本格的に夏が来た。避暑のため&昔から行ってみたかった憧れの地として、上高地とその周辺が今回の旅先だ。仲間内で数年前から続いている「人生で一度は行ってみたいシリーズ」の候補に上高地を加えてもらい、ついに実現したのだ。
もちろん温泉めぐりの要素も抜かりはない。第1弾はかの有名な白骨温泉の代表的存在ともいえる「泡の湯」への立ち寄り入浴。大勢の日帰り客が訪れるため、大浴場へ入る前にまず行列に並ばなくてはならないというほどの人気を誇る。
でもそれもしょうがない。だってお湯はたしかに最高だったのでね。放っておいたら何時間でも入ってしまいそうだった。近くへお立ち寄りの際はぜひ。どうにか混雑を避ける工夫をしてチャレンジしていただきたい。
白骨温泉「泡の湯」へのアクセス
早朝の某所に集合した面々。メンバーのひとりが出してくれた車で出発。ルートを選んで渋滞をうまくかわしながら首都圏を脱出し、中央道を快調に進む。人出が大変なことになってもおかしくない日程だったから大渋滞をおそれていたけど順調に流れてくれて助かった。
松本ICを出たら国道158号に入る。ネット情報によれば、この道路も行楽シーズンになると車がぎっちり詰まってしまい、普通なら1時間あれば着く沢渡までが3時間いや4時間いや5時間…みたいな雰囲気だったから、かなりびびっていた。でも実際はスムーズで良かった良かった。この時はね。
松本電鉄新島々駅・奈川渡ダム・沢渡温泉を過ぎたら国道を外れて白骨温泉の看板にしたがって県道300号へ。すれ違いが難しいような場所もある典型的な山間道路を4~5km進むと白骨温泉街が現れる。泡の湯はさらに1kmくらい奥地へ進んだところにあり、温泉街の中にあるとは言い難い。
とにかく最後の方の道は運転慣れしていないと結構辛いかも。もし自分が運転してたら腰が引けた初心者丸出しの走りをしてしまうだろうし、カーブと狭隘区間のたびに「うあ゛あ゛あ゛ー」と唸らずにはいられないだろう。ここまで路線バスが通ってるのがすごいな。
泡の湯の宿泊客と日帰り入浴客は出入口が違うようだ。「外来入浴の方はこちら」の立て札に誘導されて駐車場へ。
名前通りの泡の湯を楽しもう
日帰り入浴は行列覚悟で
冒頭写真の建物の裏手に回ると外来入浴入口がある。
玄関で靴を下駄箱に入れて奥の受付へ…って、外来入浴が始まって少し経った頃合いでもう行列ができてるぞ。我々で5~6組目だから仰天するほどではないが、この後どんどん列が長くなりそうではあった。やっぱり人気ありますな。10分くらい待って受付完了。1000円。
なお、受付の手前に100円リターン式の貴重品ロッカーあり。受付の先の壁には分析書が貼ってあって、「含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉(硫化水素型)、低張性、中性、温泉」と書いてあった。一部加温あり、加水・循環・消毒なし。
大浴場へ向かう通路の途中に飲泉所がある。軽くいただいてみたら、ほのかな硫黄ぽい匂いと、弱いながらもシュワシュワした泡感があった。泡の湯のイメージ通り。
男湯の脱衣所はすでにカゴを置く棚が埋まっており、床の上に置くしかない状態で、しかもカゴそのものがまもなく欠品を起こしそうだった。いかにも入場制限待ったなし。湯船は芋洗いなのかな…。
泡付きぬる湯の内湯メイン浴槽がすごい
浴室内は人が多いは多かったけど、ひどい混雑ではなかった。人口密度のコントロールはしっかり行われている様子。洗い場のカランは記憶があやふやだが5台前後ではなかったかと。
内湯は2つの浴槽が並んでおり、メインは5~6名サイズのぬる湯。サブは2~3名サイズのあつ湯。ぬるいのが好きなので迷わずメインへ。お湯の見た目は透明に近くて、白く濁っていないかわり、微小な白い粒となった湯の花が漂っている。体温より少し上くらいの温度は永遠に入っていられそうな心地良さ。
そして泡付きがすごい。肌が馴染んでくると体中に泡がビシーッと付く。手で払ってもまたすぐに付くから、まるで炭酸泉のようだ。個人の感想をいえば泡の湯で体験した中で最強の湯質に思える。ぬるいからリラックスしてゆっくり浸かれるし。「温泉は熱いところにちょろっと入るもの」と認識していたメンバーのひとりは、このメイン浴槽に入って考えを改めていた→ぬる湯派への開眼まであと少しだ、クックック。
浴室の雰囲気も極度に鄙びすぎず、かつ秘湯感ばっちりだから、メイン浴槽に浸かることの満足度はかなり高い。いいお風呂だ。
ぬるいのが好きなら内湯付属の露天風呂
サブの方のお湯は白濁しており浴槽の底が見えない。白濁硫黄泉の雰囲気はメインよりも強い。41℃って書いてあったと思うけど泉質のためか数字ほど熱くは感じない。こちらもいいお湯。アクセント的に入るか、あるいは最後の上がり湯として使うのにちょうどいい。
窓の外には4~5名サイズの露天風呂が見える。行ってみよう。すでに別のグループのご歓談場になっており部外者は近寄りがたいという、露天風呂あるあるな光景になっていたところへ、やや強引めに加わっていく。すいませんね、すぐ出ますんで。
おおぬるい。内湯メインよりもさらにぬるい。ちょうど体温くらいで冷涼感がある。ぬる湯志向の強い方は最も好むかもしれない。お湯は白濁していて底見えず。露天エリアじたいは浴槽+αくらいでそれほど広いわけではなく、パノラマ風景が目に飛び込んでくるような眺望もないけど、野外の開放感は十分だ。
泡の湯といえばここ、大露天風呂
これで終わりじゃない。内湯奥の通路から行く少し離れた場所に混浴大露天風呂がある。少なくとも当時のお湯は半濁りくらいで透明に近かった。なので女性は(なんなら男性も)白濁で隠れるからと油断せず、タオル巻きの態勢をとるなどご準備を。
そして…ひ、広い。丸い形を2つくっつけて雪だるまのような形にした浴槽はどれだけ収容できるのか、見当もつかない。30名オーバーいけるんじゃないかな。そこに当時は10名くらいしかいなかったからだいぶ余裕がある。眺望はなくとも頭上の空の広さがなんとも気分爽快。
温度は内湯メインよりやや高いくらいで熱くはない。それなりに長く粘れる。泡付きは目立たず。雪だるまの首~腹にかけて3本の樋が高い位置に取り付けてあり、そこからミニ滝のようにドドドッと源泉が投入されている。打たせ湯するには強力すぎるな。
泡の湯として紹介されるのはたいがいこの大露天風呂だし、憧れを誘う写真も大露天風呂を題材としたものがほとんどだろう。たしかにスケール感と秘湯感とすぐれた湯質で一度は体験してみたくなるのもわかる。ぜひお試しを。
* * *
スケジュールの都合で滞在したのは1時間にも満たなかった。もし時間に余裕があったら内湯メインを中心に相当長湯をキメていたに違いない。名残を惜しみつつ大浴場を出て玄関まで戻ってくると、案の定、受け付け待ちの列は長くなっていた。
あるメンバーは「今度は泊まりで来たい」といろいろ調べてたけど、人気宿だけに宿泊料金は…我らの手に負えるレベルではなかった…また列に並んで日帰り利用になるのを承知で、今度はしっかり時間を取って、あのお風呂群に再び入ってみたいもんですな。
おまけ:乗鞍高原の観光
歩いて歩いて三本滝へ
入浴後は白骨温泉街の煤香庵でランチ。申し込めば温泉にも入れる食事処だ。ご当地系メニューだと温泉粥や「とうじそば」があるけど注文したのは冷やしきのこそば。うめえ。朝、山梨のSAでほうとうを食べてしまったからお腹空いてないはずなのに、あっさり完食してしまった。
その後は泡の湯からさらに奥地へと進んでいき、小さなトンネルを抜けると乗鞍高原。まず見に行ったのが三本滝。駐車場から下り基調の道を20~30分。3つの滝が合流している地点がゴール。右端の滝が一番近くて目立つ。
中央少し奥の滝が本流ってことになるのかな。
左端のは距離が遠くて水量は最も少なくて控えめな性格の末っ子キャラを思わせる。なお、帰り道は上り基調で結構足にダメージが。
善五郎の滝とまいめの池
続いては善五郎の滝。駐車場から滝見台まで片道10分くらいだろうか。滝見台で引き返すなら比較的気軽に歩ける距離と路面。滝見台では滝の背景にも注目したい。夏でも雪渓の残る乗鞍岳を望めるのだ。
最後は一の瀬園地の方へ進んだところにある「まいめの池」。駐車場から池までは数分の楽な道(三本滝の遊歩道往復で受けたダメージにより実際はいささか辛い歩きだったが)。水の澄んだ浅い池で、晴れていれば山や木立を鏡のように湖面に映す。
本番の上高地散策を前に疲れを溜め込んでも仕方がない。今日の観光はこれくらいでいいだろう。