群馬県の沼田エリアへ行くことを意識したときに思いつく観光名所が片品渓谷で見られる吹割の滝。「東洋のナイアガラ」とも呼ばれる、ちょっと変わった風貌の滝だ。幼い頃に行ったことがあるような気がしなくもないが、まったく記憶にない。だったら初めてのつもりで行ってみましょう。
…いくつか罠があった。そのために想定外に時間と体力を消耗した。ちゃんと予習してこなかったのが敗因で、滝めぐりコースの回り方を間違えて地獄を見た。一方、他の観光客のみなさんほぼ全員が正しい回り方をしていた、さすがですな。
滝はたしかに一般的なよくあるパターンとは違った姿をしていた。なかなか珍しいね。欲を言えばもっと近くで観察してみたかったけど、まあ危ないんであれが限界でしょう。
温泉面で気になる「道の駅 白沢」
旅の2日目、我ら一行はもともとの主目的である八ッ場ダム見学を午前中の早い段階で終えた。今日はあと吹割の滝を見られれば御の字。それでも時間が余りそうだったから、中間地点の月夜野びーどろパークへ寄り道した。詳しくはのちほど。
月夜野から沼田まで関越道に1区間だけ乗ることもなかろうと下道を行く。沼田IC(東京方面から吹割の滝へはまず沼田ICまで関越道を行くことになると思う)付近からは国道120号を尾瀬・日光方面へ。途中で「道の駅 白沢」を見かけて休憩。
この道の駅には「望郷の湯」という日帰り温泉施設がある。一人旅だったら入浴しただろうが、今回の面子だとそういうノリではない。風呂には入らず食堂だけを利用した。※食事のみの利用も可。その場合、入館料は取られない。
食堂の全面ガラス張りの窓から片品川の河岸段丘の様子が見られる。向こうの方でうっすら雪をかぶっているのは、もしかして赤城山か。風呂に浸かりながらこういう景色が見えたりするのかな。温泉おじさんとしては気になりつつも、食べたらすぐ出発。
滝を見るつもりが登山に…
待ち受ける3つの罠
沼田ICから直行すれば30分もしないうちに吹割の滝に着く。罠その1は、カーナビに「吹割の滝」を入力したら、なんだか狭い路地へ誘導された。「この先吹割の滝へは行けません。滝は国道をあと1~2分進んだところです」との注意書きの看板を見てすぐ引き返したから難を逃れたが、もし見落として奥へ進んでたらエライ目にあうところだった。ナビしっかりしろ。
現地に近づくと、まず無料の市営駐車場が現れる。止められる台数はさほど多くない中、たまたま空きがあってラッキー。しかしそれが罠その2。駐車場自体は別に悪くない。予備知識のない者に早とちりを誘発するロケーションが罠なのだ。
駐車場のそばに国道の橋と未舗装の遊歩道の分岐点がある。何も考えず「まあ普通こっちだろう」と遊歩道へ進むのは罠その3。おすすめは国道の橋を渡るコース。滝は近いし歩くのも楽だ。
何も考えてない我々は遊歩道コースを選択。あとから思えば正解の「逆まわり」をやってしまったことになる。同じ向きに歩く人が少なくて、すれ違う人が何倍も多かったのが偏ってて変だと思ったんだよね。
一周する遊歩道を行くなら反時計回りがおすすめ
我々の時計回りコースだと急な段々をひたすら登らされる。石がゴロゴロしていて歩きにくい。そんな急登が登山のごとく延々と続いて終りが見えない。川ははるか眼下に小さくなっていく。そもそも滝を見に来たはずだよね。なんでどんどん離れていくの?
山の中腹にいくつか点在する観瀑台を通る遊歩道だったようだ。第1観瀑台というスポットから吹割の滝を俯瞰できるけど、そのための消耗が半端ないし、途中途中は木に遮られ、見晴らしが決して良いわけじゃない。
自分を含めてみんなもういい年だ。登りのダメージで足の運びや息遣いがやばいメンバーもいる。駐車場まで無事戻れるのか不安になってきた。
幸い、第1観瀑台を過ぎるとだらだらとした下り坂が主になる。つまり多くの観光客がそうしたように反時計回りコースを歩けば、ゆるい上り坂+急だけど下りの段ですむから、はるかに楽だ。最初にそこんところを理解していれば…。
ようやく吹割の滝にたどり着く
普通と全然違う姿の滝
ようやく下界といえる高さまで下ってくると、吹割橋という吊り橋が見えてくる。渡ると浮島観音堂のある中洲。
続いてもうひとつの吊り橋・浮島橋も渡る。橋の上から下流方向を見るとこんな感じ。川の中に岩がたくさん見えているあたりは千畳敷ってやつかな。
それから川沿いのコンクリの遊歩道へ。だんだん滝の落ち込み口が見えてきたぞ。
一般的な滝のイメージは幅が狭くて高さがある姿。離れてみると一本の筋のように見えるのが普通。でも吹割の滝は全然違う。
水が落ち込むところを詳しく見てみたい気持ちが膨らむも、ロープが張ってあってそばまで近寄れない。拡大モードを使ってこれが限界。2つの滝が向かい合うみたいになってる。
般若岩と鱒飛の滝もあるよ
少し下流にそそり立つ岩が変わっている。般若岩と聞けば、奥の岩が般若にしか見えなくなってくる。人面岩か。
引き続き不可思議な岩壁をお楽しみください。
遊歩道が川から離れる付近に鱒飛の滝がある。でも滝壺側から見ることはできない。落ち始めの雰囲気がわかる程度。名前からして鱒の遡上をブロックしてそう。
ここから道は川を離れて国道へと戻っていく。さらば吹割の滝と片品渓谷。
もし滝を見るだけでよければ、市営駐車場から反時計回りコースでせいぜい1km、舗装やコンクリの道で上り下りも大したことない。その往復だけなら全然楽ちん。観瀑台を含めて1周するにしても反時計回りにすべきだ。時計回りはかなりきついからおすすめしない。あと山道部分は熊出没注意。
市営駐車場の先には滝の駅とか各種売店が並んでいて併設の駐車場を使える。時計回りしようという発想にならないロケーションなのは利点。有料だったとしても許容範囲じゃないかな。
おまけ:ガラスの王国・月夜野びーどろパーク
途中で寄り道した月夜野びーどろパークはガラス製品工場が運営する一種のテーマパーク。売店と作品展示フロアを備えたグラスアート美術館や地ビールレストランなんかがある。
でも最も気になったのは工場見学。ものづくりロマン。
工場内の一部に立ち入れるけど、ちょうど昼休みの時間帯で本稼働してなかった。あるいは曜日の関係があったかも。
吹きガラス体験もできる。事前申し込みなしで飛び入り参加できるかは不明。作った作品は後日宅配してくれるみたいね。滝は吹割でいいけどガラスは吹き割れないようにしましょう。