福禄寿はお熱いのがお好き - 湯のさと ちくま 白鳥園(戸倉)

戸倉上山田温泉 湯のさと ちくま 白鳥園
お湯の良さには定評のある戸倉上山田温泉は7つの外湯があることでも知られる。大黒天・弁財天・…などと各々に呼び名を与えられ、七福神外湯めぐりという観光企画になっている。このたび当地へ一人旅することになったので、7つは無理でも1つくらいは体験してみようと思った。

いろいろ悩んだ結果(実は何も考えてない説あり)、福禄寿に位置づけられる「湯のさと ちくま 白鳥園」へ立ち寄った。レトロ感あふれる地元密着型の温泉銭湯が多い七福神の中では珍しく、洒落たモダンな外観で、飲食や交流スペースを備えた複合施設である。

やはりハード面の万人向け安心感はありますね。おすすめするとすれば千曲川をチラ見できる露天風呂かな。やや熱めのお湯だったから当時の季節にはうまくマッチしてくれた。

※2021年4月リニューアル前の体験談です。

「湯のさと ちくま 白鳥園」へのアクセス

戸倉上山田温泉の最寄り駅はしなの鉄道・戸倉。まずは新幹線に乗って上田で下車。別所・霊泉寺・鹿教湯・田沢、あちこちの温泉に絡んで上田には何度も来ている。駅構内や周辺はすっかりおなじみの光景だ。今後も時おり来ることになるだろう。

上田で長野方面のしなの鉄道に乗り換える。4つ目の戸倉駅では旅情を誘う昭和レトロな駅そばとコーヒーショップが目を引いた。信州そば食いてー。しかしすでに新幹線車内で駅弁を食べてしまっていた。そうでなかったとしても乗り換え待ち時間を利用して上田の駅そば「ちくま」で食べるつもりだった。戸倉駅の様子を知らなかったからなー、残念。次の機会があればうまく立ち回ろうっと。

駅前に温泉の歓迎ゲートがあるけど、実際はすぐ温泉街でなく、旅館が密集するエリアまでは30分ほど歩くし、ぶらり散歩風にのんびり行けば1時間かかる。この時点ではどこの外湯を利用するか、まだ決めていない。とりあえずあてもなく歩き出した。
戸倉駅前
歩きながら考えていると、余計なことに気を回し始めた…地元密着型の銭湯だと旅の大きめの荷物を入れられるロッカーがないんじゃないか…こんな世の中じゃ部外者への警戒が強いんじゃないか。うーん、どうしましょ。

やがて戸倉創造館という立派な建物が見えてきた。その向こうにも立派な建物があり、白鳥園の文字。へー、外湯めぐりの白鳥園ってここなのか。やたらモダンでシャレオツな外観。こういうところなら大きいロッカーあるだろうし、道の駅や物産館的な観光客狙いの雰囲気も感じられるから大丈夫だろう。よし決めた。


きれいな施設と清澄なお湯

万人向け適温の内湯

中に入ると観光施設というよりは市民向け交流センターの印象が勝ったけど、いまさら撤退はできぬ、行ったれ。エントランスには野菜の直売コーナーと、なぜかメダカ。
メダカの販売コーナー
券売機に600円を投入して入館。大浴場は2階にあるが、1階の隅に手打ちそばの実演コーナーらしきものがある。そば食いてー。
そば打ち実演コーナー?
2階に上がるとすぐに男湯と女湯の入口。分析書をチェックしたら「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、温泉」とあった。源泉かけ流し、内湯は一部循環。脱衣所には期待通り大きめの鍵付きロッカーが並んでいた。助かったぜ。

自分はサウナに興味がないので、いつも通りサウナについては割愛します。浴室内の洗い場は22名分。十分すぎる。内湯はメイン浴槽が1つのみ。ソーシャルディスタンスを意識しても10名収まるくらいに余裕たっぷり。お湯は無色透明。美しい緑色だとよくいわれる戸倉上山田温泉の中では異色の存在かも。無色で異色とはこれいかに。

浸かってみると適温。湯の花とかヌルヌルする感触だとかはわからなかった。尖った個性を持つ湯ではないけど温度を含めて万人向けとはいえる。

激熱だった露天の寝湯

露天エリアに出てみると、すぐ向こうが千曲川の土手らしく、周囲は目隠しのパネルで囲まれていた。ただしパネル越しに外の景色は見える。あとで少し離れた土手から撮影したものだが、下の写真のように対岸の旅館街を遠望する形。実際は2階なりにもう少し見下ろすアングルになる。
露天エリアから見えるおおよその景色
メインの露天風呂はやや混んでいたから3台ある寝湯の方から試してみた。1名分ずつ個別に設置された木の箱風で雰囲気は良い。さあて…アッチーーーー! なにこれ熱い。激熱じゃないか。寝る体勢を作ってもすぐに出たくなる。これは強烈だ。木の箱の単身用サイズに比して多めの源泉を容赦なくかけ流しているからだろう。

熱めで源泉感のある露天風呂

いったん内湯へ逃げて落ち着いてから今度こそメイン露天風呂へ。こちらはある程度詰めていって8名サイズ。やや緑がかって見えるのはお湯の色なのか、床板の色なのか、わかりかねた。温度は内湯より一段熱い。お湯の匂いを嗅ぐとタマゴを連想させるはっきりした特徴があるのは良い。

相応量の源泉を吐き出す湯口には白い析出物がうっすら付き始めている。そして木くずにも見えるし(浴槽の縁が木なので)、あるいは湯の花にも見える粒子が舞っていたのは、内湯にはない特徴だった。

熱さでのぼせてきたので近くの椅子で休憩。ぼんやり遠くを眺めていたら、山の中腹に設置された6つの看板…(温泉マーク)(田)(山)(上)(倉)(戸)…の並びが妙に気になってしまった。※下の画像は翌日別の場所から撮った写真を拡大。
山腹に温泉名を掲げた大看板
まあべつにそれだけですけど。クールダウン後に再び露天風呂で仕上げて入浴完了。

リニューアルオープンした白鳥園

白鳥園は温泉以外にも食事処などいくつかの施設を備えている。当時は指定管理会社の変更云々の時期だったようで、一部施設が使えなくなっていたり、食事の提供メニューに制限があったりした。

※当館はその後まもなくリニューアルオープンした(2021年4月)。サービス内容が上に書いた話から変わっている可能性があるので、あて外れにならぬよう、前もって白鳥園のホームページを確認しておくとよい。


おまけ:ぶら~り七福神チェック

ほかの外湯も可能なら見るだけは見ておこうと思った。白鳥園の前に通りかかったのが戸倉国民温泉(寿老人)。見るからにジモティー向けだからこその味わい深さがありそう。
戸倉国民温泉
白鳥園立ち寄り後に見つけた最初の施設が戸倉観世温泉(毘沙門天)。なかなか活況を呈している様子。
戸倉観世温泉
万葉超音波温泉(弁財天)も興味深い。超音波ってのが気になる。ここはコインランドリーを併設している。
万葉超音波温泉
川を渡って旅館が集結する温泉街の中にあったのは湯の華銭湯瑞祥(布袋尊)。洗練されてる感は随一。
湯の華銭湯瑞祥
結果的に寄り道しきれなかったつるの湯(恵比寿)と湯元かめ乃湯(大黒天)を加えて七福神。コンプリート目指して湯めぐりしてみてはいかが。