福井県の温泉について調べていたら福井市佐野町の「佐野温泉 福の湯」の評判が良さそうだった。場所的にもちょうど計画に組み入れやすいところにあった。これは行っとくべしと決断。鉄道オンリーでアクセスできる場所ではないので、今回レンタカーを足に使ったことも生きてくる。
宿泊施設を併設した日帰り温泉、いや逆に日帰り温泉施設のスタイルを強めに押し出した宿というべきか。まあどっちでもいい、とにかく立ち寄り入浴で利用させてもらった。
広めの浴槽にやや熱いお湯。場所を選べば温度が下がっていい具合になる。自家源泉を持っており湯量はなかなか豊富なようだ。雰囲気的には地元民に愛される温泉といったところだろうか。
佐野温泉・福の湯へのアクセス
現地はコウノトリの里
仮に車がないとすると、福井駅から京福バス鮎川線で35分、佐野温泉口で下車する。だいたい1時間に1本くらいだけど途中の福井総合病院止まりがあったりして2時間あいてしまう時間帯もある。バス停から当湯までは徒歩6~7分。
自分はレンタカーだったからバス便のタイミングをはかるような悩ましさはない。午前中に永平寺の拝観を終えてすぐ佐野温泉に向けて出発した。永平寺の周辺はのどかなムードだったが福井市内に入るとだいぶ都市部の様相を呈してきた。信号待ちやら何やらで停滞しがち。
それでもしばらく走ると再び田園風景が見られるようになった。事前調査によれば佐野温泉のある鶉地区はコウノトリが訪れるらしい。コウノトリにちなんで福の湯なのかな。たまたま見えたりしないかな~と淡い期待を寄せたものの世の中そんなに甘くない。そのまま佐野温泉に到着した。
だが、入浴後に次の目的地へ向かって数キロほど走った時、田んぼの中に悠然と立つ白っぽい鳥の姿を見かけたのである。コウノトリとの遭遇キターーー!!
いやそれアオサギやろ。
カーナビより看板を信じろ
話を戻すと、運転中はカーナビに頼りきりで、しっかりと方向感覚を保っていたわけではない。そのカーナビに最後だまされた。国道416号から佐野温泉へ曲がるT字路より1つ手前の佐野交差点を曲がるよう指示され、集落の中の狭い道をぐるっと回ってまた佐野交差点に連れてこられたのである。無限ループかよ。
佐野交差点の先のT字路で曲がらなければだめだ。看板が出ているから最後は目視が無難と言っておこう。
なかなか結構なお湯を楽しめる
演歌の流れる館内
「温泉施設としての福の湯」の隣に「ホテルとしての福の湯」の建物が並んでいた。宿泊付きで利用するとこちらの客室に滞在することになると思われる。今回は別の宿を利用したため立ち寄り湯となったが、宿泊料金はそんなにお高くないお手頃価格。
入館すると一定以上の年齢層をターゲットにしているんだなとわかるド演歌がずっと流れていた。そんなド演歌を聞きながらお土産コーナーをちょっと偵察。結局何も買わずにすいません。
あやふやな記憶を承知で書くと自販機で利用料600円券を買い、受付で下足箱の鍵と引き換えにロッカーキーを受け取る。近くには別途で貴重品ロッカーもあるから助かるね。脱衣所までの廊下に並ぶ演歌歌手のポスターはこの手の施設ではありがち。しかしスーパー銭湯アイドルのはなかった。
脱衣所ではキーの番号に対応したロッカーを使う。分析書を探すと「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」と書いてあった。いわゆる芒硝泉ですな。豊富な自家源泉を売りにしているので期待してしまう。なお加水・加温・循環・消毒あり。
内湯は好きな温度で居場所を選べ
浴室はそこそこの広さ。13名分の洗い場と20名以上いけそうな内湯浴槽からなる。客は少なめで全然密ではないから自分としては好都合。ただし雰囲気全般と自分の直感を重ね合わせると、こんなご時世でなければ昼は日帰り利用の地元の方々でにぎわっているんじゃないかと想像する。
浴槽の湯口からは結構な量のお湯が投入されており、お湯の見た目は無色透明。「湯口に近いほど温度が高く、離れるほど温度が下がります」的な説明書きがあった。わざわざ書くからには温度差がそれなりにあるんだろう。熱いのは苦手なので湯口から一番遠い端っこに入ってみた。
適温。でもややぬるめだから全然OKです。もうこの端っこ固定でいいや。熱さを受け入れてまで湯口寄りに移動する気はない。湯の花や泡付きは見られず、アルカリ性とはいえ極端にヌルヌルするわけでもない。でもしっかりと温泉ぽい匂いがあるし、加水が~循環が~といった字面上のこだわりを抜きにすれば新鮮さも感じられて良いお湯だ。
熱めの露天風呂もあるよ
続いて露天風呂へ行ってみよう。細長い四角形の浴槽は横並びに整列させれば6~7名まで入れるサイズ。一応雨や日差しをしのげる屋根付きだったはず。露天エリア全体としては広くはなく、きっちりと塀に囲まれていて眺望はない。
こちらも湯口から遠い方へ入ってみたら、むむ、ちょっと熱めだなあ。通り抜ける風のおかげで頭がボーッとするような“のぼせ感”はだいぶ抑えられるので、あとは外気で冷める効果でお湯がもう少しぬるくなっていれば、じっくり浸かれて最高だったのだが。まあ好みの問題かな。
再び内湯の端っこへ戻って少しでも温度の低いところで長く粘ることにした。ふー結構結構。とはいえ本格的なぬる湯ではないから何十分も入っていられるものではない。時々湯船の外で休憩を挟む必要がある。
名物? 源泉アイスが気になる
再び露天風呂へ行くなどチョロチョロ移動しつつ、だいぶ体が温まってきたところで入浴終了。風呂あがりのクールダウンに面白そうなメニューを見つけた。源泉アイスだって。あちこちにポスターが張ってあるのだ。まさか温泉の匂いがするアイス?
ものは試し、“ユー食べちゃいなよ”という心の声に乗っかっていきたいところだったが、この旅行を通じてお腹がゆるめだったため大事を取ってやめておいた。お腹が丈夫な皆さまにはぜひお試しいただきたい。