沖縄旅行の最後に訪れるスポットはやっぱり温泉。帰りの行動が楽になるように、那覇空港に近い温泉を選んだ。ていうか、空港の中にあるんじゃないかと錯覚しそうなロケーションだった。その名も「琉球温泉 瀬長島ホテル」。
なにせ滑走路が近い。着陸してくる飛行機をそう遠くない距離から見ることになる。滑走路の向こうは南国の青い海(晴れていれば)。単に海が見えるだけではない、ちょっと珍しい絶景温泉だ。
一人で泊まるには敷居が高く、今回立ち寄りでの入浴となったが、もし宿泊することがあればあの風景を部屋からずっと見ていることができたに違いない。こんなおいしい場所によくぞ温泉が出たもんだ。
瀬長島ホテルへのアクセス
ウミカジライナーが便利
瀬長島は名前の通りひとつの島だが、本島とは一般道路でつながっていて(関係者しか出入りできなさそうだが空港に接続する道もあって)、ほとんど陸続きのようにも感じられる。
そんな瀬長島へは那覇空港からバスが出ている。沖縄だけど東京バスが運行する「ウミカジライナー」がショッピングモール・イーアス沖縄豊崎へ向かう途中で当館前に停車する。空港から20分。
また、空港の次の停留所がゆいレール赤嶺駅前だから、ここでゆいレールから乗り換えて利用することもできる。自分は午前中に首里城を見学した後、ゆいレールで首里→赤嶺と乗ってからウミカジライナーに乗り換えた。
時間帯により30分に1本出ていることもあれば1時間に1本になってることもあるから、時刻表を前もってチェックしておいた方がよい。
本当に空港のお隣さん
バスが瀬長島に入って島の裏手に回り込むと急に開けた場所が現れた。瀬長島ウミカジテラスとして開発整備された一帯だ。そこから丘に向かって坂を上がっていき、まもなく瀬長島ホテルの前に着いた。
バス停でホテルを背に振り返ると、いきなり空港の離陸用滑走路が見える。下の写真は無理やり拡大ズームで撮っており、肉眼だともっと広角な印象だが、とにかく一種の撮影スポットであってバス待ちの人が盛んに写真を撮っていた。
ほえー。こんなところに本当に温泉が湧いているのだろうか。
その名は龍神の湯
高張性の強塩泉
温泉施設(龍神の湯)の入口はホテル入口の脇にある。間違えてホテルの方の扉から入って宿泊客と間違えられてしまった。下足箱は100円リターン式。近くに1000円札の両替機があります。廊下の突き当りが受付で、下足箱の鍵と引き換えに脱衣所ロッカーの鍵を受け取る。精算はお帰りの際に。タオル・バスタオル付きで休日1570円。
先へ進むと100円リターン式の貴重品ロッカー。続いて休憩室があってから男湯・女湯の入口。脱衣所では鍵番号に対応したロッカーを利用する。このへんはよくある日帰り温泉施設と同様のフォーマットだ。
浴室への扉付近に分析書が掲示されていて、「含ヨウ素-ナトリウム-塩化物強塩泉、高張性、中性、高温泉」とあった。今回の旅行で体験した3箇所とも字面上はほぼ同じ泉質だね。加水・加温・循環・消毒あり。
内湯は温泉じゃないかも(根拠なし)
中に入ってまっすぐ進むと露天風呂、左に曲がると内湯と15名分の洗い場。見たところ若者層を中心にそこそこの人口密度。混雑まではいかないが予想してたよりは多い。
内湯は手すりによって2つの区画に仕切られている。奥側が3~4名サイズで中腰で浸かるくらいの深めになっている。入った瞬間は「おっ、ぬるいぞ、好みに近くていいんじゃないか」と思ったけど気のせいだったかもしれない。
なぜなら手前側7名サイズの方は普通の適温だったからだ。仕切りといっても手すりだけのガバガバだからお湯は自由に行き来する。奥側だけぬるくすることはできそうもない。やっぱ気のせいだな。
それ以前になんか違和感あるな。お湯の匂いを嗅ぐと塩素臭が前面に出ている。まあ消毒ありだからね。とはいえ見た目も完全に無色透明だし、なんか引っかかるな…そこで達した結論=内湯は真湯だ、温泉じゃない。エビデンスはありませんがね。
真の価値は露天風呂にあり
お湯も良いが飛行機も気になる岩湯
温泉を求めて露天エリアへ出ていった。水風呂を通り過ぎて15名サイズの岩風呂へ。名前もそのまんま岩湯。お湯は微濁りのように見える。入ろうとしたその時、キーンという轟音とともに、塀の向こうに着陸直前の機体が現れた。岩湯に入ったままだと塀が邪魔になるが、風呂から出て立ち上がれば見える。なかなか迫力ある光景だ。
さて浸かってみよう。ややぬるめの適温。冬で気温もそんなに高くないし、のぼせることなくゆっくり入れていいんじゃないですかね。匂いを嗅ぐと塩素臭は気にならず、むしろ温泉ぽい匂いがちゃんとする。加えて湯の花の細かい粒子が漂っていた。いいですよー。
浸かってる最中にも時々キーンが聞こえてくる。さすが那覇空港は発着回数が多いですな。滞在中に何度も聞いたから10分に1回どころじゃない頻度だったはず。毎回立ち上がって見てると変なおじさんになっちゃうので見物は控えめに。
絶景展望所になっている立ち湯
すぐそばには3名分のつぼ湯もあるけど全然空かないから無理せずパス。それよりも気になるのが立ち湯と書かれた一角だ。立ち湯は岩手の鉛温泉・秋田の鷹の湯温泉・伊豆の船原温泉とかで体験したけど、ここにもあるのか。ちょっくら行ってみましょうかね。
階段を下りるようにして立ち湯の底に達すると、胸下までお湯が来るくらいの深さだった。底には玉石が敷き詰めてある。これくらいの深さになるとお湯がべっこう色に見える。温度は岩湯と同じくらい。
立ち湯の真価は絶景展望所になっていることだ。海側の壁は湯面+α=肩口くらいまでの高さで切れており、そこから上はぽっかり開いてるから景色を遮らない。一方、外の人がこちらに目を向けても肩より上しか見えないから大丈夫。
壁の切れた断面に腕とあごを乗せて外を見る格好になる。それで4名まで横並びになれるのが前列。その背後に腰から下をお湯につける格好で約4名座れる段が作られているのが後列、前後列あわせて最大8名ってところ。
普通の風呂では体験できない景色
せっかくなので前列で飛行機が着陸するシーンをしっかり鑑賞させてもらった。下の写真は入浴を終えてから館外の別の場所で撮ったものだが、だいたいこんな感じ。遠くに島影も見えますね。慶良間?
立ち湯は絶景狙いの客が入れ代わり立ち代わりやって来るから、様子をうかがいつつ、行ける時に行っておいた方がよいだろう。
こうして1時間弱で龍神の湯を退出。とにかく景色がすごかった。当湯に入らずとも付近のウミカジテラスを散策すれば同様の景色を堪能できるが、温泉に入りながら見られるというのが贅沢なのだ。旅行客にとってもアクセスしやすい場所だから、観光の合間に組み入れてみてはいかが。
おまけ:ウミカジテラスと広場をぶらぶら
帰りのバスまで50分くらい待たねばならなかったから付近をぶらついてみた。ウミカジテラスでは丘の斜面に各種の飲食店が段々畑のように軒を連ね、海を望むテラスを設置しているところが多い。おじさんには近寄りがたいシャレオツ空間である。
海岸沿いには芝生広場が整備され、海を見ながら腰掛けられる場所があった。
そこでずっと飛行機が着陸するのを眺めて時間を潰した。まず左手遠くにキラーンと光が見える。だんだん光が大きくなり、やがて機影がはっきり確認できるようになる。そこまでくると、あとは流れるように早い。あー来た来た。
あーもう着地しちゃう。
見届けた後、ほどなくするとまたキラーン。その繰り返し。なんか癖になるね、これ。