」。相応に規模のあるホテルで、一人旅でもグループ旅行でも使い勝手のいい安定のハード面とサービス面。あのホテル浦島チェーンの系列だ(自分は関西人じゃないから“あの”と書くほどなじみはないけど…)。

お風呂面の売りは、やはり河原に設けられた露天風呂ということになるだろう。川を目の前にしたロケーションはとにかく開放感がすごい。まさしく川湯。

「山水館 川湯みどりや」へのアクセス

電車+バスであろうと車であろうと、川湯温泉へのアクセスは熊野本宮大社と似たようなもの。電車ならJR紀勢本線・紀伊田辺駅または新宮駅から本宮大社行きのバスに乗れば途中で川湯温泉を通る。

車なら本宮大社から10分。当館へ直行するなら温泉街を通らず、大社→国道168号→国道311号田辺方面へ右折→渡瀬で川湯に直結するトンネルへ左折、のルートがいいかもしれない。トンネルを抜けたらすぐにみどりやが現れる。

実際の我々は温泉への興味と熊野古道の風情を理由に大社から湯の峰温泉を経由して当館へ向かった。湯の峰温泉前後は急坂の山道だったり集落内のごく狭い道だったりするので、川湯温泉が目的地であるならば、よほどの動機がない限り我々のルートはおすすめしません。

あと主要都市からどれくらい時間がかかるとかはよくわからない。なにせ奈良県の大和八木を出発し、2日間かけて紀伊山地をうねうねと走ってきたので実体験ベースの見積もりができない。なんだかひたすら山の中を走っていたなあ。紀伊半島広すぎ。

みどりやに着くと、隣の敷地の駐車場を使うようにとのことだった。お隣さんは「山水館 川湯きのくに」。ここは休館中のようですね。みどりや・きのくに・そしてもうひとつ「山水館 川湯まつや」とあわせて山水館グループを形成しているようだ。ホテル浦島傘下の山水館グループの中のみどりやって理解でいいのかな。


リバービューのお部屋

ではチェックイン。場所が場所だけに熊野に関するポスターや案内が掲示されていたり冊子を置いていたりする。ロビーの奥には大浴場へと下っていく階段があった。もちろんエレベータでも下りて行ける。
みどりやのロビー
この規模だとお土産コーナーもしっかりある。一番奥にビールの自販機あり。
お土産コーナー
案内された部屋は6階の10畳+広縁和室。なかなかグレード感があってよろしいのではないかな。尾鷲のミネラルウォーターが1人1本用意されていたし、ウェルカムお菓子は1人2種類ずつ。得した気分だぜ。ふとんは夕食中に敷いてくれる方式。
みどりや 10畳客室
シャワートイレ・洗面台あり。金庫と空の冷蔵庫あり。WiFiはまったく気にしてなかったけどたぶんあるんじゃないか。携帯の電波は特に問題なく入る。客室としては良好な水準で文句なし。入浴用のタオルに旅館名じゃなく「ホテル浦島チェーン」の文字が入っていたのが妙に印象に残った。

外の景色はこのような感じ。眼下には熊野川の支流・大塔川。真正面のアングルで少し下を向くと露天風呂が写ってしまい炎上事案が発生しかねないため、カメラを向ける先には気を使った。ちなみに露天風呂は男女とも湯浴み着で入ることになっている。
窓の外に見える大塔川

まさしく川の温泉

露天へ出るなら湯浴み着を

みどりやの大浴場はフロントを2階としてひとつ下がった1階にある。エレベータを降りてレストランの前を過ぎた先に男湯と女湯が並んでいる。時間による男女の入れ替えはない。

脱衣所では脱衣かごのかわりに鍵付きのロッカー(コイン不要)を利用する。中央には浦島チェーンのタオルが山積みされていた。客室からタオルを持っていかなくても毎回ここにあるのを使えばいいじゃん。ただしバスタオルは置いてないので客室から持っていく必要がある。

男性用の湯浴み着も山積みになっていた。露天風呂へ入る前に装着しましょう。膝上から腰までを隠す感じで巻きつけて使う。着用方法を解説したイラストあり。

なお、分析書によれば泉質は「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉、中性、低張性、高温泉」とのこと。みどりやのホームページによれば自家源泉で飲泉所もあるっぽい。まったく見落としていた…。

大小2つの湯船がある内湯

宿の規模相応の浴室には15名分の洗い場。浴槽は2つに分かれていて、一方が2名規模の小さいやつで、もう一方は向かい合わせに6名×2列まで入れそうな大きいやつ。両者をまたぐように湯口が設置されており、それぞれに投入されているお湯を見ても違いはない。熱いぬるいの温度差も感じなかった。

ひとまず大きい方へ入ってみた。標準的な適温。お湯は無色透明で泡とか細かい粒とかはないんだけど、たまに糸くずの塊のような白い湯の花が漂っているのを見かける。また、これといった癖のある匂いはしなくて無臭に近い。万人向け。

広いわりにあまり人は来ないので独占風に使えるのは良い。夕食の後に単身入りに来たときは暗いから露天はやめとこうと思ってここにずっといた。

試しに小さい方の浴槽にも入ってみた。やっぱり大きい方とのお湯の違いはわからない。基本的には一人用みたいなものだから、陶器風呂なんかと似た個室感を味わいたい場合はこっちかな。まあ状況に応じて好きな方を選べばいいだろう。

川湯温泉らしさが表れた露天風呂

続いて主役ともいえる混浴露天風呂へ。湯浴み着を腰に巻いて外へ出ると目の前に10名規模の岩風呂があった。頭上の半分ほどをヨシズの屋根が覆っており、これは本館の建物からの視線に対する目隠しにもなっている。

浸かってみると内湯よりややぬるい。長くゆっくり入れるのは露天風呂の方だ。そして目の前がすぐ川。シチュエーション的に岡山湯原の砂湯を思い出すな。ただしこちらの川は水深がかなり浅いし、水が澄んでいて流れが緩やかなおかげで川底がめちゃくちゃはっきり見える。

建前上おすすめしないが実際のところ川に入っていく人たちもいる。どうやら川の中にもお湯が湧いているスポットがあり、マイ仙人風呂ごっこをやっちゃえるようなのだ。とはいえ川の水と混じるからそんなに温かくない、むしろ冷たく感じると思うけど。

ともかく開放感あふれる環境に身を置きながら温泉に浸かれるというのは貴重な体験だ。

ちなみに自分の入った岩風呂から10~20歩くらい離れた場所にある同じような岩風呂は女湯からまっすぐ行ける位置関係と思われる。とくに男性用・女性用の区別はないのでどっちに入ってもいい。たとえばひとつの岩風呂に家族みんなで入るなど。


いろいろな食材で自由度の高い食事

夕食はハーフバイキング

食事は1階のレストランで提供される。夕食の際はすでに決められたテーブル席へ案内された。これはハーフバイキング方式だからであろう。先付・お造り・鍋物がすでにセッティングされていた。着席後にバイキングコーナーから取ってきたのを加えた状態がこちら。
みどりや 夕食
鍋物がなんだったかもう忘れてる…いかん。おそらく牛鍋ではないかと思う。いま見ると我ながら「なんでもっとたくさんバイキング料理を取ってこなかったんだ」と突っ込みたくなるな。さすがにこれで終わりという気もしないから、あとで第2弾を取りに行ったんでしょう、きっと。

提供される料理の種類は十分に多かった。和洋中いろいろあったはず。さんま寿司とか鮎の塩焼きなんてのもある。全種類制覇には相当な胃袋の容量が必要だろう。個人の感想としては十分に満足した。

朝はフルでバイキング

朝食は自由席。7時のオープン直後に行ったら(そのために5時に起きて朝風呂した)余裕で座れた。こちらは完全なバイキング方式で集めてきたのがこれ。
みどりや 朝食
相変わらずケチくさい取り方だが朝はこんなもんでオッケー。朝も多種類のメニューが提供されており、米系でもパン系でも自在に構成できる。品切れを起こすこともなかった。

なんか思い出してきたぞ。和歌山だからと思って梅干しを追加で取ってきたら甘いタイプのやつだった。どちらかといえば酸っぱいタイプが好きなんだけどね。デザートも和歌山だからの理屈でみかんまるごと1個をいただいた。でコーヒーで終了。コーヒー1杯の量がめっちゃ多い。

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熊野古道をテーマにした観光にはぴったりのロケーションに“川湯”としかいいようのない自然派の露天風呂。隙のない安定感を誇るみどりやのおかげで我らの紀伊半島ツアーは快調に後半戦へ突入したのであった。