新潟県南魚沼市の五十沢温泉「ゆもとかん」は、日本酒の銘柄としても知られる八海山と、長尾・上杉氏ゆかりの坂戸城があった坂戸山に挟まれた場所にある。南魚沼市周辺には結構いろいろな温泉があるのだが、時間の都合やアクセス手段の問題でスルーしてしまうことが多かった。今回それらの悩みはないから大丈夫。ということで以前から気になっていた当館へ立ち寄ってみることにした。
ひとことで言えば豊富な湯量を生かした広い風呂。付け加えるならタマゴ香る温泉。内湯の窓や露天風呂からのぞく周囲の田園風景も自分のような者にとっては癒される。まあなんというか懐が深いですな。
五十沢温泉「ゆもとかん」へのアクセス
六日町駅から車は必須
五十沢温泉ゆもとかんの最寄り駅はJR上越線・六日町。といっても近くはない。車でも10分だから徒歩は無謀。路線バスも通ってないと思う。ネットで調べると六日町駅前で実験的にレンタサイクルを始めたような情報も見かけるのだが、自転車でもなかなか大変じゃないかな。雨だとどうしようもないし。
この旅ではレンタカーを借りていたからそのへんは大丈夫だ、問題ない。前泊した松之山温泉・野本旅館をチェックアウトして美人林と棚田を見学しつつ、ほくほく街道を通って十日町から南魚沼へやって来た。途中の薬師トンネルってのがすごく長かったなあというのと、八箇峠道路ってのが便利だなあと思いました(小並感)。
あとは魚野川を渡って県道233号へ。この道をずっと行くとやがて三国川ダムとしゃくなげ湖へ到達する。しかし過去に行ったことあるから今回はパスして温泉に集中だ。魚野川を渡って5~6分で当館の看板が出てきたら右折。つきあたりがゆもとかんだ。
思ってたより大規模な旅館
現地で目にしたゆもとかんは想像していたよりも大規模だった。冒頭写真に収まりきらないもっと左側奥に背の高い宿泊棟らしき建物がある。駐車スペースも広く取ってあり、当時は平日昼ということもあって超余裕で止められた。
駐車場のまわりに広がる田園風景を撮影してみた。目を向ける方角次第で八海山へ連なっていくと思われる小高い山や坂戸山が見える。
取り立てて特殊な地形というわけではないけどここに温泉が湧いているのか。井戸を掘ってたら50m足らずで温泉に当たったとのエピソードあり。すげーな。
タマゴ香る一般内湯
一般の内湯と露天風呂は離れた場所にある
入館するとパンダとマスク&フェイスシールドを付けた熊さんがお出迎え。その奥がロビーになっている。
玄関で脱いだ靴はビニール袋に入れて脱衣所まで持ち歩いてくださいとの張り紙があった。もともとそうなのか、一時的な感染対策なのかは不明。で、フロントで料金を支払う。900円。少し先へ進むと色紙や写真がいっぱい飾ってあった。有名人が多数訪れているようだ。
やがて通路が二手に分かれた。右へ進むと混浴の岩風呂・露天風呂。左へ進むと一般の男女別内湯。まずは一般の方へ行ってみようか。男湯の脱衣所内には鍵付きのロッカーが並んでいる。掲示された分析書には「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とあった。
お湯のクオリティは高い
浴室には誰もいない。よっしゃあ独占。6台あるカランのひとつを陣取りシャワーを浴びたところ…なんだ? タマゴの匂いがするぞ。もしやカランのお湯も温泉なのか? 調べてみてもそういった情報は見当たらないし自信はないが。
四角い内湯浴槽は向かい合わせに6名まで入れそうなサイズ。湯口が七福神の像になっているのがユニークだ。頭に乗せているものと手に持っているものからすると恵比寿天かな。左に抱えた鯛の口からドバァァーッと出てきたお湯をいったん皿で受けてから浴槽内へ投入。
浸かってみると適温。熱すぎず、しかしぬるくもない。お湯に色や濁りはなく無色透明。目立った泡付きや湯の花は意識されなかった。それよりもやはり硫黄ぽいタマゴ臭が一番印象に残った。おそらく100%源泉かけ流しなんでしょう。いいお湯だ。
窓の外にはのどかな景色。しかも独占状態のおかげで大変リラックスできた。個人的趣味でいえばもっとぬるいお湯に長時間浸かるのを好むとはいえ、なかなかナイスな入浴タイムを楽しませてもらった。
広々とした露天風呂を独占
やや熱めの岩風呂
お次は岩風呂・露天風呂へ行ってみよう。そちらにはロッカーがないそうだから服だけを着て所持品は内湯のロッカーに入れたままにして移動した。他に客がいないからできた芸当で、混雑時に同じことをやってロッカーをむやみに占有したら顰蹙ものだろう。公式には、貴重品の保管が気になる方はフロントへ預けてくださいとのこと。
岩風呂・露天風呂は次のような構造になっている。男女別の脱衣所から続くのは屋内の岩風呂。入口から奥に近いところまでは中央の大きな岩が男女を隔てる仕切りとなっており、奥のところでひとつにつながっている。男側の入口付近に5台のカランがあるのは確認した。
岩風呂はとにかく大きい。男女合わせてかなりの人数いけますよ。ただし、つながってる奥の方を陣取ると怪しい人物風になっちゃうから手前側に固まって集まるとすると、多少割り引かざるを得ないだろうけどね。岩風呂内に進入してみると先ほどの一般内湯よりも熱めだった。
ぬるめで開放感ある大露天風呂
露天風呂ならもうちょっと冷めているかもしれない。露天風呂は大小2つあって、大きい方は岩風呂の奥から外へ出るようになっている。これ女性が通るには勇気がいるなあ。男性にしてもちょっと気を使うところですね。当時は自分ひとりしかいなかったから無問題。堂々と通過。
大露天風呂は20名いけそうな広さで期待通りにややぬるめだった。露天エリアは目隠しの囲いが張り巡らされており田園風景のすべてが見えるわけではないが、晴れていれば青空の開放感とあわせて大変気分が良い。お湯はもちろん先ほどまでの風呂と同じくタマゴ香るフレッシュな源泉。
なるほどね、これはいい。さすがは当館の一番の売りであろう大露天風呂だ。残り時間をここに費やすことに決めてしばらく居座っている間、やっぱり誰も来なかった。こんな広い露天風呂を独り占めしちゃってすいませんね。
小露天風呂もあります
小露天風呂は結果的にパスするも、偵察だけはしておいた。大露天風呂の片方の端とつながっていると同時に岩風呂の女性側に近いところからも出入りできるようになっている。お湯を触ってみたら大露天と同じくらいの温度だった。広さは5~6名サイズってところ。
こうしてトータル1時間くらい滞在してゆもとかんを離れた。旅の締めにいい温泉に入れてよかった。
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しっかりした本格温泉を体験できる五十沢温泉ゆもとかん。売りの混浴露天風呂については夕方~夜にかけて男性女性それぞれに専用時間が設けられているから、もろもろ気になる方はその時間帯を狙う手もある。
ところでネットで調べていたら近所にゆもとかん旧館というのもあるらしい。そちらは昔ながらの素泊まり宿(日帰り利用も可)。温泉通な方々は旧館を好むのかしら。興味があればどうぞ。
おまけ:鹿小屋の米を求めて
ゆもとかんを出発した後はラストの訪問先・雲洞庵へ。もう4回目だよ。詳しい紹介はこちら。
曹洞宗の禅寺。今年は福井旅行で永平寺にも行ったから曹洞宗つながりでいささか感慨深い。とはいえ急に見方が変わるわけじゃないけど。
実のところ本当の目的は雲洞庵じゃなくて近所の鹿小屋という郷土料理店。こちらも雲洞庵とセットで4回目。年に1回あるかどうかにしてもこちらの米を食べないとどうにも落ち着かないもんで。注文メニューはずばりコシヒカリ定食。
魚沼産コシヒカリの中でも評価の高い塩沢地区の自家米はもちろんのこと、さば味噌煮その他のおかずも相当うまい。すっかり堪能して自分にもようやく秋が来た。ふー。これで心残りなく帰れるぜ。
近隣の田んぼの稲は多くが刈り取られていてもう新米が出回っていたようだ。ラッキー。いい時に来たね。