山陰最大の温泉地といえば皆生温泉。海との組み合わせを楽しめてリゾートチックな雰囲気もある。米子に来たらたいがい立ち寄るであろうスポットだ。今回は行程の都合により宿泊してみることはできなかったので、せめて日帰りで皆生温泉を体験することにした。
よさげなところを探してみたらありました。その名も日帰り温泉オーシャン。自家源泉をかけ流しというから、お湯に間違いはあるまい。しかも露天風呂から目の前の海が見えるんだって(実際はタイミングの問題で男湯から海が見えない日だった)。
施設のコンセプトなのか、全般にアジアンテイストというか何というか、普通の日帰り温泉とは違うユニークな演出が施されている。なかなか不思議で面白い空間だった。
皆生温泉「オーシャン」へのアクセス
皆生温泉は米子市の日本海に面した一角にあり、米子駅から5~6km。市街地を通り抜けるため渋滞がなくても車で15分程度かかる。駅からのバス便もある。一方、米子空港からだと13kmで20分。こちらは直行便のバスがあるかどうか不明。
自分は三朝温泉・ちくま旅館をチェックアウトしてレンタカーでいったん倉吉へ。白壁土蔵群を見学した後に米子へ向かった。途中に「コナン駅」という標識が立っていて、なんじゃこりゃと思ったらJR山陰本線の由良駅だった。名探偵コナンの作者の出身地なんだね。
もう少し進んで山陰自動車道に入ると、右手に海・左手に伯耆大山を見るドライブコースになるけど、慣れない運転に必死で景色を楽しむ余裕はない。どうにか無事に米子東ICを出たら、方向感覚もよくわからないままカーナビにしたがって目的地オーシャンを目指した。カーナビの発達した時代で助かったわ。
オーシャンはその名の通り海のすぐそばにあった。駐車場からもう真っ青な海がチラッチラッと見える。せっかくだから海の方へ行ってみましょうかね。
実際には堤防で小高くなった先に砂地があって海。テトラポットなんかがあって海水浴のできる砂浜ではない。
アジアンリゾートを意識した日帰り温泉
いきなり独特な雰囲気
東南アジアの南国リゾートを意識したっぽいデザインの建物へ、いざ入館。いきなり仏とご対面する足湯コーナーが出現してびびった(当時はお湯を張ってなくて閉鎖中)。
この先も各所に仏やガネーシャの像が設置されていて独特なムードを醸し出している。オーシャンのホームページによればバリ島をイメージしているらしい。
基本的なフォーマットは一般の日帰り温泉と一緒だ。受付で下足箱の鍵と引き換えに腕輪を受け取る。精算は出る際にまとめて行う。付近には貴重品ロッカーあり。館内にはこれまたバリを連想させるアジアンなBGMが流れていた。バリ行ったことないけど。
2階の海風呂の日にあたればオーシャンビュー風呂
食事処を通過して廊下を進むと休憩コーナーがあり、コミックの並ぶ棚だけでなくパソコンコーナーまであった。当館の利用料金は一般1370円・会員950円とお高めなかわり、タオル・バスタオル・館内着が付いてくるし、こうして1日滞在できるように設備を整えている。
浴場は1階の岩風呂と2階の海風呂に分かれている。月替りで一方を男湯、もう一方を女湯に割り当てているようだ。訪れた当時は1階が男湯。海の見える露天風呂は2階なので、海を見たかった身としてはちょっと残念。せめて休憩コーナーの窓から見える景色で満足しておくか。
2階の浴場だともっと見下ろすアングルで水平線をより遠くまで望めるのに違いない。
内湯のぬるい浴槽は気に入った
脱衣所では腕輪の番号に対応した細長タイプのロッカーを使う。分析書を探すと「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉、高張性、中性、高温泉」とあった。海のイメージに合ってるね。源泉温度が高いため加水あり。加温・循環・消毒なし。
直接露天エリアへ出ていけるドアもあるけど、まずは内湯へ。入ってすぐ右手に20名分の洗い場。そして左手に3つの内湯浴槽。手前から8名規模のぬる湯、6名向けのあつ湯、2~3名向けの電気風呂。
熱いのと電気は苦手なのでここはぬる湯一択だ。湯口から注がれるお湯は無色透明。塩化物泉によくある匂いがする。三朝温泉でほのかに感じたのよりも強くはっきりと匂った。肌への泡付きはない。たまに湯の花らしき細かい白い粒が漂うのが見える。
温度はちょうどいい具合にぬるくなっていて40℃を少し切るくらい。うん、これなら長くじっくり浸かっていることができる。もうずっとここでもいいやと割り切って根が生えそうになる。しかし油断は禁物。出る際にグワーンと目まいの波がやって来た…ぬるいのにどうしてこうなった。高張性だからかな。
広くて気持ちの良い露天風呂あり
一番奥にサウナと水風呂があり、奥のドアから露天エリアへ出ていくと、もう1個の水風呂。その向こうにとても大きな露天風呂が広がっていた。おー、これは広いぞ。ちょっとしたプールのようにも見える。
露天風呂は2つの区画に分かれていて、20名以上いける規模+寝湯6名分の組み合わせになっているものと、10名以上いける規模+寝湯4名の組み合わせになっているものがある。お湯は後者の方が少し熱い印象を受けたけど、おおむね一緒。
熱すぎることはないがぬるいともいえない平均的な温度かなあ。長時間粘れるほどぬるくはないというのと、真っ青な空からギラギラ照りつける日差しのために少しでも体感温度を下げたくなり、浅ければ少しは冷めているだろうと主に寝湯で過ごした。しかし頭を乗せる枕の部分までお湯に浸かっちゃってるから、頭がお湯に付かないように、腕を支えに上体を起こした微妙な体勢にならざるを得ず。
すぐに帰るのはもったいない
露天エリアは明るく開放的な雰囲気。周囲は壁に囲まれて海も何も見えないが、広くて屋根がないのでのびのびとした気分になれる。なお、ここにも仏の像があったし、バリ島テイストのBGMが盛んに流れていて楽しげなムードを増幅していた。こいつはおかしれえや。
再びぬるい内湯へ戻って長めに浸かってミッションコンプリート。館内着を使うことなく、旅の都合により1時間あまりで出場。もったいないけど仕方ない。皆様におかれましては食事処や休憩コーナーを活用しながらゆっくり滞在するとよいでしょう。2階の海風呂がどんななのかも気になりますね。
おまけ:倉吉白壁土蔵群の見学
途中で寄り道した倉吉白壁土蔵群について。米子観光との関連性は薄いがご容赦。
ご当地は映画「男はつらいよ 寅次郎の告白」(第44作)のロケ地になった。マドンナ・泉が傷心旅行で訪れたところだ。泉を世話したおばあちゃん役の杉山とく子がいい味出してる。白壁土蔵群は歴史的な興味よりもロケ地めぐりのノリで訪れたのだった。
市役所の隣に無料駐車場がある。そこは打吹公園の入口でもあり、公園内には「泉がこんな道を歩いてたなー」という感じの散策路。時間がなくて入口からのぞいただけ。
5分も歩けば白壁土蔵群地区。映画のワンシーンに使われたのがまさにここからのアングルじゃなかったか。
うん、満足した。寅さんの件を抜きにしても風情たっぷりの通りを歩くのはいい思い出になるだろう。おすすめしたい。