手取峡谷に近い、アットホームなお風呂 - 白山すぎのこ温泉

白山すぎのこ温泉
前回の山陰に続いて、なかなか行くことができないでいた温泉未踏県をクリアするシリーズ第2弾・北陸へやって来た。今回の周遊範囲は石川県加賀白山と福井県嶺北。2泊3日で2つの県をクリアしてしまおうというセコビッチな作戦。

最初の立ち寄り温泉は白山市の「すぎのこ温泉」。事前調査によるとしっかりした源泉かけ流しで評判は良いようだ。ちょうど宿泊先へ向かう途中にあるし、近くには手取峡谷という見どころもある。バッチグーじゃないですか。

浴場としては小さめながらもお湯はたしかに良い。浸かっていたらぐんぐん調子が上がってくるような感覚。いつでも誰でもそうなるわけではないだろうが、旅の出だしにうまいことブーストしてもらったような気分だ。

白山すぎのこ温泉へのアクセス

今回は(今回も)時間効率の勝負だ。北陸新幹線・金沢経由だと最初の移動だけで半日費やしてしまうため、空路で小松空港へ。そこから先は富豪的解決=ひとりレンタカー。気持ち的にはのんびり鉄道とバスの旅を志向したくとも、残りの未踏県は富豪的解決で力押しするしかないかなと思っている。

カーナビに手取峡谷やすぎのこ温泉をセットして、ただナビの指示に従って運転しただけなので、どこをどう通ったのかさっぱり理解してない。とにかく国道360号をひたすら山の方へ進めばいいみたい。

この国道は最終的に一里野温泉・中宮温泉を経由して白山白川郷ホワイトロードとなり、世界遺産白川郷へ至る。ロマンはあれど自分の運転技量で白川郷まで行くのは荷が重そうだ。すぎのこ温泉までであれば、一部にカーブの多い区間があるくらいでそんなに大変ではない。

手取峡谷の黄門橋~不老橋まで来れば当湯はもう近い。国道沿いにあるから走っていればすぐにわかるだろう。小松空港から直行で40分くらい。

建物はスカしたところがなく、いたって質実。ただし玄関部分だけはリニューアル感・遊びのセンスも感じられる。そして2階の窓に「ゆ」の文字ならびに料金が書いてある。460円。わかりやすい。


アットホームで居心地よき温泉

リニューアル感と素朴感が共存

入って正面に「すぎのこ食堂」と書いた扉があるけど開いてない。右側に休憩コーナーのようなカフェっぽいようなスペースがあった。中をあれこれ探索したわけじゃないので詳しくはよくわからない。お風呂は左手にある。その前にたわしやモップを販売する棚があった。野菜の袋ってのはよくわからない。
直売品の棚
まず番台でお会計する際、このご時世なので「浴室には3名までと制限いたします。今すでに3名おられるのでお待ちいただきます。ご利用は30分を目安にお願いします」とのことだった。やさしい調子でほのぼのとした応対にほっこりした心持ちになる。

男湯に空きが出るまで待合所で待たせてもらうことにした。ふと目につくところに冊子が並べてあって、週刊誌やマンガではなく観光ガイドでもなく、ほぼすべて温泉に関するものだった。こんなところにも温泉愛が感じられますな。

館内は近年リニューアルされた雰囲気で新しくてきれい。素朴でローカル&アットホーム色が強いながら、鄙びているわけではなく明るくて軽い感じの印象を与える。

しばらくして先客と入れ替わりに男湯へ入ることができた。…脱衣所の広さを見れば、なるほど、3名というのは妥当な制限かもしれない。そこに普通の脱衣棚が6区画と100円いらずのロッカーが6個ある。掲示された分析書には「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とあった。

手前の白浴槽はあつ湯

浴室もコンパクトにまとまっている。洗い場は5名分で石鹸やシャンプーは置いてない。シャワーから出てくるのも温泉だそうだ。レトロ調の木の浴槽は2つの区画に仕切ってあり、仕切りの真ん中に湯口が設置されている。湯船の底や側壁に色が付いているのかな、手前の区画は「白い」・奥のは「黒い」という印象を受けた。

手前の白い方は2名サイズ。やや浅めに作られている。本当にシンプルな木の箱であって、お湯を循環させるための吸込口もなく、ひたすら湯口から投入された分だけあふれ出ていくだけの源泉かけ流し。こいつは本物だぜ。

浸かってみると、熱い。なかなかのレベルで熱い。あっという間にのぼせてきそうだ。ただ粘るために熱さに耐え続けるのは本末転倒だからいったん出ますね。

奥の黒浴槽で体調アップ

洗い場で少し熱を冷ました後、今度は奥の黒い方へ。こちらは詰めれば3名いけるサイズ。まあまあの適温でわりと長く入っていられる。無色透明のお湯は明らかに温泉らしい匂いがした。湯の花や泡付きはないが、ただのお湯とは違う温泉感はバッチリすぎるほどバッチリある。

あとお湯の鮮度が高いんじゃないかっていう気がする。なまってる感じが全然しないのだ。十分な投入量のある源泉かけ流しである他に入場制限が効いているかもしれない。お湯がヘタる間もなくどんどん入れ替わっていくんでしょう。

おかげでこっちまでシャキッとリフレッシュしてきた。なんだか体が軽い。好調ゾーンに入ってきたみたいだぞ。よっしゃよっしゃ。マ・クベの言葉を借りれば、あと10年は戦えるぜ。気分もすっきり晴れてきた。ビットコインが暴落したことなど、どうでもよくなってくるな。

こうして30分の持ち時間を使い切った。うーん、欲を言えばもうちょっと入っていたかったけど、それだけ満足度が高かったってことで、よしとしよう。ここまでの運転の疲れを癒やし、むしろパワーアップした状態で次なる目的地へ向けて出発した。


おまけ:雨の手取峡谷

すぎのこ温泉の近くに手取峡谷がある。黄門橋と不老橋からよく見えるそうだから立ち寄ってみた。まずは黄門橋。橋を渡った先に数台分の駐車場がある。橋の真ん中まで歩いていって下を覗き込むと高さ・深さが結構ある。
黄門橋から見た手取峡谷
残念ながら雨の影響で川の水量が多くて、しかも濁流だから峡谷らしさがわかりにくい。なんか3D感の希薄な合成写真みたいになってしまった。

お次は車で5分くらい先にある不老橋。橋のそばに駐車場あり。こちらの方がまだ峡谷っぽいかな。とにかく濁流が目立っちゃって。
不老橋から見た手取峡谷
橋を渡ってすぐ左折し、川沿いの小さな道を数分行くと綿ヶ滝展望台がある。そこから川のずっと上流に綿ヶ滝が見えた。ここまで音が聞こえてきそうな強い勢いを感じさせる落水だ(実際に音は聞こえません)。
綿ヶ滝
このあたりはそばが名物なのかな。あちこちで看板やのぼりを見ていたら食べたくなってきたので、不老橋にほど近い「そば処花川」というお店を見つけて入ってみた。民家を店舗として開放している風のつくり。幻のそばと書いてあったのが気になって限定品・御膳そばを注文。
花川の限定御膳そば
おお、なんじゃこりゃあ。麺が半分透き通っているぞ。こんなの初めて見た。あわせて出されたそば粥とともにいただく。見た目通りの繊細で上品な味わいであった。