崖業界の有名どころ・東尋坊と雄島コースの遊覧船

東尋坊と雄島
東尋坊。誰もが名前を知っている観光名所だ。別の意味で名所になってるイメージもあるが…。温泉めぐりが主目的だから東尋坊に行かなくてよいという理屈はあるまい。せっかくの機会だから東尋坊をこの目で見てみることにした。

はい、崖です。サスペンスドラマに出てきそうな崖です。手すりや柵はないから自己責任でどうぞ。意外だったのは寂寥感などいささかもなくて、比較的若い年齢層が多いせいか、きゃぴきゃぴと陽気な空気が支配していた。悲劇の起きる要素が皆無。

また、遊覧船に乗れば海側から崖を観察できる。雄島という近くの島を回るコース。風が強くてそこそこ揺れたが景色を楽しむならこちらもおすすめだ。

東尋坊への道

旅の2日目も後半戦。福井市の佐野温泉に立ち寄り入浴した後、本日のイベントは東尋坊を残すのみとなった。天気は晴れ。明日は曇りの予報で、もしかすると崩れるかもしれない。今日のうちに行っておくに限る。カーナビによれば30分もあれば到着するようだ。

ナビの指示にしたがって走っただけなのでどういうルートだかはわからない。田畑の続く中をうねうねと行って国道305号と思われる大きな通りに入った。途中に「道の駅みくに」ってのがあったな。九頭竜川にかかる橋を渡ると、あとは河口付近を川沿いに走る。

しばらく行くと鉄道の終着駅があった。えちぜん鉄道三国芦原線の三国港駅だ。自分は決して鉄ちゃんではないけど通過するにはしのびない。駅前駐車スペースのような場所で見物&撮影。
えちぜん鉄道 三国港駅
ノスタルジックな駅舎と向こうの方に見えるレンガ造りの跨線橋がいいですね。これで車両が停まっていればベストだったか。まあ欲をかいてはいけない。

駅を過ぎるといよいよ川が終わって海沿いを走ることになる。ひたすらナビの指示通り。現地に駐車場があるのかどうかもよくわかっていない。有名観光地だし止めるところくらいあるでしょと気楽に構えていたら、やっぱりあちこちにありました。崖に一番近いをアピールしていた物産センターの駐車場へイン。500円。


かの有名な東尋坊を見学す

この崖やばいです

周囲を観察して納得。あーなるほど、崖に近い。少し離れた駐車場やバス停から崖に向かって、お土産店や飲食店の立ち並ぶ数百メートルほどのメインストリートがのびているのだが、自分の利用した駐車場はその終点付近にあった。体力を温存できたぜ。ちょっと階段を降りたらもう崖だ。
東尋坊見学入口付近
右の方に赤い橋で陸とつながった島が見える。あれが雄島か。車があるから行ってみてもいいんだけど時間と気力の問題でパスしますわ。そこへちょうど遊覧船が通りかかった。あれには乗ってみたい。
雄島を望む
崖に手すりや柵の類いはない。全然高さを表現できてなくて怖そうに見えない下の写真と違って、実際の現地で受ける印象はかなりやばい。へっぴり腰くらいでちょうどいい。なお、崖下へ続く階段の先は遊覧船の発着場だ。※当時は波が荒れていたため別の場所からの発着になってた。
船の発着場がある崖下

サスペンスドラマとは対極的な雰囲気

自己責任で崖っぷちまで岩の上を歩いていける。若者グループを中心に結構先端まで攻めてる人たちもいた。自分なりの限界まで行ってみたのがこちら。
崖っぷちぎりぎり
当時の客層は比較的若くて小さなお子様連れのファミリーも多かった。青い空・青い海が似合う陽気なムードで、世をはかなむ気分は一切ない。ここがアレの名所だとはまったく信じがたいほどであった。これなら変な気は起こさなそうだし、常時こんなムードであってほしいですな。

柱状節理を見上げる千畳敷

危険を冒さなくても崖下の海面近くまで道がついているところもある(歩きやすいとは言っていない)。千畳敷と呼ばれるスポットだ。次の写真の左側の平らになってるところ。
千畳敷
千畳敷まで下りてくると当然ながら崖を見上げる形となり、別のテイストを楽しめる。そして柱状節理の様子がよりはっきりとわかる気がする。
千畳敷から見る柱状節理
足元に迫る波は決して穏やかではなく、うっかり転落すると引きずり込まれて自力では助からなそうに見える。やばい。そろそろ戻う。スリルと言っていいのかどうか、とにかく迫力ある崖と柱状節理の造形は一見の価値あり。ベタでも訪れておいてよかった。


雄島コースの遊覧船に乗る

雄島も岩の形状が特徴的

東尋坊タワーという展望台はパスしてお次は遊覧船。上に書いた通り、この日は車で5分くらい離れた三国サンセットビーチからの発着になっていた。40分ほどの雄島往復コースで1500円。
東尋坊遊覧船
では出発。進行方向左側に座ったため海しか見えねえ…しまった…「復路にしっかり見てもらえます」との説明を受けてあわてず騒がず、前半はおとなしく待機。

やがて船が雄島まで到達して向きを反転させた。さあここから後半だ。
雄島
あれが雄島か。白っぽいのは灯台かな。で、やっぱり海に面するところは柱状節理が発達している。岩の上には釣り人の姿もあったぞ。いよいよ雄島を離れるあたりでは例の赤い橋が見えた。
蜂の巣岩
あのあたりの岩は蜂の巣のような形をしており、そのまんま蜂の巣岩とも呼ばれる。また大湊神社の鳥居があるのもわかる。

なんと、崖からの飛び込み事案発生

雄島から東尋坊へ向かう途中で恐竜岩というのを紹介された。崖の岩の模様が恐竜のように見える。当時は指摘されたら「ああ、あれか」とすぐわかったのに、いま写真を見ても全然わかんね。うぬう、あのときは一瞬で認識できたんだけどなあ。
恐竜岩
ネットで正解を調べるという禁断の奥の手を使ってようやく思い出した。上の写真の左右でいえば中央。上下でいえば崖の下半分。周囲から白っぽく浮き出る感じで、右を向いて立つティラノサウルス風の姿が、わっかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ。

さて東尋坊へ戻ってきた。ここで船が停止して衝撃のアナウンスが。「あそこの崖にいる人、飛び込むかもしれませんよ、ちょっと見てましょうか」…えっ?!…やばい事案ではなくてパフォーマンスとしての水中飛び込みだ。暖かい季節になるとたまに挑戦者が現れるらしい。
飛び込み事案発生現場
実は飛び込む瞬間を撮りそこねた。おっさん特有のスマホ操作ミス。上の写真の中央やや左あたりの崖上に水着姿の男性がいたのだ。しばらく気持ちを整えた後に意を決して飛び込んだ。水泳の飛び込み競技のような型を見せたから熟練者だろう。船からも陸からも拍手喝采。

崖を見つめるライオン

続いて先ほど自分の足で歩き回ったあたりを船から見る。へー、こうなってるのか。
遊覧船から見た東尋坊
千畳敷付近で紹介されたのがライオン岩。海面上で伏せたライオンの後ろ姿と言われればそう見えてくる。
ライオン岩
あとローソク岩もあったけど自分には視認できず写真も撮れず。出発地点へ戻ってきておしまい。いやー、なかなかおもしろかった。今日は盛りだくさんで満足だ。

最初の駐車場に止めてから遊覧船乗り場を去るまで1時間半くらい。もし東尋坊タワーを見学してたら2時間コースだ。できれば青空の下、遊覧船が休航しない波の状況で訪れたいので、午前がだめなら午後に、今日がだめなら翌日に、というようにプランBを持たせた計画を組めるといいだろう。